só

品詞
指示詞
意味
この(重)
発音
[ˈso]
読み
ソ
分野
代名詞・指示詞・疑問詞

意味

  1. この(重)

    重性の名詞の後ろに置いて、話し手の近くのものを指す。

    dúlo gandér kélen kelárar só du orén.

    読み:ドゥーロ ガンデール ケーレン ケラーラル ソー ドゥ オレーン。

    dúl-ogandérkél-enkel-ár-arsóduorén.
    下る-<(重いものが)>硬木<主格>伐る-<〜した・〜された>伐る-<〜する人>-<〜らの>この<重性>下手縁<対格>

    「樵たちが伐ったこの硬木が、縁へ下りていく。」

    名詞句の並び順は「名詞–分詞–属格–指示詞」。分詞は重性・単数・主格なので一致の語尾がない。分詞の後ろの属格 kelárar は「樵たちによって」の意味。関係節がないので、重性の指示詞 só が名詞句の終わりの目印になり、du orén は主節にかかる。

    éso fáron gróm só némei.

    読み:エーソ ファーロン グローン ソー ネーメイ。

    és-ofárongrómsóném-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重いこの<重性><私>-<与格>

    「私には、この重い荷がある。」

    指示詞 só が名詞句を閉じるので、gróm が名詞句の中にあることがはっきりする。

    éso fáron gróm némes só.

    読み:エーソ ファーロン グローン ネーメス ソー。

    és-ofárongrómném-essó.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い<私>-<属格>この<重性>

    「この、私の重い荷がある。」

    名詞・形容詞・属格・指示詞の順の名詞句。指示詞で閉じているので、gróm は名詞を飾る。

    sénim plíndo lísen lisáres senáres só.

    読み:セーニン プリンド リーセン リサーレス セナーレス ソー。

    sén-implíndolís-enlis-ár-essen-ár-essó.
    見る-<私が>荷札<対格>書く-<〜した・〜された>書く-<〜する人>-<属格>見る-<〜する人>-<属格>この<重性>

    「私は、書記が書いた目付のこの荷札を見る。」

    分詞のすぐ後ろの属格は動作主(書記が書いた)、その次の属格は持ち主(目付の)。

    ké éso fóndar só gléin? éso gléin.

    読み:ケー エーソ フォンダル ソー グレーン?エーソ グレーン。

    kéés-ofóndarsógléin?és-ogléin.
    <〜か>いる-<(重いものが)>源<主格>この<重性>清いいる-<(重いものが)>清い

    「「この泉は清いか?」「清い。」」

    二人の発話。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。fóndar は重性なので、繋辞は éso になる。述語の形容詞 gléin は重性・単数・主格に一致するが、この形には語尾がつかない。高原語には「はい」にあたる語がないので、答えでは問いの動詞をそのまま繰り返す。

    sén gandér só, ende.

    読み:セーン ガンデール ソー、エンデ。

    séngandérsó,ende.
    見る<命令法><あなたが>杭材この<重性>どうぞ

    「この丸太、検めてくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で、格語尾は落ちる。文末に ende を添える。市は段に乗らない場なので、命令法と同じ形でも無礼にはならない。指示詞は性で形が変わるだけなので、取引言葉でも重性の só が残る。

    éso lóur só gléin.

    読み:エーソ ロール ソー グレーン。

    és-olóursógléin.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>清い

    「この瀬は清い。」

    川辺や漁の場面のくだけた文。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。lóur「瀬」は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só を使う。述語の形容詞 gléin は、重性・単数・主格の形で語尾がつかない。

    dúl du þrén só.

    読み:ドゥール ドゥ スレーン ソー。

    dúlduþrénsó.
    下る<命令法><あなたが>下手段<対格>この<重性>

    「この段まで下りてこい。」

    坂道や石段でのくだけた命令。命令法の2人称単数なので、下向きの話し方か、ごく親しい間柄でしか使わない。þrén は重性なので、対格は主格と同じ形になり、指示詞は só を使う。du+対格で「下手へ」。目上の人より高い段に立つのは無礼とされるので、立つ段の高さに気を配る。

    sén fáron só!

    読み:セーン ファーロン ソー!

    sénfáronsó!
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>

    「この荷を見ろ!」

    下向きの命令。命令法の2人称単数は、語幹をむき出しにした sén の形になる。fáron は重性なので、対格でも格語尾がつかず、指示詞も重性の só になる。市の言葉で言うと sén fáron, ende となり、命令の強さは消える。

    éso gandér só gróm.

    読み:エーソ ガンデール ソー グローン。

    és-ogandérsógróm.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>重い

    「この硬木は重い。」

    主語の gandér が重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。ほかのものについて「重い」と言うとけなす響きになりがちだが、硬木の重さは「下へ行く」という成就のしるしなので、樵や森の司は誇りをこめてこう言う。

    éso fáron só gróm.

    読み:エーソ ファーロン ソー グローン。

    és-ofáronsógróm.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重い。」

    運び人がよく口にする日常の文。荷は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。指示詞が名詞句の終わりの目印になり、その後ろの gróm が述語だとわかる。

    éso gandér só gróm an gandéruls.

    読み:エーソ ガンデール ソー グローン アン ガンデールルス。

    és-ogandérsógrómangandér-uls.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>重い上手硬木-<〜らに>

    「この硬木は、硬木のなかでもいちばん重い。」

    最上級は「an+同じ仲間の複数与格」で言う。下向きの性質を an で比べると皮肉に聞こえやすいが、硬木にとって重さは成就のしるしなので、樵や森の司はこの言い方を誇らしげに使う。

    éso lóna só krán.

    読み:エーソ ローナ ソー クラーン。

    és-olónasókrán.
    いる-<(重いものが)>柱材<主格>この<重性>硬い

    「この柱材は硬い。」

    材木を検めるときの言い方。名詞は軽性の語形 lóna のままだが、繋辞は重性の -o、指示詞は重性の só になり、形容詞も重性の形をとる。立ち木について言う þóra lóna áuren(軽性)と比べるとよい。

    nóurim ré éso fáron só gróm.

    読み:ノーリン レー エーソ ファーロン ソー グローン。

    nóur-imréés-ofáronsógróm.
    思う-<私が>といる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重いと思う。」

    運び人が荷を担ぐ前に言うような日常の文。思った内容の節も ré で導く。節の主語 fáron は重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。

    pá dulíþa fáron só?

    読み:パー ドゥリーサ ファーロン ソー?

    pádul-íþ-afáronsó?
    誰<主格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>この<重性>

    「この荷は誰が下ろすのだ?」

    降ろし場で荷の担い手を尋ねる言い方。疑問詞 pá を文頭に出している。人を指すので、動詞は軽性の -a をとる。目上の人には問いの形を使わず、推量法で言い換える。

    éso dún tó lóuvan, éso dún só trúin.

    読み:エーソ ドゥーン トー ローヴァン、エーソ ドゥーン ソー トルーイン。

    és-odúntólóuvan,és-odúnsótrúin.
    いる-<(重いものが)>丘<主格>あの<重性>遠いいる-<(重いものが)>丘<主格>この<重性>近い

    「あの丘は遠く、この丘は近い。」

    重性の指示詞 tó「あの」と só「この」を並べた対比の文。繋辞 és- は主語 dún(重性)に一致して éso になる。述語の形容詞は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。道案内でよく使われる形の文。

    sén kumbór só, ende. pómbar?

    読み:セーン クンボール ソー、エンデ。ポンバル?

    sénkumbórsó,ende.pómbar?
    見る<命令法><あなたが>青銅この<重性>どうぞどれほど

    「この青銅を見てくれ、頼む。どれほどだ?」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で使い、格語尾は落とす。最後の pómbar? は、目方や値を尋ねる決まった言い方で、これだけで使う。kumbór は金属なので重性になり、指示詞も重性の só をとる。

    ké éso már táses só?

    読み:ケー エーソ マール ターセス ソー?

    kéés-omártás-essó?
    <〜か>いる-<(重いものが)>手跡<主格><あなた>-<属格>この<重性>

    「「この手跡はお前のものか。」」

    はい・いいえの問いで、ké を文のいちばん前に置く。már は重性なので、指示詞は重性の só、繋辞は -o。手紙や証文の筆跡が誰のものか確かめるときの、下向きの問い。目上の人には ké を使わず、推量法で尋ねる。

    tául fréun só, ende.

    読み:タウル フレウン ソー、エンデ。

    táulfréunsó,ende.
    取る<命令法><あなたが>額帯<対格>この<重性>どうぞ

    「この額帯を取ってくれ、頼む。」

    縁の市や崖道で使う取引言葉の言い方で、むき出しの語幹に ende を添える。fréun は重性なので、指示詞は重性の só になる。重性名詞は対格の語尾がもともとないため、格語尾が落ちる取引言葉でも形は変わらない。

    brúumo ílmo es drálos só.

    読み:ブルーモ イルモ エス ドラーロス ソー。

    brúum-oílmoesdrál-ossó.
    落ちる-<(重いものが)>水<主格>から器の首-<属格>この<重性>

    「この(甕の)口もとから水がこぼれる。」

    drál は、甕や瓶の細くくびれた口もとも指す。重性の指示詞 só は格変化せず、名詞句の終わりに置く。主語の ílmo「水」は重性なので、動詞は -o をとる。

    pón ombéres? ombérim fáron só.

    読み:ポーン オンベーレス?オンベーリン ファーロン ソー。

    pónombér-es?ombér-imfáronsó.
    何<対格>指さす-<あなたが>指さす-<私が>荷<対格>この<重性>

    「「何を指さしている?」「この荷を指さしている。」」

    二人の発話。高原語には「はい」がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて答える。ombér- は ómbo「指」に -ér- がついてできた動詞。物を指さすのは禁忌に当たらない。

    éso dalorár só gróm.

    読み:エーソ ダロラール ソー グローン。

    és-odalorársógróm.
    いる-<(重いものが)>泥の者<主格>この<重性>重い

    「この泥の者は重い(粗野な奴だ)。」

    あからさまな侮辱。繋辞 éso と指示詞 só が重性の一致になっていて、述語の gróm「重い」も重性・単数・主格の形(語尾なし)で受けている。人について「重い」と言うと、粗野で上へ昇れない者という意味になる。改まった場では口にしない。

    éso þéul só gléin.

    読み:エーソ セウル ソー グレーン。

    és-oþéulsógléin.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>この<重性>清い

    「この湧き水は清い。」

    繋辞 éis- を先頭に置いた「AはBだ」の文。þéul は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 gléin は、重性・主格の形(語尾なし)で一致している。泉の水が清いことは、日常でもよく話題にされる。

    nelisénde ausenár frélo só.

    読み:ネリセンデ アウセナール フレーロ ソー。

    nelis-énd-eau-sen-árfrélosó
    召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>湖の魚<対格>この<重性>

    「目付殿に、この湖の魚を召し上がっていただきたく存じます。」

    目上の客に料理を勧めるときの上向きの言い方。命令法の代わりに願望法の3人称を使い、相手は役職名に au- をつけて主語にする。nélis- は「食べる」の尊敬の補充形で、願望法の -énd- に強勢が移る。魚は重性なので、指示詞は重性の só になる。

    faronéran faronárai árnelan só du orén.

