kúnd-

品詞
動詞(他動詞)
意味
する
発音
[ˈkund]
読み
クンド
分野
基本動作

意味

  1. する

    中身を言わない行い一般を表す。pón「何を」や póin「何か」を目的語にとり、用向きや行いの中身を問うときに使うことが多い。

    kún kíl, ende.

    読み:クーン キール、エンデ。

    kúnkíl,ende.
    する<命令法><あなたが>口笛<対格>どうぞ

    「口笛を吹いてくれ、頼む。」

    縁の市や崖道での、くだけた依頼。動詞kúnd-「する」の命令法2単は語末の子音のつながりが縮んでkúnとなる。「口笛をする」は吹く行為を指す。endeは縁の市でよく使う依頼の定型。

    na kóundim unlóur þóuno.

    読み:ナ コーンディン ウンロール ソーノ。

    nakóund-imunlóurþóuno.
    <〜ない>する<〜し終えた>-<私が>まだ夜用の用足し<対格>

    「私はまだ夜用の用足しを済ませていない。」

    寝床に就く前の常套句。na は直説法を否定する小辞。完了相の語根 kóund- と unlóur「まだ」が組んで、まだ終えていないことを表す。語順は否定小辞+動詞+相の副詞+目的語。

    ké kúndes monsnembán sórel?

    読み:ケー クンデス モンスネンバーン ソーレル?

    kékúnd-esmonsnemb-ánsórel?
    <〜か>する-<あなたが>石写し-<対格>今日

    「今日、石写しの作業をするのか。」

    作業の予定を確認する日常の質問。動作としての石写しを、名詞 monsnembá を対格に取って表す。monsnembá は軽性 a 語幹として扱う。

    kúndim monsnembán un aurándoi.

    読み:クンディン モンスネンバーン ウン アウランドイ。

    kúnd-immonsnemb-ánunauránd-oi.
    する-<私が>石写し-<対格>中に社-<与格>

    「社の中で石写しの作業をする。」

    儀礼の場での所作を示す文。un は与格と組んで「〜の中で」を表す。aurándo は重性 o 語幹の社名。

    sórel, kúndimor mirkrilíman.

    読み:ソーレル、クンディモル ミルクリリーマン。

    sórel,kúnd-imormirkril-ím-an.
    今日する-<我々が>分ける-<〜の技・〜さ>-<対格>

    「今日は、手分けをします。」

    日常会話。kúnd-「する」が抽象名詞 mirkrilím を対格で受け、手分けの手配をすることを表す。mirkrilím は軽性で、対格は mirkrilíman。主語「我ら」は語尾 -imor に含み、独立した代名詞は添えない。

    ésa sé freunþál te kúnda andaulóura.

    読み:エーサ セー フレウンサール テ クンダ アンダウローラ。

    és-aséfreunþáltekúnd-aandaulóura
    いる-<(軽いものが)>この<軽性>額寄せ<主格><関係節>する-<(軽いものが)>祖母<主格>

    「これは、祖母がする額寄せです。」

    日常の家庭文脈で、どのような所作かを説明する文。freunþál は述語名詞だが、関係節 te kúnda andaulóura の中で目的語として受け取られている。関係節は名詞句の終わりに置かれ、関係節内部は VSO 語順になる。freunþál 自体には格標識がつかない。

    sórel, kúnda endríña þúmvan

    読み:ソーレル、クンダ エンドリーニャ スンヴァン

    sórel,kúnd-aendríñaþúmv-an
    今日,する-<(軽いものが)>子<主格>口笛-<対格>

    「今日は、子どもが口笛をする。」

    日常の観察の文。行為そのものを目的語として受け、口笛という働きを指す。kúnd- は行為名詞を対格で受ける。主語 endríña が軽性単数なので、動詞語尾は -o ではなく -a になる。þúmvan は þúmva の対格で、語根 þúmv- に -an が付いた形。

    mé kún snóimo!

