小説
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客
家や館に招かれた、または訪ねてきた人。
méirim torárei nímbo te níla endríña.
読み:メーリン トラーレイ ニンボ テ ニーラ エンドリーニャ。
| méir-im | torár-ei | nímbo | te | níl-a | endríña. |
| 与える-<私が> | 客-<与格> | 乳<対格> | <関係節> | 飲む-<(軽いものが)> | 子ども<主格> |
「子どもが飲む乳を、私は客に出す。」
関係節のついた名詞句は節のいちばん最後に置くので、与格の torárei が目的語より前に出る。
níla torár ílmo gléin.
読み:ニーラ トラール イルモ グレーン。
| níl-a | torár | ílmo | gléin. |
| 飲む-<(軽いものが)> | 客<主格> | 水<対格> | 清い |
「客は清い水を飲む。」
VSO の基本の文。ílmo は重性o語幹で主格と対格が同じ形なので、形容詞も重性・対格の形(語尾なし)になる。客に清い水を出すのは、もてなしの場面でよく使う言い方。
na néulimor torárais grómais.
読み:ナ ネウリモル トラーライス グローマイス。
| na | néul-imor | torár-ais | gróm-ais. |
| <〜ない> | 好む-<我々が> | 客-<〜たちを> | 粗野な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「我々は粗野な客を好まない。」
直説法の否定なので、na を動詞の直前に置く。形容詞は語根に強勢を残したまま、軽性・複数・対格の -ais で名詞に一致する。
duméirim sáko snír autorárei.
読み:ドゥメーリン サーコ スニール アウトラーレイ。
| du-méir-im | sáko | snír | au-torár-ei. |
| <〜させていただく>-与える-<私が> | 塩<対格> | わずかな | <お〜になる・御〜>-客-<与格> |
「お客様に、わずかばかりの塩を差し上げます。」
客をもてなすとき、小皿の塩を出しながら言う決まった言い方。謙譲の du- は m- の前でそのままの形になる。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形で、形容詞 snír にも語尾がつかない。最高の礼である塩をわざと「わずかな」と言うのは、差し出す物を控えめに言う謙遜である。
auelénde torár an hóum.
読み:アウエレンデ トラール アン ホーン。
| au-el-énd-e | torár | an | hóum. |
| <お〜になる・御〜>-座る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 客<主格> | 上手 | 炉<対格> |
「お客人には、炉の上手へお座りいただきたく存じます。」
家の主が客を上座へ招く、改まった言い方。炉の北側(上手)が一段高い上座なので、an+対格の an hóum「炉の上手へ」で上座を指す。hóum は重性なので、対格も主格と同じ形になる。尊敬の接頭辞 au- が h で始まる語根につくと、h が落ちる(au-hél- → auél-)。目上の客には2人称を使わず、願望法の3人称で頼む。
dulíþes nóumo némes un torárail.
読み:ドゥリーセス ノーモ ネーメス ウン トラーライル。
| dul-íþ-es | nóumo | ném-es | un | torár-ail. |
| 下る-<〜させる>-<あなたが> | 体面<対格> | <私>-<属格> | 内に | 客-<〜らに> |
「お前は客たちの前で、私の顔をつぶした。」
相手をとがめる言い方。慣用句 nóumo dúlo の動詞を使役の dulíþ-「下ろす」に変えて、「人の面目を失わせる」の意味にしている。2人称の直説法を使っているので、下向きか、同じ段の相手への言い方になる。
lúin méira muró torárei, mé krailésa drál.
読み:ルーイン メーラ ムロー トラーレイ、メー クライレーサ ドラール。
| lúin | méir-a | muró | torár-ei, | mé | krail-és-a | drál. |
| とき | 与える-<(軽いものが)> | 濁り酒<対格> | 客-<与格> | <禁止・願いの打ち消し> | 持つ-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 器の首<対格> |
「客に濁り酒を注ぐときは、器の首をつかまぬこと。」
もてなしの作法を述べた文。lúin の節は主節の前に置く。主節は当為法を mé で否定した禁止の形。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、lúin の節の動詞も主節の動詞も軽性の形をとる。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主は客に塩を出す。」
もてなしの作法を述べる文。小さな皿に塩をひとつまみ載せて出すのが、客への最高の礼とされる。語順は動詞–主語–目的語–与格。sáko「塩」は干潟から借りた語で重性なので、主格と対格が同じ形。
ké tórau dáu torárau dórel? tórau.