    読み:ファロネーラン ファロナーライ アルネラン ソー ドゥ オレーン。

    faron-ér-anfaron-ár-aiárnel-ansóduorén.
    荷-<〜でする>-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>木-<対格>この<重性>下手縁<対格>

    「運び人たちがこの材木を縁へ担いでいく。」

    faronér-「担ぐ」は fáron「荷」に、名詞から動詞を作る -ér- をつけた語。faronár「運び人」は同じ語に -ár「〜する人」をつけた語。伐られた木なので、名詞は軽性の対格 árnelan のまま、指示詞は重性の só で一致させる。名詞の語尾と一致の性が食い違うのは、伐った木の決まった扱い方。

    mé mán sóumbo só!

    読み:メー マーン ソーンボ ソー!

    mémánsóumbosó!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>きのこ<対格>この<重性>

    「このきのこを食べるな!」

    禁止は「mé+命令法」で言う。2人称単数の命令法は語尾のない語幹 mán だけの形。sóumbo は重性o語幹なので対格も sóumbo のままで、指示詞も重性の só になる。きのこの見分けは年長者の知恵で、子どもに向けた下向きの禁止として、日常でよく使う言い方。

    nelisénde aulisár tambór só.

    読み:ネリセンデ アウリサール タンボール ソー。

    nelis-énd-eau-lis-ártambórsó.
    召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>雑穀<対格>この<重性>

    「書記の方に、この雑穀を召し上がっていただきたく存じます。」

    目上の客に食べ物を勧める、上向きの言い方。命令法は使わず、願望法の3人称を使って、目の前の相手を「書記の方は」という主語として扱う。nélis- は mán-「食べる」の尊敬の補充形で、名詞の aulisár にも au- がつく。願望法の3人称単数・軽性の語尾は -e になる。

    nelisénde autorár nímbo só.

    読み:ネリセンデ アウトラール ニンボ ソー。

    nelis-énd-eau-torárnímbosó.
    お飲みになる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-客乳<対格>この<重性>

    「お客人には、この乳をお飲みいただきたく存じます。」

    もてなしの決まった言い方。客を高めて au- をつけ、願望法の3人称で勧める。nímbo「乳」は重性o語幹なので、指示詞は重性の só になる。くだけた場なら níl-「飲む」の命令法を使うが、改まった場では尊敬の補充形 nélis- を使う。

    auríþen, dúmarim tambór só.

    読み:アウリーセン、ドゥーマリン タンボール ソー。

    auríþen,dúmar-imtambórsó.
    かたじけないいただく-<私が>雑穀<対格>この<重性>

    「かたじけない、この雑穀をいただきます。」

    目上の人から食べ物を出されたときの返し。dúmar- は mán-「食べる」の謙譲の補充形で、強勢は語根の最初の音節にある。礼の言葉 auríþen を先に言い、読点で区切ってから動詞を置く。

    na dúmarim sóumbo só, ausenár.

    読み:ナ ドゥーマリン ソーンボ ソー、アウセナール。

    nadúmar-imsóumbosó,au-sen-ár.
    <〜ない>いただく-<私が>きのこ<対格>この<重性><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、このきのこはいただけません。」

    目上の人に出された食べ物を、へりくだって断るときの言い方。na は直説法の動詞の直前に置く。日常では呼格を使わず、役職名に au- をつけて、文の終わりに読点で区切って添える。理由を言い添えない短い断り方なので、強く響くこともある。

    dumaréndim nímbo só.

    読み:ドゥマレンディン ニンボ ソー。

    dumar-énd-imnímbosó.
    頂戴して飲む-<〜しますように>-<私が>乳<対格>この<重性>

    「この乳を頂戴したく存じます。」

    dúmar- は、出された飲み物をへりくだって飲むことにも使う。1人称の願望法 -éndim で「〜させていただきたい」という、へりくだった願いを表す。強勢は -énd- に移る。客が、出された器に手をつける前に言う。

    ké éso sóumbo só þérno?

    読み:ケー エーソ ソーンボ ソー セルノ?

    kéés-osóumbosóþérno?
    <〜か>いる-<(重いものが)>きのこ<主格>この<重性>毒きのこ<主格>

    「このきのこは毒きのこか?」

    はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。sóumbo も þérno も重性o語幹なので、指示詞は重性の só、繋辞は重性の éso になる。答えは動詞を繰り返して、éso(そうだ)、na éso(違う)と言う。

    faronéra faronár fáron só.

    読み:ファロネーラ ファロナール ファーロン ソー。

    faronér-afaron-árfáronsó.
    担ぐ-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>荷<対格>この<重性>

    「運び人がこの荷を担ぐ。」

    faronér- は fáron「荷」に、名詞から動詞を作る -ér- がついた語で、強勢は -ér- にある。主語の faronár「運び人」は人なので軽性で、動詞は -a をとる。fáron は重性なので主格と対格が同じ形で、VSO の位置から目的語だとわかる。指示詞も重性の só で一致している。

    þóro lóna kélen só.

    読み:ソーロ ローナ ケーレン ソー。

    þór-olónakél-ensó.
    立つ-<(重いものが)>柱の木<主格>伐る-<〜した・〜された>この<重性>

    「この、伐った柱の木の柱が立っている。」

    lóna「柱の木」は、名詞としては軽性a語幹の語形のままである。けれども伐られて材になっているので、動詞は重性の þóro、分詞 kélen も重性・主格の形(語尾なし)、指示詞も重性の só で一致する。生えている木なら þóra lóna sé となる。

    éso gandér só sáun.

    読み:エーソ ガンデール ソー サウン。

    és-ogandérsósáun.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>良い

    「この硬木は良質だ。」

    森の司の検め役が、丸太の等級を確かめて言う言い方。形容詞が述語になるときも主語に一致する。gandér は重性なので、繋辞は és-o、重性の指示詞は só になり、sáun は重性・単数・主格の形(語尾なし)をとる。

    éso tambór só gráis.

    読み:エーソ タンボール ソー グライス。

    és-otambórsógráis.
    いる-<(重いものが)>雑穀<主格>この<重性>悪い

    「この雑穀は質が悪い。」

    市で品質に文句をつけるときの言い方。「AはBだ」の文は繋辞 éis- で始める。主語の tambór が重性なので、繋辞は -o になる。述語の形容詞も重性・単数・主格の形をとり、語尾はつかない。

    éso gandér só mór an gandéruls.

    読み:エーソ ガンデール ソー モール アン ガンデールルス。

    és-ogandérsómórangandér-uls.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>大きい上手硬木-<〜らに>

    「この硬木は、硬木の中でいちばん大きい。」

    「いちばん〜」は、an に同じ仲間の複数与格を続けて言う。森の司の検め役や樵が、丸太を見比べるときの言い方。

    mé mán sóumbo pír só!

    読み:メー マーン ソーンボ ピール ソー!

    mémánsóumbopírsó!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>きのこ<対格>小さいこの<重性>

    「この小さなきのこを食べるな。」

    雨期のきのこ採りで、年長者が若い者に注意する言い方。名詞句は「名詞–形容詞–指示詞」の順で、重性の指示詞 só が名詞句の終わりを示す。

    éso kéumo só fóndel.

    読み:エーソ ケウモ ソー フォンデル。

    és-okéumosófóndel.
    いる-<(重いものが)>碑<主格>この<重性>古い

    「この碑は古い、由緒のあるものだ。」

    碑は石なので重性で、繋辞も -o になる。fóndel は「長く続いて由緒がある」という、ほめる含みのある「古い」である。ただ古びて傷んでいることを言うときは trúum を使う。

    éso nébro só gráis, na lísimor sáindaran.

    読み:エーソ ネーブロ ソー グライス、ナ リーシモル サインダラン。

    és-onébrosógráis,nalís-imorsáindar-an.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>この<重性>不吉な<〜ない>書く-<我々が>証文-<対格>

    「この霧は縁起が悪い。我々は証文を書かない。」

    霧期には大事な契約を結ばないという習わしを、兆しの言い方で述べている。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só になる。重性・単数・主格の形容詞には語尾がつかない。主節が二つ並ぶので、あいだを読点で区切る。

    povéra senár faronárei ré pá dulíþa fáron só.

    読み:ポヴェーラ セナール ファロナーレイ レー パー ドゥリーサ ファーロン ソー。

    povér-asen-árfaronár-eirépádul-íþ-afáronsó.
    取り調べる-<(軽いものが)>見る-<〜する人>運び人-<与格><〜と(節)>誰<主格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>この<重性>

    「「目付は運び人を取り調べ、誰がこの荷を下ろしたのかと問いただす。」」

    「取り調べる」の意味では、調べられる人を対格の目的語にとる。ré の節の中では、疑問詞 pá「誰」が動詞の前に出ている。重性の指示詞 só は、名詞 fáron の後ろに置く。

    duglénim ausenárei tambór só.

    読み:ドゥグレーニン アウセナーレイ タンボール ソー。

    du-glén-imau-sen-ár-eitambórsó.
    <〜させていただく>-返礼する-<私が><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>雑穀<対格>この<重性>

    「目付殿に、お返しとしてこの雑穀を差し上げます。」

    もてなしを受けたあとの改まった返礼の言葉。謙譲の du- で自分の行いを低め、相手には au- のついた与格を使って、上下の関係を文法に表している。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形で、指示詞も重性の só になる。

    éso gandér só rúgal.

    読み:エーソ ガンデール ソー ルーガル。

    és-ogandérsórúgal.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>粗い

    「この硬木は手ざわりが粗い。」

    材木の表面の様子を言う、日常の文。gandér「硬木」は重性なので、繋辞は -o の形(éso)、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 rúgal は重性・単数・主格の形で、語尾がつかない。

    nelisénde autorár kailó só.

    読み:ネリセンデ アウトラール カイロー ソー。

    nelis-énd-eau-torárkailósó.
    召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-客<主格>乾酪<対格>この<重性>

    「お客様に、この乾酪を召し上がっていただきたく存じます。」

    段の高い客への上向きの言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の客を au- のついた3人称の主語として扱う。nélis- は「食べる」の尊敬の補充形で、強勢が -énd- に移る。kailó は重性なので、指示詞は重性の só になる。

    luuménde aurél kumbór ámbel só.

    読み:ルーメンデ アウレール クンボール アンベル ソー。

    luum-énd-eaurélkumbórámbelsó.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)>あの方<主格>青銅<対格>金色のこの<重性>

    「あの方に、この金色の青銅をご覧いただきたく存じます。」

    上向きの依頼で、尊敬の補充形 lúum- の願望法を使う。青銅 kumbór は金属なので重性で、指示詞も重性の só になる。鋳物師の家の使いが器を差し出すような改まった場面の言い方。

    éso þéul só þáil.

