小説
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する
中身を言わない行い一般を表す。pón「何を」や póin「何か」を目的語にとり、用向きや行いの中身を問うときに使うことが多い。
kún kíl, ende.
読み:クーン キール、エンデ。
| kún | kíl, | ende. |
| する<命令法><あなたが> | 口笛<対格> | どうぞ |
「口笛を吹いてくれ、頼む。」
縁の市や崖道での、くだけた依頼。動詞kúnd-「する」の命令法2単は語末の子音のつながりが縮んでkúnとなる。「口笛をする」は吹く行為を指す。endeは縁の市でよく使う依頼の定型。
na kóundim unlóur þóuno.
読み:ナ コーンディン ウンロール ソーノ。
| na | kóund-im | unlóur | þóuno. |
| <〜ない> | する<〜し終えた>-<私が> | まだ | 夜用の用足し<対格> |
「私はまだ夜用の用足しを済ませていない。」
寝床に就く前の常套句。na は直説法を否定する小辞。完了相の語根 kóund- と unlóur「まだ」が組んで、まだ終えていないことを表す。語順は否定小辞+動詞+相の副詞+目的語。
ké kúndes monsnembán sórel?
読み:ケー クンデス モンスネンバーン ソーレル?
| ké | kúnd-es | monsnemb-án | sórel? |
| <〜か> | する-<あなたが> | 石写し-<対格> | 今日 |
「今日、石写しの作業をするのか。」
作業の予定を確認する日常の質問。動作としての石写しを、名詞 monsnembá を対格に取って表す。monsnembá は軽性 a 語幹として扱う。
kúndim monsnembán un aurándoi.
読み:クンディン モンスネンバーン ウン アウランドイ。
| kúnd-im | monsnemb-án | un | auránd-oi. |
| する-<私が> | 石写し-<対格> | 中に | 社-<与格> |
「社の中で石写しの作業をする。」
儀礼の場での所作を示す文。un は与格と組んで「〜の中で」を表す。aurándo は重性 o 語幹の社名。
sórel, kúndimor mirkrilíman.
読み:ソーレル、クンディモル ミルクリリーマン。
| sórel, | kúnd-imor | mirkril-ím-an. |
| 今日 | する-<我々が> | 分ける-<〜の技・〜さ>-<対格> |
「今日は、手分けをします。」
日常会話。kúnd-「する」が抽象名詞 mirkrilím を対格で受け、手分けの手配をすることを表す。mirkrilím は軽性で、対格は mirkrilíman。主語「我ら」は語尾 -imor に含み、独立した代名詞は添えない。
ésa sé freunþál te kúnda andaulóura.
読み:エーサ セー フレウンサール テ クンダ アンダウローラ。
| és-a | sé | freunþál | te | kúnd-a | andaulóura |
| いる-<(軽いものが)> | この<軽性> | 額寄せ<主格> | <関係節> | する-<(軽いものが)> | 祖母<主格> |
「これは、祖母がする額寄せです。」
日常の家庭文脈で、どのような所作かを説明する文。freunþál は述語名詞だが、関係節 te kúnda andaulóura の中で目的語として受け取られている。関係節は名詞句の終わりに置かれ、関係節内部は VSO 語順になる。freunþál 自体には格標識がつかない。
sórel, kúnda endríña þúmvan
読み:ソーレル、クンダ エンドリーニャ スンヴァン
| sórel, | kúnd-a | endríña | þúmv-an |
| 今日, | する-<(軽いものが)> | 子<主格> | 口笛-<対格> |
「今日は、子どもが口笛をする。」
日常の観察の文。行為そのものを目的語として受け、口笛という働きを指す。kúnd- は行為名詞を対格で受ける。主語 endríña が軽性単数なので、動詞語尾は -o ではなく -a になる。þúmvan は þúmva の対格で、語根 þúmv- に -an が付いた形。
mé kún snóimo!
