小説
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置く
ものをある場所に置く(léima torár fáron hóumoi「客が荷を炉のそばに置く」)。
auleiménde ausenár símbo sáindarei.
読み:アウレイメンデ アウセナール シンボ サインダレイ。
| au-leim-énd-e | au-sen-ár | símbo | sáindar-ei. |
| <お〜になる・御〜>-置く-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | 印<対格> | 証文-<与格> |
「目付殿に、証文に印をお押しいただきたく存じます。」
縁の市で市の目付に頼む改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、相手を役職名+au- で呼ぶ。「印を押す」は léim-「置く」で言う。sáindar は軽性の子音語幹で、与格は -ei。
léim fáron séndo, ende.
読み:レーン ファーロン センド、エンデ。
| léim | fáron | séndo, | ende. |
| 置く<命令法><あなたが> | 荷<対格> | ここ | どうぞ |
「荷はここに置いてくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹 léim で、末尾の ende「どうぞ」が添えてある。市は段に乗らない場なので、この形でも無礼にはならない。fáron は重性名詞なので、主格と対格が同じ形になる。
léimim fáron séndoi ré luuménde ausenár ó.
読み:レーミン ファーロン センドイ レー ルーメンデ アウセナール オー。
| léim-im | fáron | sénd-oi | ré | luum-énd-e | au-sen-ár | ó. |
| 置く-<私が> | 荷<対格> | ここ-<与格> | ように | ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | <3人称単数・重性> |
「「目付殿がご覧になれるよう、荷をここに置きます。」」
縁の市で荷を検めてもらうときの言い方。ré と願望法を組み合わせると目的を表す。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしい」という意味を表す。ó は荷を受ける重性の代名詞で、主格と対格が同じ形。
léim senó an orén!
読み:レーン セノー アン オレーン!
| léim | senó | an | orén! |
| 置く<命令法><あなたが> | 見張り<対格> | 上手 | 縁<対格> |
「縁の上手へ見張りを置け。」
崖の縁の番について言う下向きの命令。見張りの意味の senó は、人そのものではなく「見張る役目」として扱うので、重性のままで使う。見張る人個人を指すときは senár を使うのがふつうである。an+対格は「〜の上手へ」。
mé léim virán gráisan un múndo táses!
読み:メー レーン ヴィラーン グライサン ウン ムンド ターセス!
| mé | léim | vir-án | gráis-an | un | múndo | tás-es! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 置く<命令法><あなたが> | 言葉-<対格> | 悪い-<対格> | 内に | 口<対格> | <あなた>-<属格> |
「悪い言葉を口に入れるな(=口にするな)。」
親が子を叱るときの言い方。炉の前では粗野な言葉を口にしてはいけないとされる。禁止は「mé+命令法」で言う。un+対格で「〜の中へ」を表す。múndo は重性なので、対格は主格と同じ形になる。形容詞 gráis は軽性の virá に合わせて、対格の -an をとる。
léimim tambór un múndo.
読み:レーミン タンボール ウン ムンド。
| léim-im | tambór | un | múndo. |
| 置く-<私が> | 雑穀<対格> | 内に | 口<対格> |
「雑穀を口に運ぶ。」
食事の日常の言い方。un+対格で「〜の中へ」を表す。重性の múndo は対格でも主格と同じ形になる。主語は動詞の語尾 -im でわかるので言わない。
mé leimésa fáron un múndo orénos.
読み:メー レイメーサ ファーロン ウン ムンド オレーノス。
| mé | leim-és-a | fáron | un | múndo | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 置く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 荷<対格> | 内に | 出口<対格> | 縁-<属格> |
「縁の口の中へ荷を置かぬこと。」
市の決まりを刻んだ碑文の文体。道の口をふさがないための決まり。当為法は mé で否定する。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢は当為法の -és- に移る。un+対格で「〜の中へ」。
mé leimésa kréinul du dálor.