    読み:エーソ セウル ソー サイル。

    és-oþéulsóþáil.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>この<重性>澄んだ

    「この湧き水は澄んでいる。」

    地を流れる水は重性なので、繋辞は éiso、指示詞は só になる。水の濁りのなさを言う、いちばん基本の用法。

    éso lóur só þáil, an þráinos tóro.

    読み:エーソ ロール ソー サイル、アン スライノス トーロ。

    és-olóursóþáil,anþráin-ostór-o.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>澄んだ上手峰-<属格>来る-<(重いものが)>

    「この瀬は澄んでいる。峰の方から流れてくる水だ。」

    水の澄み方を言う用法。瀬 lóur は重性なので、繋辞は éiso、形容詞は重性の主格(語尾なし)。重性の指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示す。後半は an+属格で「上手から」を表し、主語は前半と同じ瀬。北の高みから来る水ほど清いとされる。

    kráil reinándo só!

    読み:クライル レイナンド ソー!

    kráilreinándosó!
    手に持つ<命令法><あなたが>雨水甕<対格>この<重性>

    「この甕を持っておいで。」

    家の中で年長者が子どもに言う、下向きの命令。命令法の2人称単数はむき出しの語幹 kráil。reinándo は重性なので、指示詞は só になる。軒の甕に集めた雨水は、墨をするのにも、祀りの器を清めるのにも使われる。

    brúumo reinándo bóralos só.

    読み:ブルーモ レイナンド ボーラロス ソー。

    brúum-oreinándobóral-ossó.
    落ちる-<(重いものが)>樋<主格>家-<属格>この<重性>

    「この家の樋が落ちた。」

    reinándo は甕も樋も表す。軒から落ちるものとして言われていれば、樋の意味だとわかる。重性なので動詞は -o をとる。時制がないので、文脈によって「落ちる」とも「落ちた」とも訳せる。

    bróla kelár reinándo bóralos só.

    読み:ブローラ ケラール レイナンド ボーラロス ソー。

    bról-akel-árreinándobóral-ossó.
    作る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>樋<対格>家-<属格>この<重性>

    「樵がこの家の樋を作る。」

    重性の reinándo は主格と対格が同じ形なので、VSO の語順で目的語だとわかる。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」で、指示詞 só は中心の名詞 reinándo(重性)に合わせる。樋は軒に渡して雨水を甕へ導く。

    kráilir dáu fúnelou só!

    読み:クライリル ダウ フーネロウ ソー!

    kráil-irdáufúnel-ousó!
    手に持つ-<皆で〜せよ>二綱-<双数>この<重性>

    「「皆でこの二本の綱を持て!」」

    降ろし場で運び人たちに向けて言う、崖道の言葉の下向きの命令。宮廷語なら dáu の後ろは双数(fúnelou)になるが、崖道の言葉では双数が衰えているので、複数の fúnelul で代用している。重い丸太は二本の綱をひと組にして吊るすことが多い。

    sén kórvo só!

    読み:セーン コルヴォ ソー!

    sénkórvosó
    見る<命令法><あなたが>倉<対格>この<重性>

    「この倉を見ろ。」

    目下の相手への命令。kórvo は重性なので、指示詞は重性の só になる。重性o語幹は対格の語尾をもたず、主格と同じ形で目的語になる。

    luuménde ausenár símbo só.

    読み:ルーメンデ アウセナール シンボ ソー。

    luum-énd-eau-senársímbosó.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-目付印<対格>この<重性>

    「目付殿に、この印をご覧いただきたく存じます。」

    市で、手代などが目付にじかに頼むときの上向きの話し方。目の前の相手を2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を3人称の主語にして、願望法で言う。símbo「印」は重性なので、対格は主格と同じ形で、指示詞も só になる。

    sén símbo gandéros só!

    読み:セーン シンボ ガンデーロス ソー!

    sénsímbogandér-ossó!
    見る<命令法><あなたが>焼印<対格>硬木-<属格>この<重性>

    「この硬木の焼印を見ろ。」

    下向きの命令。森の司の検め役が、運び人や樵に向かって言うような言い方。硬木の丸太には木札を結べないので、木口に焼印を押す。並び順は「名詞–属格–指示詞」。

    ké lísa lisár plíndo só?

    読み:ケー リーサ リサール プリンド ソー?

    kélís-alis-árplíndosó?
    <〜か>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>荷札<対格>この<重性>

    「書記がこの荷札を書くのか。」

    はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。荷札は伐った脂の木の板なので重性o語幹で、主格と対格が同じ形の plíndo になる。指示詞も重性の só を使う。動詞は主語の lisár(人なので軽性)に一致して -a をとる。

    luuménde ausenár dulfáron só.

    読み:ルーメンデ アウセナール ドゥルファーロン ソー。

    luum-énd-eau-sen-árdulfáronsó.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下ろし荷<対格>この<重性>

    「目付殿に、この下ろし荷をご覧いただきたく存じます。」

    都の大商家の手代が市の目付に頼むときの、改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を「目付殿」という主語として扱う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。下ろし荷は重性なので主格と対格が同じ形で、指示詞も重性の só を使う。

    ké ésa loimá kéumos só ráuvanes?

    読み:ケー エーサ ロイマー ケウモス ソー ラウヴァネス?

    kéés-aloimákéum-ossóráuvan-es?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>碑の詞<主格>碑-<属格>この<重性>森の巫-<属格>

    「この碑の詞は、森の巫のものか?」

    古い碑の前で交わす問い。降ろし場の碑のように、森の巫の詞をそのまま刻んだ碑がある。名詞句の終わりの指示詞 só は重性の形なので、軽性の loimá ではなく、重性の kéumo(碑)にかかる。そのため「この碑の」と読む。答えは動詞を繰り返して ésa、または na ésa と言う。

    ésa loimá kéumos só trálen sóndelei.

    読み:エーサ ロイマー ケウモス ソー トラーレン ソンデレイ。

    és-aloimákéum-ossótrál-ensóndel-ei.
    いる-<(軽いものが)>碑の詞<主格>碑-<属格>この<重性>写す-<〜した・〜された>書物-<与格>

    「この碑の詞は、書物に書き写されている。」

    受け身の専用の形はないので、「és-+主語+分詞」で結果の状態を言う。石に刻んだ言葉はその場に据えておくものとされ、書き写して書物に残すのは書の司の役目である。指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示し、分詞 trálen はそのあとの述語になる。与格 sóndelei は写す先を表す。

    faronér fáron só sal kórvo!

    読み:ファロネール ファーロン ソー サル コルヴォ!

    faronérfáronsósalkórvo!
    担ぐ<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>〜の外に倉<対格>

    「この荷を倉の外へ担ぎ出せ。」

    運び人に向けた、下向きの命令。sal が対格と組むと「〜の外へ」という移動の向きを表す。kórvo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。faronér- は名詞 fáron「荷」に -ér- がついてできた動詞で、命令法の2人称単数では語幹がそのまま出る。

    faronér fáron só, ende. nés, éso ó gróm.

    読み:ファロネール ファーロン ソー、エンデ。ネース、エーソ オー グローン。

    faronérfáronsó,ende.nés,és-oógróm.
    担ぐ<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>どうぞいや・だめだいる-<(重いものが)><3人称単数・重性>重い

    「「この荷を担いでくれ、頼む。」「いや、そいつは重い。」」

    縁の市で、運び人が荷の担ぎを断るやりとり。nés は市の取引言葉の短い断りの返事で、都の改まった言葉では使わない。断ったあとに理由を添えることが多い。繋辞の文は「éis-+主語+述語」の順で、重性の代名詞 ó を受けて動詞は -o、形容詞 gróm も重性・主格の形になる。

    nés! na méirim gandér só.

    読み:ネース!ナ メーリン ガンデール ソー。

    nés!naméir-imgandérsó.
    いや・だめだ<〜ない>与える-<私が>硬木<対格>この<重性>

    「だめだ!この硬木はやれない。」

    値の折り合いがつかないときに、売り手が申し出をはねつける言い方。nés を独立して先に叫び、そのあとに na で否定した文を続けて念を押す。na は動詞の直前に置く。市の外でこの語を使うと、ぶっきらぼうで下品に響く。

    pórin vóilimor símbo só?

    読み:ポーリン ヴォイリモル シンボ ソー?

    pórinvóil-imorsímbosó?
    どのように見分ける-<我々が>印<対格>この<重性>

    「この印は、どう見分ければいいのか。」

    荷札や焼印のしるしの読み方を仲間に尋ねる言い方。疑問詞 pórin は動詞の前に置く。símbo は重性なので、指示詞も重性の só を使う。

    ké ráines ombríl só?

    読み:ケー ライネス オンブリール ソー?

    kéráin-esombrílsó?
    <〜か>知る-<あなたが>句<対格>この<重性>

    「この句を知っているか。」

    同じ段か目下の相手への、くだけた問い。ombríl は重性なので、指示詞は重性の só を使う。「はい」「いいえ」にあたる語はなく、ráinim(知っている)か na ráinim(知らない)と動詞を繰り返して答える。

    ké vóiles kéumo só?

    読み:ケー ヴォイレス ケウモ ソー?

    kévóil-eskéumosó?
    <〜か>読む-<あなたが>碑<対格>この<重性>

    「この碑を読めるか。」

    古い字形の碑を前にした、くだけた問い。「〜できる」にあたる語形はなく、直説法のまま「読むか」で能力も尋ねる。kéumo は重性の o語幹なので、対格も主格と同じ形で、指示詞は só を使う。

    ké pándes ombríl só?

    読み:ケー パンデス オンブリール ソー?

    képánd-esombrílsó?
    <〜か>刷る-<あなたが>十拍の句<対格>この<重性>

    「この句を刷るのか。」

    詩合わせで勝った詩は木版で刷られて広まる。その刷りを話題にした、並びか下向きの問い。ombríl「十拍の句」は重性なので、主格と対格が同じ形になり、指示詞は só を使う。直説法には法の印がなく、時制もないので、「刷るのか」とも「刷っているのか」とも訳せる。

    éso glünó só krán.

    読み:エーソ グリュノー ソー クラーン。

    és-oglünósókrán.
    である-<(重いものが)>氷<主格>この<重性>硬い

    「この氷は硬い。」

    繋辞の文で、「éis-+主語+述語」の順に並ぶ。主語の glünó が重性なので、繋辞は -o、指示詞は só になる。凍りの頃に、氷に乗れるかどうかを確かめるときの言い方。

    ké éso só fírna? na éso. na éso só póin sal árnelei.

