salván

品詞
副詞(不変化の小辞)
意味
〜すぎる
発音
[salˈvan]
読み
サルバン
分野
性質・状態

意味

  1. 〜すぎる

    性質や行いが、ふさわしい程度を越えていることを表す。形容詞・分詞・動詞の後ろに置く。

    éso fáron gróm salván.

    読み:エーソ ファーロン グローン サルヴァーン。

    és-ofárongrómsalván.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い〜すぎる

    「荷は重すぎる。」

    日常の言い回し。不変化の小辞 salván を形容詞 gróm の後ろに置く。重性単数主格では形容詞に格語尾がつかず、salván も変わらない。

    ésa plána lóun salván.

    読み:エーサ プラーナ ローン サルヴァーン。

    és-aplánalóunsalván.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>長い〜すぎる

    「帳簿が長すぎる。」

    書記・帳場・学び舎で聞く言い回し。形容詞 lóun の後ろに salván を置く。軽性主格の述語形容詞も格語尾がない。

  2. 高すぎる!(値切りの決まり文句)

    縁の市で、相手の言い値をはねつけるときに、áuren salván! の形で、あるいは salván! 一語で言う。くだけた取引言葉で、無礼とは受けとられない。

    salván!

    読み:サルヴァーン!

    salván!
    高すぎる

    「高すぎる!」

    縁の市で salván 一語で「高すぎる」と言うくだけた定型。都では市の言葉・崖道の言葉とみなされる。

  3. 秤を越えて

    もとの意味。荷の重さや量が、定められた分銅や規定の量を越えていること。市の目付や倉の司が使う、度量衡の言い方として残っている。

    éso fáron vánden salván.

    読み:エーソ ファーロン ヴァンデン サルヴァーン。

    és-ofáronvánd-ensalván.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>量る-<〜した・〜された>秤を越えて

    「荷は規定の分銅を越えて量られている。」

    市の目付や倉の司の記録的な言い方。vánden salván で「量り越されている」。原句 sal vándoi を縮めた度量衡の感覚が残る。

  4. 分を越えて・思い上がって

    an salván の形で、身分や立場にふさわしい高さを越えてふるまうこと。たしなめや陰口に使う。du salván なら、へりくだりすぎて卑屈なことを言う。

解説

「度を越して」「〜すぎる」を表す、語形の変わらない小辞。もとは「秤の外で」という句で、「秤で量れる範囲を越えて」という度量衡の感覚がそのまま「過ぎる」の意味になった。修飾する形容詞・分詞・動詞の後ろに置く(ésa fáron gróm salván「荷が重すぎる」)。縁の市の値切りでは「áuren salván!」(高すぎる)の形で、ほとんど決まり文句として使われる。都や宮廷では、この縮まった形を市の言葉、または崖道の言葉とみなし、改まった場では句の形 sal vándoi で言うか、比較の言い方(an+与格、du+与格)で遠回しに言う。高原の世界観では「中」の世界で釣り合いをとることがよいとされるので、上へも下へも秤の外に出ることは好まれない。そのため salván には、ほめる響きがほとんどない。「清すぎる」「高すぎる」のように上向きの性質につけても、少し皮肉な、行きすぎをたしなめる響きになる。日本語話者には「サルバン」と聞こえ、「おっしゃる」の selvén-(セルベン)や、「息を」の selván(セルバン)と聞き違えやすい。

文法

語形は変化しない。強勢は第二音節。修飾する語のすぐ後ろに置き、名詞句の中では形容詞・分詞の直後(属格や指示詞より前)に来る。動詞を修飾するときは文末か、目的語の後ろに置く。前置詞 an・du を前につけると、an salván「上へ行きすぎて・思い上がって」、du salván「下へ行きすぎて・へりくだりすぎて」のように、行きすぎた方向を言い分けられる。禁止の mé と組むと「〜しすぎるな」(mé mán salván!「食べすぎるな」)になる。宮廷語では縮まらない句の形 sal vándoi(〜の外に+秤〈重・単・与〉)を使う。

語源

前置詞 sal「〜の外に」+ vándo「秤」(重性o語幹)の与格 vándoi から。「秤の外で」という市の句が一語に縮まった。くだけた話し方の脱落で語末の -oi が落ち(*salvándoi → *salvánd)、むき出しの語幹と同じように語末の nd が n に削られて(vánd- → ván! と同じ変化)salván になった。市の目付が荷の重さを裁くときの言い方「秤の外に(=規定の重さを越える)」から広まったとされる。

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