読み:ケー トーラウ ダウ トラーラウ ドーレル?トーラウ。
| ké | tór-au | dáu | torár-au | dórel? | tór-au. |
| <〜か> | 来る-<双数> | 二 | 客-<双数> | 明日 | 来る-<双数> |
「「明日はお客が二人来るのか?」「来る。」」
二人の発話。家の中での打ち合わせ。数詞 dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、動詞も双数(人称・性の区別なし)。答えは問いの動詞を繰り返す。客が目上の人なら au- をつけた高め名詞にし、数えずに言う。
nelisénde autorár nímbo só.
読み:ネリセンデ アウトラール ニンボ ソー。
| nelis-énd-e | au-torár | nímbo | só. |
| お飲みになる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-客 | 乳<対格> | この<重性> |
「お客人には、この乳をお飲みいただきたく存じます。」
もてなしの決まった言い方。客を高めて au- をつけ、願望法の3人称で勧める。nímbo「乳」は重性o語幹なので、指示詞は重性の só になる。くだけた場なら níl-「飲む」の命令法を使うが、改まった場では尊敬の補充形 nélis- を使う。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主が客に塩を与える。」
基本の語順「動詞–主語–目的語–与格」。受け手は与格で言う。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞で、対格は主格と同じ形。客に小皿で塩をひとつまみ出すのは、もてなしの最高の礼とされる。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | もてなしの塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主は客に塩を出して、手厚くもてなす。」
「塩を出す(与える)」は、小皿にひとつまみの塩を載せて出す最高の礼を言う慣用句で、手厚い歓迎そのものを指す。受け手の客は与格 torárei で、目的語の後ろに置く。
méirim kailó si sáko torárei.
読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。
| méir-im | kailó | si | sáko | torár-ei. |
| 与える-<私が> | 乾酪<対格> | と | 塩<対格> | 客-<与格> |
「客に乾酪と塩をさしあげる。」
もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。
nelisénde autorár kailó só.
読み:ネリセンデ アウトラール カイロー ソー。
| nelis-énd-e | au-torár | kailó | só. |
| 召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-客<主格> | 乾酪<対格> | この<重性> |
「お客様に、この乾酪を召し上がっていただきたく存じます。」
段の高い客への上向きの言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の客を au- のついた3人称の主語として扱う。nélis- は「食べる」の尊敬の補充形で、強勢が -énd- に移る。kailó は重性なので、指示詞は重性の só になる。
aldanénde autorár ánorei.
読み:アルダネンデ アウトラール アーノレイ。
| aldan-énd-e | au-torár | ánor-ei. |
| おわす-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-客<主格> | 上座-<与格> |
「お客様には、どうぞ上座においでいただきたく存じます。」
客を迎えるときの改まった勧め。目の前の相手を3人称の主語として扱い、願望法で言う。aldán- は「いる」の尊敬の補充形。強勢は願望法の -énd- に移る。場所は前置詞なしの与格で表す。
tóra torár es dáloros lóuvanos.
読み:トーラ トラール エス ダーロロス ローヴァノス。
| tór-a | torár | es | dálor-os | lóuvan-os. |
| 来る-<(軽いものが)> | 客<主格> | から | 下の国-<属格> | 遠い-<重性・属格> |
「遠い下の国から客が来た。」
日常の知らせ。es+属格で「〜から」を表す。形容詞 lóuvan は、名詞の後ろで dáloros(重性・単数・属格)に一致して lóuvanos になる。時制の語形がないので、「来た」とも「来る」とも訳せる。
glóiren! duméirim sáko autorárei.
読み:グロイレン!ドゥメーリン サーコ アウトラーレイ。
| glóiren! | du-méir-im | sáko | au-torár-ei. |
| ようこそ | <〜させていただく>-与える-<私が> | 塩<対格> | <お〜になる・御〜>-客-<与格> |
「ようこそ。お客人に塩を差し上げます。」
客に小皿の塩をひとつまみ出す、最高のもてなしのときの言い方。謙譲の du- をつけた動詞と、au- で高めた与格の「お客人に」を並べ、自分と相手の上下を文法の上でも示す。sáko「塩」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
na mombrúumo unlóur brés toráres.