    読み:ケー エーソ ソー フィルナ?ナ エーソ。ナ エーソ ソー ポイン サル アルネレイ。

    kéés-osófírna?naés-o.naés-osópóinsalárnel-ei.
    <〜か>いる-<(重いものが)>この<重性>筆<〜ない>いる-<(重いものが)><〜ない>いる-<(重いものが)>この<重性>何か外木-<与格>

    「「これはペン(書く道具)ですか?」 「いいえ。これはただの木の棒です」」

    直訳は「これは筆か?」「(筆では)ない。これは木の外の何ものでもない」。辞書の語だけで訳せたので、仮置きの語はありません。既存の用例と照らし合わせましたが、食い違いは見つからなかったので、元の訳のまま返します。 1. 「ペン」:辞書の fírna(筆)を使いました。「書く道具」の意味にちょうど合います。 2. 「これ」:指示詞 só を単独で「これ」として使いました(定型句 póso「これは何だ」と同じ使い方)。重性の só にしたのは、指している物が伐った木の切れ端だからです。伐った木は荷札と同じく重性で受けます(既存の sén gandér só と同じ)。繋辞も só に合わせて重性の éso にしました。述語の fírna は軽性の名詞ですが、述語の名詞は自分の性・主格のまま置くので、形は変えていません(既存の na éso nébro fléura と同じ組み立て)。 3. 問いの形:目上かどうか分からない相手へのふつうの問いとして、文頭に ké を置きました(既存の ké éso fóndar só gléin? と同じ形)。目上の人に聞くなら、ké を使わず推量法で尋ねます。 4. 「いいえ」:高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がありません。そこで問いの動詞を繰り返して na をつけ、na éso としました。動詞は物に一致しているので、人称は変わりません(既存の「na éso tambór némei」と同じ)。 5. 「ただの木の棒」は言い換えました。「棒」にあたる語はないので、árnel(木・材木)で「木切れ」の意味にしました。「ただの」にあたる語もないので、na … póin sal árnelei「木の外の何ものでもない」と否定で言い換えました。前置詞 sal(〜の外に)がとる格は決まっていません。ほかの前置詞が「その場にあること」を与格で言うのにならって、与格にしました。 6. 性の決め方:árnel は生えている木と同じ軽性の子音語幹とみて、与格を -ei にしました。名詞の形は伐っても軽性のままで、一致だけが重性になります。póin(何か)は疑問詞 pó にならって重性とし、主語 só と同じく、繋辞は重性の éso にしました。

    éso fáron só kórvino só.

    読み:エーソ ファーロン ソー コルヴィノ ソー。

    és-ofáronsókórvinosó.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>受け入れられるべきもの<主格>この<重性>

    「この荷は、受け入れられるべきものだ。」

    比喩的用法。「運搬桶」が「倉に納めるべき品・運ぶべき責任」を指す。コピュラ文で述語の名詞は自分の性・主格のまま。fáron は重性なので指示詞 só。

    séna senár séulo tambóros só un plíndoi.

    読み:セーナ セナール セウロ タンボーロス ソー ウン プリンドイ。

    sén-asen-árséulotambór-ossóunplínd-oi.
    見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>配分<対格>雑穀-<属格>この<重性>内に札-<与格>

    「目付が、この札に書かれた雑穀の配分を見る。」

    縁の市の公式な場面。市の目付(senár)が、脂の木の薄板で作った札(plíndo)に書かれた与え分を確認する。重性の対格は主格と同形なので、動詞直後の senár が主語、次の séulo が目的語と語順で決まる。指示詞 só で名詞句を閉じ、その後に前置詞句 un plíndoi が続く。

    éso séulo tambóros só hóumoi.

    読み:エーソ セウロ タンボーロス ソー ホーモイ。

    és-oséulotambór-ossóhóum-oi.
    いる-<(重いものが)>配分<主格>雑穀-<属格>この<重性>炉-<与格>

    「この雑穀の配分は、炉の前にある。」

    炉ばたでの日常の場面。倉から与えられた雑穀の与え分が炉の前にある状態を示す。重性o語幹の séulo は主格と対格が同形。裸の与格で場所「炉のところに」を表す。

    ombrélo bóral só.

    読み:オンブレーロ ボーラル ソー。

    ombrél-obóralsó.
    足りる-<(重いものが)>家<主格>この<重性>

    「この家は、すべてがそろっている。」

    比喩的な意味。家計・備え・役割のすべてが欠けなく整っていることを指す。bóral は重性子音語幹。só は重性の指示詞で名詞句を閉じる。改まった場で家柄を称える言い方。

    táulim vrélmo só

    読み:タウリン ヴレルモ ソー

    tául-imvrélmosó
    取る-<私が>毛皮<対格>この<重性>

    「この毛皮を取る。」

    市や家のやりとりで、品を選ぶ場面。重性名詞 vrélmo は単数対格も主格と同じ形で、指示詞 só も格によって形を変えない。主語「私」は動詞の語尾 -im が表し、代名詞は省略される。

    krélau vrélmo só si tambór só

    読み:クレーラウ ヴレルモ ソー シ タンボール ソー

    krél-auvrélmosósitambórsó
    足りる-<双数>毛皮<主格>この<重性>と雑穀<主格>この<重性>

    「この毛皮とこの雑穀が足りている。」

    森の民や湖畔の市で、物々交換の持ち寄りを確かめる場面。単数の名詞を si で二つ並べると、動詞は双数になる。双数動詞 krélau は性を区別しないので、重性の vrélmo と tambór を並べてもこの形を使う。

    éso áurmo só sáun.

    読み:エーソ アウルモ ソー サウン。

    és-oáurmosósáun.
    be-<(重いものが)>smell<主格>this<重性>good

    「この匂いはいい。」

    日常会話で、身近にある匂いの良否を述べる文。主語名詞句 áurmo só は重性 o 語幹で、動詞 éso はこれに一致して 3 人称単数・重性の語尾 -o をとる。述語形容詞 sáun は重性単数主格の無語尾形。

    vrínim vríndo só.

    読み:ヴリーニン ヴリンド ソー。

    vrín-imvríndosó.
    またぐ-<私が>敷居<対格>この<重性>

    「私はこの敷居をまたぐ。」

    日常の動作文。動詞語尾 -im が一人称単数の主語を示し、代名詞は省かれる。vríndo は重性o語幹の名詞で、対格は主格と同形。指示詞 só は重性の名詞句を閉じる。

    éso vríndo só gléin.

    読み:エーソ ヴリンド ソー グレーン。

    és-ovríndosógléin.
    いる-<(重いものが)>敷居<主格>この<重性>清い

    「この敷居は清い。」

    書物や儀礼の場向けの説明文。存在・繋辞の és- を動詞として動詞文に組み立てる。vríndo は主格で、重性o語幹では主格と対格が同形。述語の形容詞 gléin は主語 vríndo に一致するが、重性単数主格では語尾が現れない。

    éso houméro só némei.

    読み:エーソ ホウメーロ ソー ネーメイ。

    és-ohoumérosóném-ei.
    いる-<(重いものが)>袋<主格>この<重性><私>-<与格>

    「私にはこの袋がある。」

    日常会話の所有文。houméro は重性o語幹の単数で、主格と対格が同形。存在動詞 éso は、形態素としては és-o と分け、主語 houméro に一致して重性の語尾 -o をとる。持ち主は裸の与格で示す。

    kráil beilíño só, ende!

    読み:クライル ベイリーニョ ソー、エンデ!

    kráilbeilíñosó,ende!
    手に持つ<命令法><あなたが>小袋<対格>この<重性>どうぞ

    「この腰袋を持ってくれ、頼む。」

    親しい者どうしのくだけた依頼。beilíño は重性o語幹で、単数対格は主格と同形。命令法のむき出しの語幹に、固まった願望の決まり文句 ende が添えられる。改まった場ではこの語は使わない。

    klonéro klóno só.

    読み:クロネーロ クローノ ソー。

    klonér-oklónosó.
    膝が抜けてよろける-<(重いものが)>膝<主格>この<重性>

    「この膝が抜けてよろけた。」

    書物のような簡潔な文。体の部位を主語に取る用法で、完全に倒れるのではなく、一瞬だけ膝が抜けて踏ん張れる状態を指す。

    éso trélmo só, téir trélmul.

    読み:エーソ トレルモ ソー、テール トレルムル。

    és-otrélmosó,téirtrélm-ul.
    いる-<(重いものが)>棚<主格>この<重性>三棚-<〜たちが>

    「この棚は三段ある。」

    意味2。多段棚の高さとしての trélmo を数える例。主語 trélmo は単数、述語名詞 téir trélmul は複数主格。用例では主語に原形 trélmo を立てる。

    éso nórlo só náum.

    読み:エーソ ノルロ ソー ナウン。

    és-onórlosónáum.
    いる-<(重いものが)>寝床<主格>この<重性>柔らかい

    「この寝床は柔らかい。」

    日常の判断文。主語の nórlo が重性なので、存在・繋辞 éso は -o。述語形容詞 náum は主語に一致し、重性・単数・主格では語尾がない。指示詞 só は名詞句を閉じる。

    hóinim du nórlo só.

    読み:ホイニン ドゥ ノルロ ソー。

    hóin-imdunórlosó.
    帰る-<私が>下手寝床<対格>この<重性>

    「私はこの寝床へ戻る。」

    日常動作。寝床は家の中でも地面にいちばん近い低い所なので、低い所への移動を表す du で取る。重性名詞の単数対格は主格と同形。

    kráil waró só, ende

    読み:クライル ワロー ソー、エンデ

    kráilwarósó,ende
    手に持つ<命令法><あなたが>水がめ<対格>この<重性>どうぞ

    「この水がめを持っていて、頼む。」

    炉ばたでの依頼文。kráil「手に持つ」は両手で抱える水がめと結びつく。命令法はむき出しの語幹。waróは直接目的語だが、重性は対格語尾が付かない。指示詞sóは重性名詞と対応する。依頼の決まり文句 ende は、文末に読点で区切って添える。

    un kórvoi, éso unlóur vrúndo só húmel.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ ウンロール ヴルンド ソー フーメル。

    unkórv-oi,és-ounlóurvrúndosóhúmel.
    内倉-<与格>,いる-<(重いものが)>まだ束<主格>この<重性>湿った

    「倉の中では、この束はまだ湿っている。」

    場面の枠に前置詞句を置いた状態文。見出し語 vrúndo は単数主格のまま使う。

    krúelo unlóur dulglüno só.

    読み:クルーエロ ウンロール ドゥルグリュノ ソー。

    krúel-ounlóurdulglünosó.
    動く-<(重いものが)>まだつらら<主格>この<重性>

    「「まだ、このつららは揺れている。」」

    凍りの頃の日常の言葉。重性o語幹の単数主格で、指示詞 só を後ろに添えている。副詞 unlóur は動詞の直後に置く。

    rímbim dulglüno só.

    読み:リンビン ドゥルグリュノ ソー。

    rímb-imdulglünosó.
    数える-<私が>つらら<対格>この<重性>

    「「私がつららを数えている。」」

    記録・勘定の場面。重性o語幹の単数対格は主格と同じ見出し形。指示詞 só は性を示す。

    houmélim snáuroi só.

    読み:ホウメーリン スナウロイ ソー。

    houmél-imsnáur-oisó.
    住む-<私が>町-<与格>この<重性>

    「私はこの町に住んでいる。」

    居住の動詞 houmél- は場所を裸の与格で表す。snáur は重性子音語幹で、与格単数 -oi。指示詞 só は格変化せず名詞の後ろに置かれる。日常の自己紹介や所在を告げる定型。

    géla vándar es snáuros só du orén.