    読み:メー クーン スノイモ!

    mékúnsnóimo
    <禁止・願いの打ち消し>する<命令法><あなたが>肩越し見<対格>

    「肩越しに見るな!」

    禁止の法を用いた命令文。禁止小辞《mé》のあとに命令法の語幹が来る。命令法単数では語末子音のつながりが簡略化し、《kúnd-》は《kún》になる。《肩越し見》は禁止の対象となる動作。

  2. そうする(代動詞)

    sérin「このように」・térin「そのように」と組み、前に出た行いを繰り返さずに受ける(térin kúndim「そうする」)。

    kúndim élan térin.

    読み:クンディン エーラン テーリン。

    kúnd-imél-antérin.
    する-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>そのように

    「私はそれをそのようにします。」

    代名詞 élan は él-an に分節した。

    kúndau társ dáun élan sérin.

    読み:クンダウ タルス ダウン エーラン セーリン。

    kúnd-autársdáunél-ansérin.
    する-<双数><あなたがた>二人<3人称単数・軽性>-<対格>このように

    「あなたたち二人はそれをこのようにします。」

    双数の主語 társ dáun は省かない。代名詞 élan は él-an に分節した。

  3. (〜に)手を出す・何かをする

    人や物を与格に置いて、それに働きかけることを中身を言わずに表す(pón kóundes ói?「それに何をした」)。とがめる響きをもつことが多い。

    pón kúndes ói?

    読み:ポーン クンデス オイ?

    pónkúnd-esói?
    何<対格>する-<あなたが><3人称単数・重性・与格>?

    「お前はそれに何をしたのだ。」

    与格代名詞 ói は語として扱う。ó-i のような分割はしない。

    mé kún póin ói!

    読み:メー クーン ポイン オイ!

    mékúnpóinói!
    <禁止・願いの打ち消し>する<命令法><あなたが>何か<3人称単数・重性・与格>!

    「それに手を出すな。」

    禁止は mé+命令法。ó-i ではなく、与格代名詞 ói を語として用いる。

解説

行いの中身を言わずに「何かをする」ことを表す、もっとも一般的な動詞。中身は目的語の代名詞や疑問詞で受け、pón「何を」と組んで pón kúndes?「何をしている・何をする気だ」と用向きを問う言い方がいちばん多い。場所を添えた pón kúndes séndoi?「ここで何をしている(ここへ来て何をする気だ)」は、番人や町の者がよそ者を問いただす決まった言い方になっている。直説法で問うとむき出しの詰問に聞こえ、推量法の pón kundéles séndoi?「ここで何をするつもりか」にすると、少しやわらいで「つもり」を尋ねる響きになる。どちらも2人称を使うので下向きの話し方で、目上の人には使わない。目上の人の行いを言うときは尊敬の aukúnd-「なさる」にし、疑問詞で直接は尋ねず、推量法で事柄を推し量る。他動詞なので目的語の枠を空けられず、中身を言わないときも代名詞か不定の póin「何か」を置く。そのため「何もしない」は na kúndim póin. と言う。具体的な行いの動詞(書く・伐る・量る)がある場面では、ふつうそちらを使う。kúnd- は、中身をぼかしたいとき、前に出た動詞を繰り返したくないとき、相手が何をしているのかわからないときに使う語である。詩や改まった文ではあまり好まれず、宮廷では「中身のない動詞」として軽く見られる。日本語話者は kúndes を「クンデス」と聞き、語末の -es を日本語の「です」と取り違えやすい。

文法

他動詞。規則的に活用する(直説 kúndim/kúndes/kúnda〈軽〉・kúndo〈重〉/kúndau/kúndimor/kúnders/kúndan)。目的語の枠は空けられない。命令法2単はむき出しの語幹で、語末の nd が n に削られて kún! になる。完了は u→ou の母音交替で kóund-(kóundim「やり終えた」)。尊敬は aukúnd-「なさる」、謙譲は dukúnd-「いたす」で、どちらも規則どおり接頭辞をつける。分詞は kúnden「なされた」。

語源

古高原語から受け継いだ語根で、言語内のほかの語からは説明できない。森の言葉や古い詞では「手を動かして働く」という具体的な意味で使われた跡があり、それが中身を問わない一般の「する」に広がったと考えられている。

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