小説
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セルヴァン
人名(成名)。
duþélim sélvanan, an fóndaros ráimaros dúlenan dáumbar téir lóurul, dúlenan fáir þrénul.
読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス ライマロス ドゥーレナン ダウンバル テール ロールル、ドゥーレナン ファイル スレーヌル。
| du-þél-im | sélvan-an, | an | fóndar-os | ráimar-os | dúl-en-an | dáumbar | téir | lóur-ul, | dúl-en-an | fáir | þrén-ul |
| <〜させていただく>-名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> | 上手 | 源-<属格> | ライマル-<属格> | 下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> | 二十 | 三 | 瀬-<〜たちを> | 下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> | 四 | 段-<〜たちを> |
「ライマルの源から二十三瀬下りた、四段下りの者、セルヴァンと名乗らせていただきます。」
改まった場での名乗り。固有名も小文字で書く。分詞 dúlenan は二度とも、名前の sélvanan(軽性・単数・対格)に一致している。lóurul と þrénul は道のりの対格。瀬と段は語が違うので、どちらが世代でどちらが身分かがすぐにわかる。
ésa lisím sélvanes gléin.
読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。
| és-a | lis-ím | sélvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | セルヴァン-<属格> | 清い |
「セルヴァンの書法は清い。」
「AはBだ」の文も、繋辞 és- を先頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語の lisím「書法」が軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形(語尾なし)になる。
mé vír sélvanan nébroi!
読み:メー ヴィール セルヴァナン ネーブロイ!
| mé | vír | sélvan-an | nébr-oi! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 言う<命令法><あなたが> | セルヴァン-<対格> | 霧-<与格> |
「霧の中で、セルヴァンの名を呼ぶな。」
禁止は「mé+命令法」。名前を vír-「言う」の目的語にすると、「名を呼ぶ」の意味になる。場所は前置詞なしの与格で言う。霧の中で名前を呼んではいけない、という禁忌の言い方。
pán þéles? þélim sélvanan.
読み:パーン セーレス?セーリン セルヴァナン。
| pán | þél-es? | þél-im | sélvan-an. |
| 誰<対格> | 名乗る-<あなたが> | 名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> |
「「何と名乗る?」「セルヴァンと名乗る。」」
二人の発話(問いと答え)。疑問詞の対格 pán を文頭に出している。名は軽性なので、目的語では対格 -an がつく。
tóra sélvan ráimaros es dáloros.
読み:トーラ セルヴァン ライマロス エス ダーロロス。
| tór-a | sélvan | ráimar-os | es | dálor-os. |
| 来る-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | ライマル-<属格> | から | 下の国-<属格> |
「ライマル家のセルヴァンが下の国から来た。」
名+家名の属格のフルネーム。名は人なので動詞は軽性の -a で受け、家名は源の名なので重性の属格 -os になる。
gélimor ném si sélvan si silára du orén.
読み:ゲーリモル ネーン シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。
| gél-imor | ném | si | sélvan | si | silára | du | orén. |
| 行く-<我々が> | <私> | と | セルヴァン<主格> | と | シラーラ<主格> | 下手 | 縁<対格> |
「私とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」
三つ以上を並べた主語の人称は、1人称>2人称>3人称の順に優先する。「私」が入るので1人称複数。
gélers tás si sélvan si silára du orén.
読み:ゲーレルス タース シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。
| gél-ers | tás | si | sélvan | si | silára | du | orén. |
| 行く-<あなたがたが> | <あなた> | と | セルヴァン<主格> | と | シラーラ<主格> | 下手 | 縁<対格> |
「お前とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」
「お前」が入るので2人称複数。
sénim lónan áurenan sélvanes.
読み:セーニン ローナン アウレナン セルヴァネス。
| sén-im | lón-an | áur-en-an | sélvan-es. |
| 見る-<私が> | 柱の木-<対格> | 昇る-<〜した・〜された>-<対格> | セルヴァン-<属格> |
「私はセルヴァンの高い柱の木を見る。」
自動詞の分詞(形容詞として固まった áuren)の後ろの属格は、動作主ではなく持ち主。
ké tóra sélvan?
読み:ケー トーラ セルヴァン?
| ké | tór-a | sélvan? |
| <〜か> | 来る-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> |
「セルヴァンは来たか。」
同じ段の者か目下の者のあいだの、くだけた問い。成名は、同じ段の者や目上の者が口にしてよい。目下の者が目上の人を指すときは、名ではなく役職で言う。人名は軽性なので、動詞は -a をとる。
méirim sáindaran sélvanei.
読み:メーリン サインダラン セルヴァネイ。
| méir-im | sáindar-an | sélvan-ei. |
| 与える-<私が> | 証文-<対格> | セルヴァン-<与格> |
「セルヴァンに証文を渡す。」
受け手は与格で示し、語順は動詞–目的語–与格になる。sélvan は軽性の子音語幹として変化し、対格は sélvanan、属格は sélvanes、与格は sélvanei になる。
ésa sélvan dúlen dáumbar lóurul an fóndaros ráimaros.