    読み:ゲーラ ヴァンダル エス スナウロス ソー ドゥ オレーン。

    gél-avándaressnáur-ossóduorén.
    行く-<(軽いものが)>商人<主格>から町-<属格>この<重性>下手縁<対格>

    「商人はこの町を下って縁へ行く。」

    移動の動詞 gél- に、起点の es+属格、下向きの方向の du+対格を続ける。商人は人なので動詞の一致は軽性 -a。snáur の属格は重性 -os。du orén は「下手へ、縁へ」の定型句。

    snémba kelár gandér só.

    読み:スネンバ ケラール ガンデール ソー。

    snémb-akel-árgandérsó.
    こする-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>硬木<対格>この<重性>

    「樵がこの硬木を指先で確かめるようにこする。」

    森や木口の場面。主語 kelár は人を指す軽性なので、動詞は3人称単数軽性 -a をとる。硬木 gandér は重性で、単数の直接目的語は主格と同じ形のまま。指示詞 só は重性名詞句を閉じる。

    brúna kelár plén só.

    読み:ブルーナ ケラール プレーン ソー。

    brún-akel-árplénsó
    背負う-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>板この<重性>

    「樵がこの板を背負う。」

    日常生活の文。plén は加工された木材を指す重性名詞で、単数の目的語では plén のまま。指示詞 só は重性の plén に一致する。主体の kelár は人なので軽性の動詞語尾 -a をとる。

    klélo dulíño só

    読み:クレーロ ドゥリーニョ ソー

    klél-odulíñosó
    走る-<(重いものが)>小滝<主格>この<重性>

    「この小滝は流れている」

    書物や見聞録の地の文。主語が重性o語幹の単数のため、動詞は3人称単数重性語尾 -o をとる。指示詞 só は主語名詞句に後置。動詞 klél- は水流に使う「走る」。

    klén seníño só!

    読み:クレーン セニーニョ ソー!

    klénseníñosó
    拭く<命令法><あなたが>涙(婉曲・指小)<対格>この<重性>

    「「この涙を拭いて。」」

    日常の対話で、子どもなど目下の人の涙を拭う場面。seníño は婉曲・指小の重性o語幹名詞で、単数の主格と対格は同形のため、対格でも語尾には変化が現れない。

    þálo seníño só, endríña.

    読み:サーロ セニーニョ ソー、エンドリーニャ。

    þál-oseníñosóendríña
    止まる-<(重いものが)>涙(婉曲・指小)<主格>この<重性>子

    「「涙が止まりますよ、子ども。」」

    子守唄で幼い子どもに語りかける場面。涙を直接大きな語で言わず、seníño として小さく言い表している。呼びかけの語は名詞のままで、日常では呼格の語尾を使わない。

    snúl tanó só!

    読み:スヌール タノー ソー!

    snúltanósó
    締める<命令法><あなたが>弦<対格>この<重性>

    「この弦を締めろ。」

    弦の張り加減を直す場面での、日常の直接命令。tanóは重性o語幹で、単数目的語は主格と同一形。指示詞sóは重性のtanóに性一致する。

    na krélo tanó só.

    読み:ナ クレーロ タノー ソー。

    nakrél-otanósó
    <〜ない>足りる-<(重いものが)>弦<主格>この<重性>

    「この弦は張りが足りない。」

    弓や楽器の点検で、張りが足りないと述べる言い方。主語tanóは重性o語幹なので、krél-「足りる」は3人称単数・重性の-oを用いる。tanóは弦そのものの張力・緊張に焦点を当てる語として使われる。

    na buléro búl só.

    読み:ナ ブレーロ ブール ソー。

    nabulér-obúlsó.
    <〜ない>絡まる-<(重いものが)>根<主格>この<重性>

    「この根は、からみ合わない。」

    否定小辞 na は動詞の直前に置く。主語 búl「根」は重性なので、動詞は3人称単数重性 -o を受ける。根・糸がからみ合う原義。

    bríno filó só.

    読み:ブリーノ フィロー ソー。

    brín-ofilósó
    ほつれる-<(重いものが)>縫い目<主格>この<重性>

    「この縫い目がほどけた。」

    日常会話。修理前の状態。brín は自動詞で、糸筋が布面からほつれる意。filó は「ほどけた糸筋」の対象として使える。

    frunéndes filó só.

    読み:フルネンデス フィロー ソー。

    frun-énd-esfilósó
    繕う-<〜しますように>-<あなたが>縫い目<対格>この<重性>

    「この縫い目を繕ってくれ。」

    日常会話の依頼。frún の2人称願望法。重性o語幹 filó の単数対格は主格と同形で、指示詞 só は性のみ変わる。

    frún fúnel só!

    読み:フルーン フーネル ソー!

    frúnfúnelsó
    繕う<命令法><あなたが>綱<対格>この<重性>

    「この綱を繕え!」

    荷を支える綱の修理を命じる、くだけた実務語。命令法は語幹むき出しで、指示詞 só が名詞句を閉じる。

    vélma faronár filduló só.

    読み:ヴェルマ ファロナール フィルドゥロー ソー。

    vélm-afaron-árfildulósó.
    開く-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>刻み通路<対格>この<重性>

    「運び人がこの刻み通路を開く。」

    落石・倒木・雪などで通れなくなった通路を、人が通り抜けられるようにする用法。主語 faronár は軽性。filduló は重性名詞で、対格は無標識。

    éso fáron só navánden

    読み:エーソ ファーロン ソー ナヴァンデン

    és-ofáronsóna-vánd-en
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性><〜ない>-量る-<〜した・〜された>

    「この荷は取るに足らぬ。」

    縁の市で品物を値踏みする日常の場面。形容詞は主語の重性単数主格と一致し、語尾を添えない。実際の品物に直接向けると切り捨てが強い。

    éso króndel só gróm.

    読み:エーソ クロンデル ソー グローン。

    és-okróndelsógróm
    いる-<(重いものが)>石の定め<主格>この<重性>重い

    「この石の定めの効力はこの場で重い。」

    日常の縁や倉で、石を据えて立てた場規則の効力を口に出す言い方。króndel は石そのものを規則の本体とみなす語として重性子音語幹。指示詞 só は重性単数で名詞句を閉じ、gróm はその外で述語形容詞として主語に一致する。

    krémbim fróumo só.

    読み:クレンビン フローモ ソー。

    krémb-imfróumosó
    引く-<私が>荷車<対格>この<重性>

    「私はこの荷車を引く。」

    日常会話。重性o語幹の単数対格は主格と同形で無標識。fróumoは車輪単体ではなく荷車全体を指す。指示詞sóは重性のみの形。

    houmníla ólmar dreló só.

    読み:ホウンニーラ オルマル ドレロー ソー。

    houmníl-aólmardrelósó.
    炉に与える-<(軽いものが)>年長者<主格>火棒<対格>この<重性>

    「年長者がこの火棒を炉にくべる。」

    炉に棒類をくべる古い火棒用法。主語は人なので軽性一致、目的語は重性o語幹の単数対格。

    éso dreumó só gróm

    読み:エーソ ドレウモー ソー グローン

    és-odreumósógróm
    いる-<(重いものが)>炭<主格>この<重性>重い

    「この炭は重い(上質の黒炭だ)。」

    日常で質を評するときの文。存在・繋辞の és- が3人称単数・重性の -o を取り、主語 dreumó に合わせる。dreumó só は「この炭」。形容詞 gróm は動詞句の述語として働き、重性の主格形をとる。ここでの重さは単なる物理的な重みではなく、火力が安定した良質な黒炭のしるしとして言うことがある。

    sénir sándorul só!

    読み:セーニル サンドルル ソー!

    sén-irsándor-ulsó!
    見る-<皆で〜せよ>穂-<〜たちを>この<重性>

    「これらの穂を見て。」

    命令法2人称複数は語尾 -ir を立てる。sándor は重性で、複数対格は主格と同形 -ul。指示詞 só は重性。

    na houmsálo hóum só

    読み:ナ ホウンサーロ ホーン ソー

    nahoumsál-ohóumsó
    <〜ない>炉が鳴る-<(重いものが)>炉<主格>この<重性>

    「この炉は鳴らない」

    炉そのものが低く鳴るという字義用法。houm「炉」を主語として明示している。指示詞 só は重性名詞 hóum に合わせる。

    éso snór só snóil.

    読み:エーソ スノール ソー スノイル。

    és-osnórsósnóil.
    存在-<(重いものが)>範囲この<重性>狭い

    「この範囲は狭い。」

    日常会話で、実物の寸法ではなく、許容範囲・扱いの幅など抽象的な広がりとして使う例。指示詞sóは範囲を指す名詞句の末尾を閉じる。

    éso berunglǘn só þáun.

    読み:エーソ ベルングリューン ソー サウン。

    és-oberunglǘnsóþáun.
    いる-<(重いものが)>道氷<主格>この<重性>薄い

    「この道氷は薄い。」

    日常の観察。指示詞 só が名詞句を閉じ、形容詞 þáun が名詞句の外に出ているので、存在文ではなく「この道氷は薄い」という述語文として読む。重性名詞 berunglǘn の単数では形容詞に特別な語尾がつかない。歩行面に張った脆い薄氷(意味2)として、割れやすい性質を述べる。

    éso monkrún só gróm

    読み:エーソ モンクルーン ソー グローン

    és-omonkrúnsógróm
    存在-<(重いものが)>土台<主格>この<重性>重い

    「この土台は重い。」

    日常会話。重性子音語幹の monkrún を主語に立て、述語の形容詞 gróm を後に置く。指示詞は重性の só を用いる。

    léimim sáko só monkrúnoi

    読み:レーミン サーコ ソー モンクルーノイ

    léim-imsákosómonkrún-oi
    置く-<私が>塩<対格>この<重性>土台-<与格>

    「私はこの塩を石台の上に置く。」

    家仕事の場面。目的語 sáko só「この塩」に続いて、与格 monkrún-oi が着地点を表す。石で作った台として用いられる。

    þrándim gandér só.

    読み:スランディン ガンデール ソー。

    þránd-imgandérsó
    打つ-<私が>硬木<対格>この<重性>

    「私はこの硬木を打つ。」

    日常の作業。動詞は1人称単数。硬木は重性名詞で、単数対格は主格と同形。

    þrándir kumbór só!

    読み:スランディル クンボール ソー!

    þránd-irkumbórsó
    打つ-<皆で〜せよ>青銅<対格>この<重性>

    「この青銅を打ち直せ。」

    作業場での指示。命令法複数では語幹 þránd- に -ir をつける。青銅は重性名詞で、対格は無標示。

    éso ílmo só síval

    読み:エーソ イルモ ソー シーヴァル

    és-oílmosósíval
    いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>青い

    「この水は青い。」

    日常会話で、湖や沢の水の色を指して言う文。指示詞 só は重性名詞 ílmo に添う。与格・場所がないので存在文ではなく繋辞文として読む。述語形容詞 síval は重性単数主格で無語尾。緑がかった青緑や緑とは別の青を示す。

    krévim þórum só.