読み:メー レイメーサ クレーヌル ドゥ ダーロル。
| mé | leim-és-a | kréin-ul | du | dálor. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 置く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 遺骨-<〜たちを> | 下手 | 下の国<対格> |
「遺骨を下の国へ置かぬこと。」
葬送の作法を記した書きものの一句。当為法 -és- は mé で否定し、主語を言わないので一般の人が主語になって軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る(léim- → leimésa)。遺骨を谷底や崖の下に埋めることは禁じられている。
léima faronár klóno du ausenárei.
読み:レーマ ファロナール クローノ ドゥ アウセナーレイ。
| léim-a | faronár | klóno | du | au-sen-ár-ei. |
| 置く-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 膝<対格> | 下手 | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格> |
「運び人は目付殿の下手で膝をつく。」
目上の人の前で頭を低くする作法の描写。「膝をつく」は léim-「置く」+膝の対格 klóno で言う。klóno は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形。du+与格「〜の下手で」は、相手より低い位置に身を置くことを表す。目付は役職名に au- をつけて高める。
léimimor tambór órelei.
読み:レーミモル タンボール オーレレイ。
| léim-imor | tambór | órel-ei. |
| 置く-<我々が> | 雑穀<対格> | 日の光-<与格> |
「我々は雑穀を日なたに置く。」
乾風期の初めに、刈った穂を干すときの農作業の言い方。órelei は場所の与格で「日の光の当たる所に」。tambór は重性の子音語幹なので、対格は主格と同じ形になる(綴りは〈tamboro〉)。
léim fáron séndo, ende.
読み:レーン ファーロン センド、エンデ。
| léim | fáron | séndo, | ende. |
| 置く<命令法><あなたが> | 荷 | ここ | どうぞ |
「荷はここに置いてくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹 léim で言い、ende を添える。séndo「ここ」は格変化をしない場所の語。荷解きの場でよく聞かれる言い方である。
léimim sáko torárei.
読み:レーミン サーコ トラーレイ。
| léim-im | sáko | tor-ár-ei. |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | 来る-<〜する人>-<与格> |
「客人に塩をお出しする。」
受け手は与格 torárei で言う。小皿に塩をひとつまみ載せて客の前に置くのは最高のもてなしで、léim- がそのまま「(もてなしの品を)出す」の意味で使われる。重性の sáko は主格と対格が同じ形になる。
léimim fáron húmel elþéi.
読み:レーミン ファーロン フーメル エルセー。
| léim-im | fáron | húmel | elþ-éi. |
| 置く-<私が> | 荷<対格> | 湿った | 火-<与格> |
「湿った荷を火のそばに置く。」
霧期の家の中のふつうの言い方。fáron「荷」は重性なので、形容詞は語尾のない húmel のままになる。与格の elþéi は場所を表し、「火のところに」の意味になる。
léim plíndo fáron, ende.
読み:レーン プリンド ファーロン、エンデ。
| léim | plíndo | fáron, | ende. |
| 置く<命令法><あなたが> | 荷札 | 荷 | どうぞ |
「荷札を荷につけてくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹(命令法2単と同じ形)で、格語尾が落ちるので、改まった言葉なら与格 fáronoi になる「荷に」も fáron のままで言う。文末に ende を添えて頼む。荷札を「つける」は léim-「置く」で表す。
léimim símbo némes sáindarei.
読み:レーミン シンボ ネーメス サインダレイ。
| léim-im | símbo | ném-es | sáindar-ei. |
| 置く-<私が> | 印<対格> | <私>-<属格> | 証文-<与格> |
「証文に私の印を押します。」
「印を押す」は léim-「置く」に símbo を目的語にとって言う。押す先は与格で表す。帳簿と証文が重んじられる市の取引で、日常的によく聞く言い方。
lúin tóro nébro, mé leimésa símbo sáindarei.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー レイメーサ シンボ サインダレイ。
| lúin | tór-o | nébro, | mé | leim-és-a | símbo | sáindar-ei. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 置く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 印<対格> | 証文-<与格> |
「霧が来たら、証文に印を押さぬこと。」
法典や碑文に見られる当為法の禁止。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移り、語根の ´ は消える。前半は lúin「〜とき」の節で、霧 nébro は重性なので動詞は -o をとる。霧の中で結んだ約束は「霧の約束」として重んじられない、という禁忌を表している。
léima ráuvan gleinó an dún.