読み:ナ モンブルーモ ウンロール ブレース トラーレス。
| na | mombrúum-o | unlóur | brés | torár-es. |
| <〜ない> | 石落ちる-<(重いものが)> | まだ | 胸<主格> | 客-<属格> |
「客の胸はまだすっとしない(心配が残り、ほっとしていない)。」
長い懸念がまだ解けていないことを言う、くだけた観察・愚痴。否定のnaは動詞の前に置き、unlóur「まだ」は動詞の直後に置く。主語「客の胸」が重性なので動詞は3人称単数・重性の-oで受ける。
un sélnarail, snénan torárai.
読み:ウン セルナライル、スネーナン トラーライ。
| un | sélnar-ail, | snén-an | torár-ai. |
| 内 | 宿場-<〜らに> | 泊まる-<彼らが> | 客-<〜たちが> |
「宿場では客が泊まる。」
意味2。宿場の複数与格un sélnarailを場面枠として動詞前に置く。toráraiは客の複数主格。
sneníþa houmár toráran.
読み:スネニーサ ホウマール トラーラン。
| snen-íþ-a | houmár | torár-an |
| 泊まる-<〜させる>-<(軽いものが)> | 炉の主<主格> | 客-<対格> |
「炉の主人が客を泊める。」
基本語順 VSO に従い、動詞を文頭に置く。使役形 snen-íþ- で「泊める」。客人 torár は軽性子音語幹なので対格 toráran。
funelkráilim toráran
読み:フネルクライリン トラーラン
| funelkráil-im | torár-an |
| 綱に持つ-<私が> | 客-<対格> |
「私は客を綱の荷として引き受ける。」
引き受けを宣言する文。1人称の引き受け手は語尾 -im に現れる。torár-an は語基 torár と単数対格 -an の組み合わせなので、グロスは 客-ACC とする。人を目的語に取るため、単に荷を預かる意味ではなく、綱に掛かったものとして引き渡すまで責任を負う意味になる。縁の市では、この語で引き受けを述べたかどうかが争点になりうる。
múna torár un munándo
読み:ムーナ トラール ウン ムナンド
| mún-a | torár | un | munándo |
| 入る-<(軽いものが)> | 客<主格> | 中に | 土間<対格> |
「客が土間の中へ入る。」
日常。「入る」mún- に方向句 un+対格を添える。munándo は重性o語幹で、単数対格が主格と同形。
méirim krailílmo torárei.
読み:メーリン クライリルモ トラーレイ。
| méir-im | krailílmo | torár-ei |
| 与える-<私が> | 水袋<対格> | 客-<与格> |
「私は客に水袋を渡す。」
通行中や作業の合間に人へ差し出す水として扱う場面。méir-「与える」は、与えられる物 krailílmo に対して対格、受け手 torár に対して与格をとる。重性の名詞の対格は主格と同形で、krailílmo のままになる。
ké senkríla endríña es toráres?
読み:ケー センクリーラ エンドリーニャ エス トラーレス?
| ké | senkríl-a | endríña | es | torár-es? |
| <〜か> | 目を逸らす-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | から | 客-<属格> |
「その子は客から目を逸らすのか。」
日常会話での yes/no 問い。`es` に属格を添え、視線を外す対象を「〜から」で示す。主語の `endríña` は人なので動詞は軽性の `senkríla` を取る。
þéura orenvandár torárei.
読み:セウラ オレンヴァンダール トラーレイ。
| þéur-a | orenvandár | torár-ei |
| 背を向ける-<(軽いものが)> | 縁商人<主格> | 客-<与格> |
「縁商人は客に背を向けた。」
縁の市での売り断りの所作。申し出に背を向ける社会的な意味として自然な用法。対象は与格で示す。torár は語幹として扱い、与格語尾だけ -ei を分ける。
tiuléra faronár torárei.
読み:ティウレーラ ファロナール トラーレイ。
| tiulér-a | faron-ár | torár-ei. |
| 声を上げる-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人> | 客-DAT. |
「運び人が客に声を届ける。」
離れた相手へ、大きな声で注意や応答を届ける用法。宛先は与格に取る。声が届く距離での呼びかけを tiulér- で表すと、音量と遠達性が焦点になる。
ésa aldár slóura torárei.