    読み:クレーヴィン ソールン ソー。

    krév-imþórumsó.
    預かる-<私が>炉番<対格>この<重性>

    「この炉番を、私が引き受けます。」

    夜間の家事や家屋の分担の場面。意味2「炉番」では、夜間に炉火を落さぬ務めを引き受ける言い方が自然。krév-「預かる」は責任を引き受ける動詞で、重性名詞 þórum は目的語でも主格と同形のまま置ける。

    sén faroníño só!

    読み:セーン ファロニーニョ ソー!

    sénfaroníñosó
    見る<命令法><あなたが>豆<対格>この<重性>

    「この豆を見て。」

    命令法2人称単数は語幹をそのまま用いる。faroníño は重性なので、対格も主格と同形のまま。指示詞 só は重性単数。

    sénim kráum só

    読み:セーニン クラウン ソー

    sén-imkráumsó
    見る-<私が>露岩<対格>この<重性>

    「私はこの露岩を見る。」

    日常の案内で使える簡単な文。kráumは重性名詞なので対格も主格と同形である。指示詞 só は重性の名詞句の終わりに置かれる。

    mé duliþésa fáron es kráumos só

    読み:メー ドゥリセーサ ファーロン エス クラウモス ソー

    médul-iþ-és-afároneskráum-ossó
    <禁止・願いの打ち消し>下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>から露岩-<属格>この<重性>

    「この崖壁から荷を落とすな。」

    碑文や市の禁令のような改まった禁止表現。当為法が無主語のまま使われている。es+属格で「〜から」。ここでの kráum は、崩れやすい崖壁・崖縁を指している。

    hélau dáun kráumoi só

    読み:ヘーラウ ダウン クラウモイ ソー

    hél-audáunkráum-oisó
    座る-<双数>二人<主格>露岩-<与格>この<重性>

    「二人はこの岩棚に休む。」

    移動中の短い休憩を表す日常文。双数の主語 dáun は省略できない。自然の棚として与格 kráumoi を裸で受ける。人工の棚板には kráum を使わない。

    ké éso unlóur gólvo só?

    読み:ケー エーソ ウンロール ゴルヴォ ソー?

    kéés-ounlóurgólvosó
    <〜か>いる-<(重いものが)>まだ旧道<主格>この<重性>

    「この旧道は、まだありますか。」

    場面:日常会話。存在の動詞が重性主語に一致して3人称単数重性のésoになっている。疑問小辞kéは文頭に置き、副詞unlóurは動詞の直後、主語の前に置く。gólvo sóは重性o語幹の単数主格名詞句。

    éso gandér só nalóun.

    読み:エーソ ガンデール ソー ナローン。

    és-ogandérsóna-lóun.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性><〜ない>-長い

    「この硬木は短い。」

    木市や検めで、硬木の材木としての実長が長くないことを言う意味1。重性名詞 gandér に合わせ、繋辞 éso、指示詞 só。重性単数主格では形容詞に語尾がつかず nalóun のまま。

    éso lóur só nalóun.

    読み:エーソ ロール ソー ナローン。

    és-olóursóna-lóun.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性><〜ない>-長い

    「この瀬は短い。」

    瀬は川が一段落ちてから次の落ちまでのひと続き。距離・行程が長くなく近接している意味3。重性名詞 lóur に合わせ éso・só。重性単数主格では nalóun のまま。

    marwéino vandó só.

    読み:マルウェーノ ヴァンドー ソー。

    marwéin-ovandósó.
    使い古される-<(重いものが)>分銅<主格>この<重性>

    「この分銅は使い古されている。」

    日常の市・帳場。青銅の分銅は重性o語幹。よく手に取られて、手の動きに添うようになってきた道具について言う。

    marwéino fúnel só némei.

    読み:マルウェーノ フーネル ソー ネーメイ。

    marwéin-ofúnelsóném-ei.
    手になじむ-<(重いものが)>綱<主格>この<重性><私>-<与格>

    「この綱は、私には手に馴染んでいる。」

    日常の会話。与格némeiは経験者・使用者を表す。fúnel「綱」は重性。

    ké éso prúumo an orénoi? na éso.

    読み:ケー エーソ プルーモ アン オレーノイ?ナ エーソ。

    kéé-soprúumoanorén-oi?naé-so.
    <〜か>存在-<(重いものが)>水たまり<主格>上手縁-<与格><〜ない>存在-<(重いものが)>

    「「縁の上手に水たまりがあるか。」「ない。」」

    日常会話。an と与格 orénoi が場所を示す。prúumo は重性o語幹で、単数主格は辞書形のままとする。存在文への否定応答は éso を繰り返す。

    na sénim þoumsnúlvo só.

    読み:ナ セーニン ソウンスヌルヴォ ソー。

    nasén-imþoumsnúlvosó.
    <〜ない>見る-<私が>煙穴<対格>この<重性>

    「この煙穴が見えない。」

    日常会話向けの文。þoumsnúlvo は重性 o 語幹とみなし、対格は主格と同形。否定小辞 na は動詞の前に置く。動詞 sénim が 1 人称単数を表すため、人称代名詞は置かない。指示詞 só は重性の名詞句に一致する。

    kráil fláumo só, ende.

    読み:クライル フラウモ ソー、エンデ。

    kráilfláumosó,ende.
    持つ<命令法><あなたが>枠<対格>この<重性>,どうぞ

    「この枠を持っていて、頼む。」

    日常の作業・運搬の場面での依頼。命令法の目的語と指示詞のあとに、決まり文句 ende を添える。ende は動詞ではなく独立の小辞。

    éso unó só klér.

    読み:エーソ ウノー ソー クレール。

    és-ounósóklér
    いる-<(重いものが)>裏<主格>この<重性>冷たい

    「この裏は冷たい。」

    物や衣の背面を表す用法。表へ向けていない面を unó といい、重性名詞 unó に重性の指示詞 só を後置する。

    na wéro unlóur ílmo só.

    読み:ナ ウェーロ ウンロール イルモ ソー。

    nawér-ounlóurílmosó.
    <〜ない>滴る-<(重いものが)>まだ水<主格>この<重性>

    「この水はまだぽつぽつと落ちていない。」

    状態確認での日常的な否定。否定小辞 na は直説法の前に置き、まだを表す unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。

    púlim gromó só fenlapúloi.

    読み:プーリン グロモー ソー フェンラプーロイ。

    púl-imgromósófenlapúl-oi.
    叩く-<私が>体<対格>この<重性>蒸し枝-<与格>

    「私はこの体を蒸し枝で軽く叩く。」

    汗蒸し小屋での日常の所作を示す文。fenlapúl は重性子音語幹名詞と扱い、与格 -oi を付けた fenlapúloi が手段を示す。体 gromó は重性の o 語幹で、対格は主格と形が同じである。

    ké vándes kailsámon só?

    読み:ケー ヴァンデス カイルサーモン ソー?

    kévánd-eskailsámonsó?
    <〜か>量る-<あなたが>革<対格>この<重性>

    「この革を量るのか。」

    市での日常会話。kéは文頭に置いてはい/いいえの問いを作る。重性名詞は主格と対格が同形だが、動詞の直後が主語、その次が目的語という語順から対格と読む。

    éso kailsámon só káil.

    読み:エーソ カイルサーモン ソー カイル。

    és-okailsámonsókáil.
    いる-<(重いものが)>革<主格>この<重性>乾いた

    「この革は乾いている。」

    作業場での確認。存在・繋辞ésoは主語に一致し、重性には-oが付く。述語の形容詞は主語に一致し、重性単数主格では語尾がつかない。

    éso fleló só fláin

    読み:エーソ フレロー ソー フライン

    és-oflelósófláin
    いる-<(重いものが)>素焼き<主格>この<重性>軽い

    「この素焼きは軽い。」

    日常で釉をかけない土器を評す文。fleló は仕上げの性質を指す語だが、仕上げを施した器をまとめて指す名詞としても働く。重性o語幹名詞として扱われ、指示詞は重性の só を取る。

    flélo fleló rúgal só

    読み:フレーロ フレロー ルーガル ソー

    flél-oflelórúgalsó
    漏れる-<(重いものが)>素焼き<主格>粗いこの<重性>

    「この粗い素焼きは漏れる。」

    吸い込みの強い土器の等級を指す用法。名詞句は「名詞 fleló+形容詞 rúgal+指示詞 só」の順で、指示詞 só が名詞句の重性を示す。主語は重性o語幹なので動詞は 3人称単数・重性。

    ké krélo houmkreló só?

    読み:ケー クレーロ ホウンクレロー ソー?

    kékrél-ohoumkrelósó?
    <〜か>足りる-<(重いものが)>家分<主格>この<重性>

    「この家分は足りるか。」

    日常のやり取り。yes-no 疑問は ké を文頭に置く。主語の houmkreló は重性o語幹の単数で、動詞 krél- は 3人称単数・重性語尾 -o を受ける。指示詞 só は名詞句に後置し、格変化しない。

    éso unlóur houmkreló só un kórvoi.

    読み:エーソ ウンロール ホウンクレロー ソー ウン コルヴォイ。

    és-ounlóurhoumkrelósóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>まだ家分<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「倉にはまだこの家分がある。」

    備蓄を確かめる場面。存在文の動詞 és- は主語に一致し、houmkreló が重性o語幹の単数主格なので -o を受ける。相の副詞 unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。un kórvoi は前置詞 un と与格の組み合わせで「倉の中で」。

    ké sénes kuuldulún só?

    読み:ケー セーネス クールドゥルーン ソー?

    késén-eskuuldulúnsó?
    <〜か>見る-<あなたが>鍋底<対格>この<重性>

    「この鍋底が見えますか。」

    日常の炉ばたで、鍋の中を見せ合うときや、残った煮汁を確かめるときに使う問い。疑問小辞 ké が文頭に立ち、主語は動詞語尾で示す。kuuldulún は重性名詞で、単数は主格と対格が同形。指示詞 só が名詞句の終わりを閉じる。

    monpúla endríña món só.

    読み:モンプーラ エンドリーニャ モーン ソー。

    monpúl-aendríñamónsó.
    軽く打つ-<(軽いものが)>子ども<主格>石<対格>この<重性>

    「子どもがこの石を軽く叩く。」

    硬い石の表面を断続的に当てる基本的な用法。主語が人なので動詞は軽性の3人称単数を取る。重性単数の対格は無標で、指示詞 só が性を示す。

    monpúla faronár tráumo só.

    読み:モンプーラ ファロナール トラウモ ソー。

    monpúl-afaronártráumosó.
    軽く打つ-<(軽いものが)>運び人<主格>渡り氷<対格>この<重性>

    「運び人がこの渡り氷を軽く叩いて確かめる。」

    崖道や渡り氷の張りを確かめる際の手順を示す文。打って離し、音と手応えを聞く動作に使う。

    éso flóndo só sárvo

    読み:エーソ フロンド ソー サルヴォ

    és-oflóndosósárvo
    いる-<(重いものが)>岩間道<主格>この<重性>禁忌<主格>

    「この岩間道は禁忌である」

    名詞述語文。動詞の直後の flóndo só が主語、末尾の sárvo が述語名詞。述語名詞は主語に一致せず、名詞としての主格の形のまま置く。儀礼や法文で、その通路が人の通行・使用の禁じられた所であることを告げる言い方。

    sén pármo só!