読み:エーサ セルヴァン ドゥーレン ダウンバル ロールル アン フォンダロス ライマロス。
| és-a | sélvan | dúl-en | dáumbar | lóur-ul | an | fóndar-os | ráimar-os. |
| いる-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 下る-<〜した・〜された> | 二十 | 瀬-<〜たちを> | 上手 | 源-<属格> | ライマル-<属格> |
「セルヴァンは、ライマルの源から二十瀬下った者である。」
ある人の世代を、第三者として述べる改まった文。序数を使わず、「分詞 dúlen+数詞+瀬の複数対格(道のりの対格)」で言う。分詞は主語 sélvan(軽性・単数・主格)に一致するので、語尾がつかない。瀬の数が多いのは誉れとされる。
luuménde ilána aursáres sélvanan.
読み:ルーメンデ イラーナ アウルサーレス セルヴァナン。
| luum-énd-e | ilána | aursár-es | sélvan-an. |
| ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 祖先の星<主格> | 祖先-<属格> | セルヴァン-<対格> |
「祖先の星が、セルヴァンを見守ってくださいますように。」
祀りの席で唱える祈りの句。祖先の星は目上なので、「見る」の尊敬の補充形 lúum- を願望法で使う。強勢は -énd- に移り、3人称単数・軽性の語尾は -e になる。
ésa lisím sélvanes séuril an lisímail.
読み:エーサ リシーン セルヴァネス セウリル アン リシーマイル。
| és-a | lis-ím | sélvan-es | séuril | an | lis-ím-ail. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | セルヴァン-<属格> | 美しい | 〜よりまさって | 書く-<〜の技・〜さ>-<〜らに> |
「セルヴァンの書法は、並ぶ書法の中でいちばん美しい。」
書の競い合いで勝ちの書をほめる言い方。an+同じ仲間の複数与格で最上級になる。述語の形容詞 séuril は軽性の主語 lisím に一致し、単数主格なので語尾がない。
selvána aurél virán fláinan.
読み:セルヴァーナ アウレール ヴィラーン フライナン。
| selván-a | aurél | vir-án | fláin-an. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 言葉-<対格> | 上品な-<軽性・対格> |
「あの方は上品なお言葉をおっしゃる。」
目上の人をほめる言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。fláin は「軽い」から転じて、礼にかなった上品さを表す。軽い言葉ほど上へ昇る、という考え方がもとになっている。
selvána ausenár ré lisésa orenvandár slúun, mé lisésa sélu.
読み:セルヴァーナ アウセナール レー リセーサ オレンヴァンダール スルーン、メー リセーサ セール。
| selván-a | au-sen-ár | ré | lis-és-a | orenvandár | slúun, | mé | lis-és-a | sélu. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | <〜と(節)> | 書く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 縁商人<主格> | 千 | <禁止・願いの打ち消し> | 書く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 泥の千 |
「目付殿は、「縁商人は陸の千で書くべし、泥の千では書かぬこと」とおっしゃる。」
市の目付の裁きを人に伝える言い方。ré の後ろの節は、決まりごとを表す当為法のまま引いている。後半は主語を言っていないが、前半と同じ縁商人のことを言っている。証文の数は高原の数え方で書く、という市の決まりを表す。
éso már sélvanes séuril.
読み:エーソ マール セルヴァネス セウリル。
| és-o | már | sélvan-es | séuril. |
| いる-<(重いものが)> | 手跡<主格> | セルヴァン-<属格> | 美しい |
「セルヴァンの手跡は美しい。」
手跡の意味でも már は重性のままで、繋辞は -o をとる。書き手は属格で後ろに示す。書きぶりや字の美しさが身分と教養の証になるので、人の手跡をほめるのは改まった賛辞になる。
vóila lourvirár þeláis brélar sélvanes.
読み:ヴォイラ ロウルヴィラール セライス ブレーラル セルヴァネス。
| vóil-a | lourvirár | þel-áis | brél-ar | sélvan-es. |
| 読む-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 名前-<〜たちを> | きょうだい-<〜らの> | セルヴァン-<属格> |
「系譜読みが、セルヴァンのきょうだいたちの名を読み上げる。」
婚姻の取り決めで、系譜の巻を読み交わす場面の文。名詞の後ろに属格を二つ重ねて、「名前・きょうだいたちの・セルヴァンの」の順に並べる。書かれた名前を読むことは禁忌に当たらない。
selvána aurólmar ré torélo nébro.