読み:メー クーン スノイモ!
| mé | kún | snóimo |
| <禁止・願いの打ち消し> | する<命令法><あなたが> | 肩越し見<対格> |
「肩越しに見るな!」
禁止の法を用いた命令文。禁止小辞《mé》のあとに命令法の語幹が来る。命令法単数では語末子音のつながりが簡略化し、《kúnd-》は《kún》になる。《肩越し見》は禁止の対象となる動作。
そうする(代動詞)
sérin「このように」・térin「そのように」と組み、前に出た行いを繰り返さずに受ける(térin kúndim「そうする」)。
kúndim élan térin.
読み:クンディン エーラン テーリン。
| kúnd-im | él-an | térin. |
| する-<私が> | <3人称単数・軽性>-<対格> | そのように |
「私はそれをそのようにします。」
代名詞 élan は él-an に分節した。
kúndau társ dáun élan sérin.
読み:クンダウ タルス ダウン エーラン セーリン。
| kúnd-au | társ | dáun | él-an | sérin. |
| する-<双数> | <あなたがた> | 二人 | <3人称単数・軽性>-<対格> | このように |
「あなたたち二人はそれをこのようにします。」
双数の主語 társ dáun は省かない。代名詞 élan は él-an に分節した。
(〜に)手を出す・何かをする
人や物を与格に置いて、それに働きかけることを中身を言わずに表す(pón kóundes ói?「それに何をした」)。とがめる響きをもつことが多い。
pón kúndes ói?
読み:ポーン クンデス オイ?
| pón | kúnd-es | ói? |
| 何<対格> | する-<あなたが> | <3人称単数・重性・与格>? |
「お前はそれに何をしたのだ。」
与格代名詞 ói は語として扱う。ó-i のような分割はしない。
mé kún póin ói!
読み:メー クーン ポイン オイ!
| mé | kún | póin | ói! |
| <禁止・願いの打ち消し> | する<命令法><あなたが> | 何か | <3人称単数・重性・与格>! |
「それに手を出すな。」
禁止は mé+命令法。ó-i ではなく、与格代名詞 ói を語として用いる。
行いの中身を言わずに「何かをする」ことを表す、もっとも一般的な動詞。中身は目的語の代名詞や疑問詞で受け、pón「何を」と組んで pón kúndes?「何をしている・何をする気だ」と用向きを問う言い方がいちばん多い。場所を添えた pón kúndes séndoi?「ここで何をしている(ここへ来て何をする気だ)」は、番人や町の者がよそ者を問いただす決まった言い方になっている。直説法で問うとむき出しの詰問に聞こえ、推量法の pón kundéles séndoi?「ここで何をするつもりか」にすると、少しやわらいで「つもり」を尋ねる響きになる。どちらも2人称を使うので下向きの話し方で、目上の人には使わない。目上の人の行いを言うときは尊敬の aukúnd-「なさる」にし、疑問詞で直接は尋ねず、推量法で事柄を推し量る。他動詞なので目的語の枠を空けられず、中身を言わないときも代名詞か不定の póin「何か」を置く。そのため「何もしない」は na kúndim póin. と言う。具体的な行いの動詞(書く・伐る・量る)がある場面では、ふつうそちらを使う。kúnd- は、中身をぼかしたいとき、前に出た動詞を繰り返したくないとき、相手が何をしているのかわからないときに使う語である。詩や改まった文ではあまり好まれず、宮廷では「中身のない動詞」として軽く見られる。日本語話者は kúndes を「クンデス」と聞き、語末の -es を日本語の「です」と取り違えやすい。
他動詞。規則的に活用する(直説 kúndim/kúndes/kúnda〈軽〉・kúndo〈重〉/kúndau/kúndimor/kúnders/kúndan)。目的語の枠は空けられない。命令法2単はむき出しの語幹で、語末の nd が n に削られて kún! になる。完了は u→ou の母音交替で kóund-(kóundim「やり終えた」)。尊敬は aukúnd-「なさる」、謙譲は dukúnd-「いたす」で、どちらも規則どおり接頭辞をつける。分詞は kúnden「なされた」。
古高原語から受け継いだ語根で、言語内のほかの語からは説明できない。森の言葉や古い詞では「手を動かして働く」という具体的な意味で使われた跡があり、それが中身を問わない一般の「する」に広がったと考えられている。
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