    読み:セーン パルモ ソー!

    sénpármosó!
    見る<命令法><あなたが>標石<対格>この<重性>

    「この標石を見ろ!」

    目の前の石を指して、相手に見るよう命じるくだけた会話文。命令法2人称単数は語幹のみで、目的語は重性の単数として主格と同形の pármo になる。指示詞 só は名詞句を重性で受ける。

    éso món só pármo.

    読み:エーソ モーン ソー パルモ。

    és-omónsópármo.
    いる-<(重いものが)>石<主格>この<重性>道印<主格>

    「この石は道印だ。」

    物を同定する文。繋辞 és- が主語 món「石」に一致して -o をとり、述語名詞 pármo は主格のまま後ろに置く。指示詞 só は名詞 món を受ける。

    sén krailándo gáil só!

    読み:セーン クライランド ガイル ソー!

    sénkrailándogáilsó
    見る<命令法><あなたが>継ぎ場<対格>広いこれ<重性>

    「この広い継ぎ場を見ろ。」

    運び人どうしの日常の指示。荷を持ち替える開けた所を評す命令文。名詞句の語順は名詞+形容詞+指示詞。重性名詞の単数対格は無標識。

    éso món só gáil.

    読み:エーソ モーン ソー ガイル。

    és-omónsógáil
    いる-<(重いものが)>石<主格>これ<重性>広い

    「この石(板石)は広い。」

    建築・帳簿の記述で、床面や敷石に使う板石の面の広さを評す表現。物の体積ではなく、人が置く・通うための面の広さを言う。述語形容詞は主語に一致して重性単数の無標識形。

    sén báwal só un nébroi!

    読み:セーン バーワル ソー ウン ネーブロイ!

    sénbáwalsóunnébr-oi!
    見る<命令法><あなたが>身振り<対格>この<重性>内に霧-<与格>

    「霧の中で、この身振りを見ろ。」

    崖道や縁の市で、声が届かない・声を出せない場に使われる実務的な合図を示す名詞。báwal は干潟語からの借用で重性。単数対格は主格と同形。指示詞 só は名詞句の終わりに置く。un+与格で「〜の中で」。

    na éso báwal só sáindar.

    読み:ナ エーソ バーワル ソー サインダル。

    naés-obáwalsósáindar.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>身振り<主格>この<重性>証文<主格>

    「この身振りは証文ではない。」

    商いや契約の場面で、声に出した言葉や書きものではなく、作法語としての身振りに効力がないことを言う表現。主語 báwal が重性なので動詞 éso は重性の -o を受ける。述語名詞 sáindar は自身の性を保ち、主格のまま置く。

    éso gromsámon só þáun.

    読み:エーソ グロンサーモン ソー サウン。

    és-ogromsámonsóþáun
    いる-<(重いものが)>肌<主格>この<重性>薄い

    「この肌は薄い。」

    日常語。人の体をおおう薄い皮を指す語で、獣の皮・革とは区別される。名詞句を指示詞 só で閉じ、その後ろの þáun が述語形容詞となる。

    tául liratendó só!

    読み:タウル リラテンドー ソー!

    táulliratendósó
    取る<命令法><あなたが>糸玉<対格>この<重性>

    「この糸玉を取って!」

    日常の家庭語の命令。命令法2人称単数は語幹のまま。重性o語幹の単数目的語は対格が無標識。指示詞 só は名詞句の末尾に置く。

    glǘno leimó só.

    読み:グリューノ レイモー ソー。

    glǘn-oleimósó.
    凍る-<(重いものが)>遺体<主格>この<重性>

    「この遺体は凍っている。」

    凍りの頃の実用的な場面。 leimó は重性o語幹なので、主語を受け取る動詞は3人称単数・重性の語尾 -o をとる。指示詞 só も重性で、中心名詞 leimó に一致する。

    éso mérvo só ulvenkeréla.

    読み:エーソ メルヴォ ソー ウルヴェンケレーラ。

    és-omérvosóulvenkeréla
    いる-<(重いものが)>村<主格>この<重性>狼の谷の村<主格>

    「この村はウルヴェンケレーラです。」

    固有名詞を述語名詞に取った系辞文。動詞 és- は主語 mérvo に一致して重性の形になる。述語名詞 ulvenkeréla は主格のまま置く。

    sén þíndel só!

    読み:セーン シンデル ソー!

    sénþíndelsó!
    見る<命令法><あなたが>星盤<対格>この<重性>

    「この星盤を見て。」

    日常の呼びかけ。命令法2人称単数は語幹のみで、þíndel は重性名詞の単数対格として無標で現れる。指示詞 só は名詞の重性を示す。

    préndim traumbél só

    読み:プレンディン トラウンベール ソー

    prénd-imtraumbélsó
    渡る-<私が>橋<対格>この<重性>

    「私はこの橋を渡る。」

    traumbél は重性子音語幹で、対格が主格と同形なので traumbél só のまま目的語になる。指示詞 só は重性の名詞句に一致している。

    vándim fáron só silóur.

    読み:ヴァンディン ファーロン ソー シロール。

    vánd-imfáronsósilóur
    量る-<私が>荷<対格>この<重性>も

    「私はこの荷も量る。」

    目的語名詞句の末尾に置いた例。指示詞 só は重性荷に合わせる。取り立ては指示詞の後ろに置かれ、名詞句そのものの格は変わらない。

    vándo þailvéinor prámbo só

    読み:ヴァンド サイルヴェーノル プランボ ソー

    vánd-oþailvéinorprámbosó
    量る-<(重いものが)>都<主格>値<対格>この<重性>

    「都はこの値を決める。」

    市・帳場での場面。prámbo は値を重さで表す語であり、vánd-「量る」がこの値を計って定める意味に転じて使う。þailvéinor は都側・当局を指す換喩。指示詞 só は名詞 prámbo と性のみで一致し、格には変化しない。

    éso fúnel só lóun fáir daumárul.

    読み:エーソ フーネル ソー ローン ファイル ダウマールル。

    és-ofúnelsólóunfáirdaumár-ul
    いる-<(重いものが)>綱<主格>この<重性>長い四腕-<〜ら(古い母音交替)>

    「この綱は四腕長い。」

    長さの単位としての用法。存在動詞 éso で主語 fúnel を受け、形容詞 lóun に単位句 fáir daumárul を続ける。数詞 fáir に伴う単位名詞は複数形。

    tául rimbó só, ende.

    読み:タウル リンボー ソー、エンデ。

    táulrimbósó,ende.
    取る<命令法><あなたが>枡<対格>この<重性>どうぞ

    「この枡を持って、どうぞ。」

    木製の枡そのものを渡す日常の命令。指示詞 só が重性名詞句を閉じる。市で使う固まった依頼の小辞 ende が添えられる。

    ké táules dulmón só?

    読み:ケー タウレス ドゥルモーン ソー?

    kétául-esdulmónsó?
    <〜か>取る-<あなたが>下げ振り<対格>この<重性>

    「この下げ振りを持って行くか?」

    日常の道具の受け渡し。二人称主語は動詞語尾-esのみで現れる。重性o語幹の「下げ振り」は単数目的語でも主格と同形。指示詞sóは名詞句の末尾に置かれる。

    vrúelo dulmón só.

    読み:ヴルーエロ ドゥルモーン ソー。

    vrúel-odulmónsó.
    懸かる-<(重いものが)>下げ振り<主格>この<重性>

    「この下げ振りが下がっている。」

    作業場で道具の働きを述べる文。重性o語幹の名詞が主語なので、動詞は3人称単数重性-oで一致する。名詞句は名詞+重性指示詞の順。

    kráil plúrno sákos só!

    読み:クライル プルルノ サーコス ソー!

    kráilplúrnosák-ossó!
    手に持つ<命令法>小袋<対格>塩-<属格>この<重性>

    「この塩袋を手に持て。」

    kráil は命令法・二人称単数の語幹形。plúrno は重性 o 語幹で、単数主格と単数対格が同形。指示詞 só は格変化せず重性を示すのみ。名詞の後ろに置かれた属格 sák-os は内容を表す「塩の」。

    táulim manó es krunþrénos só.

    読み:タウリン マノー エス クルンスレーノス ソー。

    tául-immanóeskrunþrén-ossó.
    取る-<私が>椀<対格>から棚-<属格>この<重性>

    「私はこの棚から椀を取る。」

    日常の家事の文。tául-「取る」は他動詞で、目的語 manó を取る。es は属格と組んで「〜から」を表す。krunþrén は重性子音語幹で、単数属格は krunþrénos。指示詞 só は名詞句の最後に置く。

    þóro krunþrén só un kórvoi.

    読み:ソーロ クルンスレーン ソー ウン コルヴォイ。

    þór-okrunþrénsóunkórv-oi.
    立つ-<(重いものが)>棚<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「この棚は倉に立っている。」

    倉や家での物の配置を表す文。krunþrén は重性子音語幹の主格で無語尾。動詞 þór- は重性主語に合わせて3人称単数重性語尾 -o をとる。un+与格 kórvoi は「〜の中に」という静的な場所を示す。

    ké éso ílmo só sakonén?

    読み:ケー エーソ イルモ ソー サコネーン?

    kéés-oílmosósakonén
    <〜か>いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>しょっぱい

    「この水はしょっぱいか。」

    井戸端や台所で、味を確かめる日常の問い。重性名詞述語文で、主語名詞句は ílmo só、述語形容詞 sakonén を後に置く。はい/いいえの疑問は文頭 ké で作る。

    vánda vándar frélo sakonén só.

    読み:ヴァンダ ヴァンダル フレーロ サコネーン ソー。

    vánd-avándarfrélosakonénsó
    量る-<(軽いものが)>商人<主格>魚<対格>塩漬けのこの<重性>

    「商人はこの塩漬けの魚を量る。」

    市で、塩蔵品としての魚の重さを量る場面。主語 vándar は -ár 由来の軽性なので、動詞は 3人称単数・軽性の vánda。目的語 frélo は重性で、対格が主格と同形。目的語名詞句は「名詞-形容詞-指示詞」の順に並び、sakonén は「塩漬けの」の意。

    éso dún só ául

    読み:エーソ ドゥーン ソー アウル

    és-odúnsóául
    いる-<(重いものが)>丘<主格>この<重性>高い

    「この丘は高い。」

    ふだんの会話で使われる文。重性名詞 dún を指示詞 só までで主語とし、述語形容詞 ául をその後ろに置く。指示詞を先行させ、形容詞を名詞句内の修飾語ではなく述語として読む語順。

    éso prámbo só ául

    読み:エーソ プランボ ソー アウル

    és-oprámbosóául
    いる-<(重いものが)>値<主格>この<重性>高い

    「この値は高い。」

    縁の市で値について話す文。prámbo は「値」で、重性として扱う。指示詞 só を主語に立て、述語形容詞 ául を後ろに置く。

    meliréndes fúnel só.