読み:エーサ アルダール スローラ トラーレイ。
| és-a | aldár | slóura | torár-ei. |
| いる-<(軽いものが)> | 座<主格> | 空欄<主格> | 客-<与格> |
「客用の座は、空欄になっている。」
座席・役割の扱いが決まっていない状態。与格 torárei は受益者「客にとって」を表す。
salóur, na és-a torár.
読み:サロール、ナ エーサ トラール。
| salóur, | na | és-a | torár. |
| とはいえ | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 客<主格> |
「とはいえ、お客様はいません。」
相手の発言を受けて文頭に salóur を置き、留保・反論を切り出す用法。「とはいえ」を表す。torár は人を指す軽性なので存在動詞は és-a。na は直説法・推量法・仮定法を否定する小辞で、動詞の前に立つ。
salóur, gloiréla torár.
読み:サロール、グロイレーラ トラール。
| salóur, | gloir-él-a | torár. |
| とはいえ | お越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 客<主格> |
「とはいえ、お客様はおいでになるでしょう。」
改まった場・上向きの話し方。salóur のあとの文を推量法と敬語の補充形 glóir-「お越しになる」で和らげる用法。「とはいえ」を表す。torár は人を指す軽性なので、3人称単数・軽性の語尾 -a をとる。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。
ésa torár sé ormároi aldáres áurenes.
読み:エーサ トラール セー オルマーロイ アルダーレス アウレネス。
| és-a | torár | sé | ormár-oi | aldár-es | áur-en-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 客<主格> | この<軽性> | 左-<与格> | 座-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<属格・軽性> |
「この客は高き座の左側にいる。」
儀礼・書物での位置記述。人を指す名詞 torár には軽性の動詞形が対応する。左側を ormároi で示し、その持ち主を属格句 aldáres áurenes「高き座の」で後に受ける。左は尊い側とされる。
mé þulaurésa torárei
読み:メー スラウレーサ トラーレイ
| mé | þulaur-és-a | torár-ei |
| <禁止・願いの打ち消し> | 得意がる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 客-<与格> |
「客に対して偉そうにしてはならない。」
作法書のような無主語の当為法。人は軽性なので -és-a。mé と組んで規範的な禁止を表す。torárei は態度の向かう先。当為接尾辞が強勢を取り、語幹の元の強勢は消える。
na éso prámbo torárei sé.
読み:ナ エーソ プランボ トラーレイ セー。
| na | és-o | prámbo | torár-ei | sé |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 値打ち<主格> | 客-<与格> | この<軽性> |
「この客には値打ちがない。」
torár の与格 torárei に指示詞 sé を添える。torár は軽性。人をこの形にすると「この人は値打ちがない」という当てこすりになる。
ké ésa torár sé þelvéun?
読み:ケー エーサ トラール セー セルヴェウン?
| ké | és-a | torár | sé | þelvéun? |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 客<主格> | この<軽性> | 名知らぬ |
「この客は、名知らぬ方でしょうか。」
日常で、客がまだ名を告げていないことを、名なしと断じずに確認する言い方。torár は軽性単数なので動詞は és-a。指示詞 sé が名詞の直後に置かれ、その後の þelvéun は修飾語ではなく述語として読む。ké を使うのは同等・目下への問いで、客そのものではなく、同伴者や主人へ向けた確認とする。
gánimor tambór torárei.
読み:ガーニモル タンボール トラーレイ。
| gán-imor | tambór | torár-ei. |
| 贈る-<我々が> | 雑穀<対格> | 客-<与格> |
「我らは客に雑穀を贈る。」
客をもてなす場面での人情としての贈与を表す文。1人称複数で、家や炉ぐるみでの行為を示す。市での取引や値の約束ではなく、好意として渡すことを含みを持つ。
lúin gloiréla torár, gánimor sáko torárei.