読み:セルヴァーナ アウロルマル レー トレーロ ネーブロ。
| selván-a | aur-ólmar | ré | tor-él-o | nébro. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-長老 | <〜と(節)> | 来る-<〜だろう>-<(重いものが)> | 霧<主格> |
「長老の方は、霧が来るだろうとおっしゃる。」
敬われる長老の言葉を人に伝える言い方。尊敬の接頭辞 au- は母音の前で aur- になる(au-+ólmar → aurólmar)。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節は元の法を保ち、ここでは推量法。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。
héla sélvan lisárei.
読み:ヘーラ セルヴァン リサーレイ。
| hél-a | sélvan | lis-ár-ei. |
| 位に就く-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 書く-<〜する人>-<与格> |
「セルヴァンは書記の位に就いた。」
役職に就いたことを知らせる文。就く役職は与格で示す。目下の人や同じ段の人について言う形なので、敬語の接頭辞はつけない。
ausáila aldár áuren es lisímes sélvanes.
読み:アウサイラ アルダール アウレン エス リシーメス セルヴァネス。
| au-sáil-a | aldár | áur-en | es | lis-ím-es | sélvan-es. |
| <お〜になる・御〜>-嘉する-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | から | 書く-<〜の技・〜さ>-<属格> | セルヴァン-<属格> |
「高き座は、セルヴァンの書法を嘉された。」
年代記の地の文に見える直説法の文。時制がないので、過去の出来事も直説法で言う。理由を es+属格で示している。
ésa tíula ombrílur sélvanes gléin.
読み:エーサ ティーウラ オンブリールル セルヴァネス グレーン。
| és-a | tíula | ombríl-ur | sélvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 響き<主格> | 句-<〜らの> | セルヴァン-<属格> | 清い |
「「セルヴァンの句の響きは清らかだ。」」
人の詩をほめるときの言い方。詩は句と拍で数え、句の響き(強勢と音節の重さの並び)が整っていることが教養の証とされる。名詞句の中では、中心の名詞 tíula の後ろに属格が続く。繋辞と述語の形容詞は、軽性の主語 tíula に一致している。
duþélim sélvanan, an fóndaros móros ráimaros dúlenan téir lóurul.
読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス モーロス ライマロス ドゥーレナン テール ロールル。
| du-þél-im | sélvan-an, | an | fóndar-os | mór-os | ráimar-os | dúl-en-an | téir | lóur-ul. |
| <〜させていただく>-名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> | 上手 | 源-<属格> | 偉大な-<重性・属格> | ライマル-<属格> | 下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> | 三 | 瀬-<〜たちを> |
「偉大なるライマルの源から三瀬下りた、セルヴァンと名乗らせていただきます。」
改まった場での名乗り。名詞句の中は「名詞–形容詞–属格」の順に並び、形容詞は重性の fóndar に合わせて属格 -os になる。mór を家や氏族に使うと、その勢いが大きいことを誇る言い方になる。目上の人自身を mór と言うことはしない。
lísa sélvan lisáis séurilais.
読み:リーサ セルヴァン リサイス セウリライス。
| lís-a | sélvan | lis-áis | séuril-ais. |
| 書く-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 字-<〜たちを> | 整った-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「セルヴァンは整った字を書く。」
人の書きぶりをほめる言い方。séuril を書の字に使うと、形が正しく整っていることを表す。lisá「字」は軽性なので、形容詞は軽性・複数・対格の -ais をとる。
ésa lisím sélvanes gléin. vérin.
読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。ヴェーリン。
| és-a | lis-ím | sélvan-es | gléin. | vérin. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | セルヴァン-<属格> | 清い | そのとおり |
「「セルヴァンの書法は清い。」「そのとおりだ。」」
相手の評言を正しいと認める返事。高原語には「はい」がなく、問いには動詞を繰り返して答えるが、言い切りの文に同意するときは vérin を使う。lisím「書法」は lísim「私が書く」と強勢の位置だけで区別される。
éira, duþélim sélvanan.
読み:エーラ、ドゥセーリン セルヴァナン。
| éira, | du-þél-im | sélvan-an. |
| ええと | <〜させていただく>-名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> |
「ええと……セルヴァンと名乗らせていただきます。」
改まった名乗りで言いよどんだ例。改まった場で éira をはさむのは、言葉が整っていないしるしとして嫌われ、教養が足りないと見られやすい。du- は謙譲の接頭辞、名乗る名前は対格に置く。
selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.
読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。
| selván-a | au-sen-ár | ré | és-a | lisá | sáindar-es | gléin. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 文面<主格> | 証文-<属格> | 清い |
「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」
縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。
selvána rainiþár ré ésa traimlisá sé fóndel.