読み:レーマ ラウヴァン グレイノー アン ドゥーン。
| léim-a | ráuvan | gleinó | an | dún. |
| 置く-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 境石<対格> | 上手 | 丘<対格> |
「森の巫が、丘の上手へ境石を据える。」
境を定める儀式を述べる文。an+対格で「上手へ」。重性の dún は、対格も主格と同じ形になる。
léimimor kréinul an kreinándo.
読み:レーミモル クレーヌル アン クレイナンド。
| léim-imor | kréin-ul | an | kreinándo. |
| 置く-<我々が> | 骨-<〜たちを> | 上手 | 納骨所<対格> |
「我らは骨を上の納骨所へ納める。」
火葬のあと、骨を氏族の納骨所に収めるときの言い方。kreinándo は kréin「骨」に場所名詞の -ándo がついた重性の o 語幹で、主格と対格が同じ形になる。納骨所は北の高みや丘の上にあるので、an+対格「上手へ」で言う。骨は谷底や崖の下には決して埋めない。
léimir tambór un kórvo!
読み:レーミル タンボール ウン コルヴォ!
| léim-ir | tambór | un | kórvo! |
| 置く-<皆で〜せよ> | 雑穀<対格> | 中へ・中から | 倉<対格> |
「雑穀を倉の中へ納めよ。」
un+対格で「〜の中へ」を表す。kórvo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。命令法の2人称複数で、働き手たちに指図している。
léimim fáron séndoi. fláinim.
読み:レーミン ファーロン センドイ。フライニン。
| léim-im | fáron | sénd-oi. | fláinim. |
| 置く-<私が> | 荷<対格> | ここ-<与格> | 軽くなった |
「「ここに荷を置くぞ。ああ、軽くなった。」」
背負った荷を下ろしたときの、文字どおりの言い方。感謝の fláinim は、この「肩が軽くなった」という言い方から広がったとされる。重い荷を下ろすことは、信仰の上でも「軽くなる」ことと結びついている。
léimim sáko un trélmo.
読み:レーミン サーコ ウン トレルモ。
| léim-im | sáko | un | trélmo. |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | 内に | 棚<対格> |
「私は棚の中に塩を置く。」
意味1。 léim-「置く」に、収納の棚としての trélmo を un trélmo の形で与える。 un は「〜の中へ・中に」の前置詞。重性o語幹 trélmo の単数対格は主格と同形で、用例では見出し語 trélmo がそのまま現れる。
lúin léimim fáron, kruntiúlo marfúnel.
読み:ルーイン レーミン ファーロン、クルンティウーロ マルフーネル。
| lúin | léim-im | fáron, | kruntiúl-o | marfúnel. |
| とき | 置く-<私が> | 荷<対格> | 支えが軋む-<(重いものが)> | 腕木<主格> |
「「荷を置くと、腕木が軋む。」」
荷を受け止めるときの通常の作動音を示す日常表現。kruntiúl-の自然な主語は腕木・綱・橋脚などの支えで、ここではmarfúnelが重性・単数の主語。
léimim sáko só monkrúnoi
読み:レーミン サーコ ソー モンクルーノイ
| léim-im | sáko | só | monkrún-oi |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | この<重性> | 土台-<与格> |
「私はこの塩を石台の上に置く。」
家仕事の場面。目的語 sáko só「この塩」に続いて、与格 monkrún-oi が着地点を表す。石で作った台として用いられる。
léimim noralúsan an aldárei.
読み:レーミン ノラルーサン アン アルダーレイ。
| léim-im | noralús-an | an | aldár-ei. |
| 置く-<私が> | 夜粥-<対格> | 上手 | 座-DAT. |
「私は夜粥の膳を上手の座に据える。」
家庭での動作。「粥そのもの」より「定まった晩の膳」を指す用法。場所を表すには前置詞 an と与格を用いる。
léima ólmar ín slóvo.