読み:ルーイン グロイレーラ トラール、ガーニモル サーコ トラーレイ。
| lúin | gloir-él-a | torár, | gán-imor | sáko | torár-ei. |
| とき | お越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 客<主格> | 贈る-<我々が> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「客がおいでになると、我らは客に塩を贈る。」
作法や習わしを記すような文。時節の出来事を表す文では、lúin の後ろに動詞を続ける。客の来訪を glóir- で言い、主節では人情として塩を渡す。取引語ではなく、客への礼としての贈与を示す。
houméran endríñai si torárai ó
読み:ホウメーラン エンドリーニャイ シ トラーライ オー
| houmér-an | endríñ-ai | si | torár-ai | ó |
| 囲む-<彼らが> | 子ども-<〜たちが> | と | 客-<〜たちが> | <3人称単数・重性・対格> |
「子どもたちと客たちは、炉を囲んで炉ばたに集う。」
本来は目的語 hóum「炉」を伴う他動詞用法。目的語を省略しないため、3人称重性の対格 ó を残す。
kréva ólmar slóvo torárei.
読み:クレーヴァ オルマル スローヴォ トラーレイ。
| krév-a | ólmar | slóvo | torár-ei |
| 預かる-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 取り置き分<対格> | 客-<与格> |
「年長者が客の取り置き分を預かっておく。」
まだ来ていない者や予定者のために、先に一人分を確保しておく意味。動詞 krév- は「預かる・責任を持つ」。与格 torárei は受益者を示し、slóvo は重性単数の対格形。
dórel, éso unlóur slóvo torárei.
読み:ドーレル、エーソ ウンロール スローヴォ トラーレイ。
| dórel, | és-o | unlóur | slóvo | torár-ei |
| 明日 | 存在-<(重いものが)> | まだ | 取り置き分<主格> | 客-<与格> |
「明日の分も、客の取り置き分がまだある。」
予定者分を示す文。場面の枠として dórel を前に置き、主節では unlóur が動詞の直後に残置を添える。éso は és-o、slóvo は重性単数の主格。
ésa seiraldár toráres véun.
読み:エーサ セイラルダール トラーレス ヴェウン。
| és-a | seiraldár | torár-es | véun |
| いる-<(軽いものが)> | 待席<主格> | 客-<属格> | 空の |
「客の待席が空いている。」
家中の場の状況報告。存在・述語の文で、主語 seiraldár が軽性単数なので動詞は ésa。torár の属格 toráres が「誰の分の席か」を示す。形容詞 véun は属格より後ろにあるため、名詞句の外に出て述語と読む。
ésa brím torárei.
読み:エーサ ブリーン トラーレイ。
| és-a | brím | torár-ei |
| いる-<(軽いものが)> | 多弁<主格> | 客-<与格> |
「客は多弁だ。」
brímを礼法上の評価として「多弁」を指す名詞に使う用法。toráreiは人の属性を表す与格で、存在文と組んで「客に多弁がある」ことを示す。brímは軽性の名詞として扱う。
tína torár séndoi.
読み:ティーナ トラール センドイ。
| tín-a | torár | sénd-oi |
| 落ち着く-<(軽いものが)> | 客<主格> | ここ-<与格> |
「客はここに落ち着く。」
書物・地の文のような場面。人の身や心が、動揺・緊張・違和感を失ってその場に自然に立てるようになる意。tín- は慣れる対象を裸の与格で示す。séndo は副詞ではなく、sénd- の与格 séndoi を使う。
foumtáula torár þúumo sórel
読み:フォウンタウラ トラール スーモ ソーレル
| foumtául-a | torár | þúumo | sórel |
| いただく-<(軽いものが)> | 客<主格> | 汁<対格> | 今日 |
「客は今日、汁物をいただく。」
客をもてなす場面、あるいは礼法書・記録のような改まった叙述での用例。 foumtául- は温かい汁物を含む流質食物の食事を指す婉曲表現である。 foumtáula は三人称単数軽性で、主語 torár が人なので軽性語尾をとり、目的語 þúumo の性は影響しない。 þúumo は重性の o 語幹で、目的語(対格)でも主格と同形になる。
marméirim houmíño torárei
読み:マルメーリン ホウミーニョ トラーレイ
| marméir-im | houmíño | torár-ei |
| 手で差し出す-<私が> | 椀<対格> | 客-<与格> |
「(私は)客に椀を差し出す。」
marméir- は、まだ受取人が受け取っていない段階で用いる。受取人は与格で示す。houmíño は重性 o 語幹で、直接格には語尾がつかない。torár の与格は torárei。
bála houmár aldáran torárei.