読み:セルヴァーナ ライニサール レー エーサ トラインリサー セー フォンデル。
| selván-a | rainiþ-ár | ré | és-a | traimlisá | sé | fóndel. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | 教える-<〜する人> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 年ごとの記録<主格> | この<軽性> | 古い |
「この年ごとの記録は由緒あるものだと、師はおっしゃる。」
学び舎での言い方。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、trúum「古びた」とは含みが違う。師を高めて「言う」の尊敬の補充形 selván- を使っている。
funeléran lisárai sélvanan.
読み:フネレーラン リサーライ セルヴァナン。
| funelér-an | lis-ár-ai | sélvan-an. |
| 書き留める-<彼らが> | 書く-<〜する人>-<〜たちが> | セルヴァン-<対格> |
「書記たちはセルヴァンの名を書き留める。」
言葉を消えないように字にして留めることを表す動詞。書くことは息を使わないので、口にしてはいけない名前でも書き留めてかまわない。直説法の3人称複数 -an には強勢がないので、強勢は -ér- に残る。
selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.
読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。
| selván-a | aurél | ré | és-a | mélna | sé | gléin |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 詩<主格> | この<軽性> | 清い |
「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」
目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。
ésa fírna sélvanes séuril.
読み:エーサ フィルナ セルヴァネス セウリル。
| és-a | fírna | sélvan-es | séuril. |
| いる-<(軽いものが)> | 書きぶり<主格> | セルヴァン-<属格> | 美しい |
「セルヴァンの書きぶりは美しい。」
人の字や文をほめるときの言い方。「AはBだ」の文も動詞 éis- が先頭に来て、「éis-+主語+述語」の順になる。述語の形容詞 séuril は軽性・単数・主格なので、語尾がつかない。書きぶりは身分と教養を測るものとされるので、この一言は高いほめ言葉になる。
tóra sélvan silóur.
読み:トーラ セルヴァン シロール。
| tór-a | sélvan | silóur |
| 来る-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | も |
「セルヴァンも来る。」
動詞に後続する主語名詞句の末尾に置く基本形。動詞は軽性三人称単数の -a で受ける。silóur は強勢をもち、名詞句の格を変えない。
vrúna líura sóilan sélvan-es.
読み:ヴルーナ リーウラ ソイラン セルヴァネス。
| vrún-a | líura | sóil-an | sélvan-es. |
| 巻く-<(軽いものが)> | 女<主格> | 髪-<対格> | セルヴァン-<属格> |
「女がセルヴァンの髪を結い上げる。」
日常文。主語 líura は軽性。名詞句内の属格 sélvan-es で「セルヴァンの」を示す。髪 sóila は語彙上軽性の a語幹で、直接目的語は対格語尾 -an を受ける。
duþélim sélvanan, an fóndaros gléinaros dúlenan fáir þrénul.
読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス グレーナロス ドゥーレナン ファイル スレーヌル。
| du-þél-im | sélvan-an, | an | fóndar-os | gléinar-os | dúlen-an | fáir | þrén-ul. |
| <〜させていただく>-名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> | 上手 | 源-<属格> | グレイナル-<属格> | 下りた-<対格> | 四 | 段-<〜たちを> |
「グレイナルの源から四段下った者、セルヴァンと名乗らせていただきます。」
改まった名乗り定型。duþél- は謙譲の「名乗らせていただく」で、名前を対格で受ける。dúlen-an は見出し語 dúlen に軽性対格単数の接辞 -an を付けた形で、sélvanan に一致して後置修飾する。þrénul は「何段下りたか」を表す道のりの対格。
na pléla sélvan þelasnélan sé.
読み:ナ プレーラ セルヴァン セラスネーラン セー。
| na | plél-a | sélvan | þelasnél-an | sé. |
| <〜ない> | 着る-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 頭巾-<対格> | この<軽性> |
「セルヴァンはこの頭巾を身につけない。」
記録や叙述のような中立的な文。否定は動詞の直前に na を置く。plél- は自動詞なので、目的語を伴う他動詞用法は使役 -íþ- で作る。改まった婉曲語 þelasnéla は、礼装を記録する文脈でも用いられる。
lúin tóra torár, houmníla sélvan viráis.
読み:ルーイン トーラ トラール、ホウンニーラ セルヴァン ヴィライス。
| lúin | tór-a | torár, | houmníl-a | sélvan | vir-áis. |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 客<主格> | 炉ばたの話を盛り上げる-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 言葉-<〜たちを> |
「客が来ると、セルヴァンは炉ばたの話を盛り上げる。」
lúin の従属節で、客の来訪という炉ばたの場面を置く。torár が加わることで、人との距離を縮める比喩用法が立つ。sélvan は軽性の名として動詞 -a を受ける。
男子の成名として用いられる人名。「息」を思わせる響きをもち、軽く上へ昇るものにあやかった名とされる。人を指すので軽性で変化する。
固有名詞・軽性・子音語幹。対 sélvanan、属 sélvanes、与 sélvanei。
selvá「息」、selvén-「おっしゃる」と同じ源とされる。
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