読み:レーマ オルマル イーン スローヴォ。
| léim-a | ólmar | ín | slóvo |
| 置く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 一 | 人分<対格> |
「年長者が人分を一つ置いておく。」
配給・食事などの一人分を指す日常的な用例。主語 ólmar は人として軽性なので動詞は軽性単数。slóvo は重性o語幹の単数対格形。
un kórvoi éso mélvo léimen.
読み:ウン コルヴォイ エーソ メルヴォ レーメン。
| un | kórv-oi | és-o | mélvo | léim-en |
| 中に | 倉-<与格> | いる-<(重いものが)> | 板戸<主格> | 置く-<〜した・〜された> |
「板戸は倉に置かれている。」
物の所在や在庫を記す陳述文。述語受動の結果状態に場所を添えるため、前置詞句を動詞の前に出す。存在・状態を表す文では éso が主語の mélvo に一致し、他動詞 léim- の分詞 léimen が「置かれた」という結果の状態を作る。前置詞 un は与格と組んで「〜の中に」を表す。
léim sámon só un kórvo!
読み:レーン サーモン ソー ウン コルヴォ!
| léim | sámon | só | un | kórvo! |
| 置く<命令法><あなたが> | 生皮<対格> | この<重性> | 内に | 倉<対格> |
「この生皮を倉の中へ置け。」
作業場面での命令。重性の直接目的語 sámon は主格形と同一形のまま、目的語として用いる。
据える
碑や決まりごとをある場所に据える、定める。
þóro kéumo te léimsa brándal.
読み:ソーロ ケウモ テ レーンサ ブランダル。
| þór-o | kéumo | te | léims-a | brándal. |
| 立つ-<(重いものが)> | 碑<主格> | <関係節> | 据える<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 司<主格> |
「司が据えた碑が立っている。」
石の碑 kéumo は重性o語幹なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。関係節は無強勢の te の後ろに動詞を続けて作り、抜けた目的語の位置は空けたままにする。関係節の主語 brándal は人なので、動詞は軽性の -a になる。
léimsa brándal ré lisésa senár sáindaran.
読み:レーンサ ブランダル レー リセーサ セナール サインダラン。
| léims-a | brándal | ré | lis-és-a | sen-ár | sáindar-an. |
| 据える<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 司<主格> | <〜と(節)> | 書く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人・主格> | 証文-<対格> |
「司は、目付が証文を書くべしと定めた。」
léim- を決まりごとに使うと「定める」の意味になる。ré の後ろの節は、定められた中身を当為法のまま保つ。語根が二重母音をもつので、完了相は -s- を足して léims- にする。書かれたものを正しいとする王国らしい決まりの文。
léimsan aursárai sárvo ré mé duliþésa fáron du dálor.
読み:レーンサン アウルサーライ サルヴォ レー メー ドゥリセーサ ファーロン ドゥ ダーロル。
| léims-an | aursár-ai | sárvo | ré | mé | dul-iþ-és-a | fáron | du | dálor. |
| 据える<〜し終えた>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 禁忌<対格> | <〜と(節)> | <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 荷<対格> | 下手 | 下の国<対格> |
「祖先たちは、下の国へ荷を落としてはならぬという禁忌を定めた。」
ré の後ろの節は当為法を保ち、mé で否定している。主語を言わない当為法は「人は〜すべし」の意味で、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る。崖から物を落としてはいけない、という禁忌のいわれを語る文。
ものをある場所に置く、据えることを表す。置く場所は与格で示す。高原の人々は、石に刻んだ言葉は昇りも消えもせず、その場所に言葉を据えておくものと考えている。そのため、碑を建てて決まりを示すことも léim- で言う。上座に客の席を設けることにも使う。
完了語根は léims-。尊敬は auléim-、謙譲は duléim-(「お置きする・お供えする」)。
古高原語から受け継いだ語。
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