読み:バーラ ホウマール アルダーラン トラーレイ。
| bál-a | houmár | aldár-an | torár-ei. |
| 空ける-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 座-<対格> | 客-<与格> |
「家の主が客のために座を空ける。」
炉ばたの上座の作法。席を次の人、ここでは客に譲るため空ける。与格単数で利益者を示す。
hoinkráila houmár toráran fándoi.
読み:ホインクライラ ホウマール トラーラン ファンドイ。
| hoinkráil-a | houmár | torár-an | fánd-oi |
| 出迎える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 客-<対格> | 戸口-<与格> |
「家の主は戸口で客を出迎える。」
もてなしや礼法の記述。fándoi は迎え場の与格。torár は軽性子音語幹の客で、対格単数は toráran。主語 houmár は人なので軽性。
séira toráran fándoi.
読み:セーラ トラーラン ファンドイ。
| séir-a | torár-an | fánd-oi |
| 待つ-<(軽いものが)> | 客-<対格> | 戸口-<与格> |
「戸口で客を待つ。」
迎え場としての用法。場所を示す fándoi は与格。toráran は目的語の対格で、目的語の枠を埋める。主語は動詞語尾から読み取れる3人称単数・軽性で、省略している。
nóumaura torár selúin.
読み:ノーマウラ トラール セルーイン。
| nóumaur-a | torár | selúin |
| ほてる-<(軽いものが)> | 客<主格> | 今 |
「客は、いま顔がほてっている。」
torár「客」は人の軽性名詞なので、動詞は3人称単数・軽性語尾 -a をとる。selúin「今」は時間表現として述語節の後に来る。ここでは内面の照れよりも、顔の上気という外見描写として使う。
lúin tóra torár, houmníla sélvan viráis.
読み:ルーイン トーラ トラール、ホウンニーラ セルヴァン ヴィライス。
| lúin | tór-a | torár, | houmníl-a | sélvan | vir-áis. |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 客<主格> | 炉ばたの話を盛り上げる-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 言葉-<〜たちを> |
「客が来ると、セルヴァンは炉ばたの話を盛り上げる。」
lúin の従属節で、客の来訪という炉ばたの場面を置く。torár が加わることで、人との距離を縮める比喩用法が立つ。sélvan は軽性の名として動詞 -a を受ける。
kréima ólmar loimán torárei.
読み:クレーマ オルマル ロイマーン トラーレイ。
| kréim-a | ólmar | loim-án | torár-ei. |
| 説明する-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 詞-<対格> | 客-<与格> |
「年長者は客に詞について説明する。」
儀礼・法廷での用い方。唱えることそのものではなく、詞の内容や作法を言葉で説明する意味になる。受け手は与格。
来訪者・よそ者
土地の外からやってきた人。旅人を含む。
pá ésa torár té?
読み:パー エーサ トラール テー?
| pá | és-a | torár | té? |
| 誰<主格> | いる-<(軽いものが)> | 来訪者<主格> | あの<軽性> |
「あのよそ者は誰だ。」
見慣れない人を見かけたときの、くだけた問い。疑問詞 pá は動詞の前に出る。指示詞 té は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。torár はもとは「来る者」で、招かれた客にも、土地の外から来た旅人にも使う。
þelésa torár þelán senárei.
読み:セレーサ トラール セラーン セナーレイ。
| þel-és-a | torár | þel-án | senár-ei. |
| 名乗る-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 来訪者<主格> | 名前-<対格> | 目付-<与格> |
「来訪者は目付に名を名乗るべし。」
市や崖道の決まりを書いた札や碑の文体。当為法で、主語の torár を明示している。þél-「名乗る」は名乗る名を対格でとり、名乗る相手を与格で言う。
よそから訪ねてきた人、客。客を迎えるときは相手の段に合わせて座る段の高さを変え、塩をひとつまみ載せた小皿を出すのが最高の礼とされる。目上の客には尊敬形 auþorár ではなく glóir-「お越しになる」から作った言い方を避け、ふつう aurtorár ではなく au- を規則どおりにつけた autorár「お客人」と言う。
名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。対 toráran、複 torárai。尊敬形 autorár
tór-「来る」+ -ár「〜する人」。「来る人」の意。名詞には敬語の補充形を使わない。
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