    読み:メリレンデス フーネル ソー。

    melir-énd-esfúnelsó
    染める-<〜しますように>-<あなたが>綱<対格>この<重性>

    「この綱を染めてくれませんか。」

    同輩に対して、命令法の代わりに願望法を用いて頼む文。語幹 melir- に願望法接尾辞 -énd- と二人称語尾 -es が加わり、強勢は接尾辞へ移るため、語根元の強勢は落ちる。目的語の綱は重性名詞の単数対格 fúnel(主格と同形)。指示詞 só は名詞句の末尾に置かれる。

    éso sáko só téir fáronul.

    読み:エーソ サーコ ソー テール ファーロヌル。

    és-osákosótéirfáron-ul.
    いる-<(重いものが)>塩<主格>この<重性>三担ぎ-<〜たちが>

    「この塩は三担ぎある。」

    重量単位としての用法。物の重さを担ぎ数で表す日常の言い方。一担ぎは約三十キログラム。数詞は単位名詞の前に置き、三以上の数詞には重性名詞 fáron の複数形 fáronul を取る。主語 sáko は単数のため、動詞は3人称単数・重性の -o を受ける。

    ké éso fúnel só ín ómbo?

    読み:ケー エーソ フーネル ソー イーン オンボ?

    kéés-ofúnelsóínómbo?
    <〜か>いる-<(重いものが)>綱<主格>この<重性>一指<主格>

    「この綱は、一指(の太さ)あるか。」

    市での日常会話。長さ・幅を単位「指」で表す用法。存在・名詞述語文の主語 fúnel が重性単数なので、動詞 és- は重性 3 人称単数 -o をとる。単数の主格 ómbo は、語を切らずに一つの形態素として示す。

    ké sénes nebroauró só?

    読み:ケー セーネス ネブロアウロー ソー?

    késén-esnebroaurósó
    <〜か>見る-<あなたが>霧上げ<対格>この<重性>

    「お前は、この霧上げが見えるか。」

    日常会話。nebroauró は重性o語幹名詞で、単数主格・対格同形。指示詞 só は名詞句の末尾に置く。

    ké sénes prímon só?

    読み:ケー セーネス プリーモン ソー?

    késén-esprímonsó?
    <〜か>見る-<あなたが>爪砥石<対格>この<重性>

    「この爪砥石が見えるか。」

    日常で、炉辺にある家用の爪砥石を指して尋ねる文。重性名詞は単数の目的語が無標なので、prímon に対格接辞はつかず、名詞句の終わりの重性指示詞 só が性を示す。金属用の研石や穀物の挽き石には使わない。

    éso tromsnór só póilma faronáres.

    読み:エーソ トロンスノール ソー ポイルマ ファロナーレス。

    és-otromsnórsópóilmafaronár-es.
    いる-<(重いものが)>歩みの癖<主格>この<重性>仕草<主格>運び人-GEN.

    「この歩みの癖は、運び人の所作だ。」

    書物語や解説でtromsnórの比喩用法を言い換える文。述語名詞póilmaは自分の性・主格のまま置かれる。tromsnór第二の義「歩みの癖」を明示する。

    un drúnoroi, þráilo gául só.

    読み:ウン ドルーノロイ、スライロ ガウル ソー。

    undrúnor-oi,þráil-ogáulsó.
    内に崖道-<与格>しびれる-<(重いものが)>脛<主格>この<重性>

    「崖道では、この脛がしびれる。」

    崖道をun+与格で動詞前の場面に置き、身体の状態を言う日常文。gáulは重性単数主語として動詞þráil-を重性の語尾-oで受け取る。指示詞sóは名詞句の末尾に置かれ、格ではなく性で形を選ぶ。

    éso nébro só wáim.

    読み:エーソ ネーブロ ソー ワイン。

    és-onébrosówáim
    いる-<(重いものが)>霧<主格>この<重性>侮れない

    「この霧は侮れない。」

    警告的な判断文。指示詞 só を後置した重性単数の主語 nébro に対して、述語形容詞 wáim は主格単数無語尾となる。

    ké éso puló só sélen?

    読み:ケー エーソ プロー ソー セーレン?

    kéés-opulósósélen
    <〜か>いる-<(重いものが)>拍<主格>この<重性>正しい

    「この拍は正しいですか。」

    帳簿や数えの記録で、刻んだ拍に狂いがないか確かめるやり取り。はい・いいえで答える問いは文頭に ké を置く。主語 puló が重性なので、繋辞 és- は 3人称単数・重性の éso になる。指示詞 só が重性の名詞句を閉じ、その後の sélen が述語形容詞として立つ。

    frándo puló só.

    読み:フランド プロー ソー。

    fránd-opulósó
    並ぶ-<(重いものが)>拍子<主格>この<重性>

    「この拍子は揃っている。」

    荷担ぎ歌や運び人の列で、足音や打点が乱れず続いている場面。意味 2 の「拍子」では、軽い打点が揃ったまとまりを単数 puló で受ける。動詞 fránd- は主語に一致して 3人称単数・重性の frándo を取る。語根末の nd は母音で始まる語尾の前では脱落しない。

    mé véil puló só!

    読み:メー ヴェール プロー ソー!

    mévéilpulósó
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>拍子<対格>この<重性>

    「この拍子を忘れるな。」

    作業歌や刻みの場で、拍が乱れそうになった仲間へかけるくだけた指示。禁止は mé +命令法 2人称で表す。命令法の 2人称は語幹 véil をそのまま使う。puló は目的語だが、重性単数では格語尾がつかず主格と同形になる。

    ké éso mérvo só lárno?

    読み:ケー エーソ メルヴォ ソー ラルノ?

    kéés-omérvosólárno?
    <〜か>いる-<(重いものが)>村<主格>この<重性>湖畔<主格>

    「この村は湖畔の集落か。」

    名詞述文による尋ね。lárno は水際そのものではなく、湖畔の低い土地・集落を指す用法。述語名詞は主語に一致せず、主格のまま置く。

    kráilim vandó só.

    読み:クライリン ヴァンドー ソー。

    kráil-imvandósó.
    手に持つ-<私が>青銅の重り<対格>この<重性>

    「この青銅の重りを手に持っている。」

    日常の会話文。主語は動詞語尾 -im に含み、代名詞は省略する。重性o語幹の vandó は単数の目的語でも形が変わらない。指示詞 só が眼前の物体を示し、単位としての意味ではなく、物理的な青銅の重りであることを明確にする。

    kráil eelþó só!

    読み:クライル エールソー ソー!

    kráileelþósó!
    手に持つ<命令法><あなたが>灰汁<対格>この<重性>

    「この灰汁を持て。」

    家事の場での命令文。命令法2単は語幹のみ。重性o語幹の単数対格は主格と同形で、目的語は語順によって示される。指示詞sóは重性で名詞句を閉じる。

    éso eelþó só nagléin.

    読み:エーソ エールソー ソー ナグレーン。

    és-oeelþósóna-gléin.
    いる-<(重いものが)>灰汁<単数><主格>この<重性><〜ない>-清い

    「この灰汁は濁っている。」

    日常会話で、洗い水としての灰汁の状態を述べる文。主語が重性なので、存在・繋辞の動詞は3単重性の-oで受ける。名詞の直後に重性指示詞sóを置く。nagléinはgléin「清い」に否定接頭辞na-を付けた形容詞で、ここでは灰汁が澄んでいないことを「清からぬ」と述べている。

    trolþálo tról só.

    読み:トロルサーロ トロール ソー。

    trolþál-otrólsó.
    踏ん張る-<(重いものが)>足<主格>この<重性>

    「この足が踏ん張っている。」

    足 tról は体の部分として重性扱いになる。主語 tról に対して動詞は 3人称単数・重性の語尾 -o を受ける。指示詞 só も重性。

    éso krailó ível kumbóros só.

    読み:エーソ クライロー イーヴェル クンボーロス ソー。

    és-okrailóívelkumbór-ossó.
    いる-<(重いものが)>持ち部<主格>新しい青銅-<属格>この<重性>

    「ここに、この新しい青銅の持ち部がある。」

    日常の道具の場面。存在の文 éso は、重性の主語 krailó に一致する。krailó は重性o語幹の単数主格で、対格も同じ形。形容詞 ível(新しい)と材料を示す属格 kumbór-os を伴い、重性の指示詞 só が名詞句を閉じる。意味2では、単なる取っ手ではなく、正式な持ち部を示す語として用いられる。

    vróelo fúnel só.

    読み:ヴローエロ フーネル ソー。

    vróel-ofúnelsó
    揺れる-<(重いものが)>綱<主格>この<重性>

    「この綱が小刻みに揺れている。」

    戸口や納屋に吊した綱が、固定点の周りでわずかに揺れる日常の場面。vróel- の意味3は、荷が大きく位置をずらす動きではなく、定まった物を中心として小刻みに傾く動きを表す。指示詞 só は重性名詞 fúnel に一致する。

    éso soilkrélvo só krélvo.

    読み:エーソ ソイルクレルヴォ ソー クレルヴォ。

    és-osoilkrélvosókrélvo.
    いる-<(重いものが)>髪鉤<主格>この<重性>鉤<主格>

    「この髪鉤は鉤の形である。」

    書の記述のような定義的な文。soilkrélvoを髪鉤として受け、述語名詞krélvoで鉤としての形を説明する。指示詞sóは重性。

    ké elþasénes tás fáron só?

    読み:ケー エルサセーネス タース ファーロン ソー?

    kéelþasén-estásfáronsó?
    <〜か>火に透かして見る-<あなたが><あなた・主格>荷<対格>この<重性>

    「あなたはこの荷を火に透かして見るか。」

    日常会話の単純疑問。ké を動詞の前に置く。主語 tás は動詞の直後に置く。fáron は重性なので対格語尾がつかず、指示詞 só は重形で一致する。時制は語形に表れない。

    elþaséna faronár filó só.

    読み:エルサセーナ ファロナール フィロー ソー。

    elþasén-afaronárfilósó.
    疵を確かめる-<(軽いものが)>運び人<主格>縫い目<対格>この<重性>

    「運び人がこの縫い目を火の光で確かめる。」

    第三者について述べる日常の仕立て・検めの文。filó は重性の名詞なので、対格でも形が変わらない。指示詞 só は重性で一致する。elþasén- には、品物を火の光に当てて疵や目を確かめる動作が含意されている。

    prambérim dulfáron só.

    読み:プランベーリン ドゥルファーロン ソー。

    prambér-imdulfáronsó
    値踏みする-<私が>下ろし荷<対格>この<重性>

    「私はこの下ろし荷を値踏みしている。」

    市での商人の独り言。第一人称の主語は動詞の語尾で示し、目的語を省略しない。dulfáron は重性名詞で対格語尾がない。指示詞 só が名詞句を閉じる。

    prambéra lisár kumbór só

    読み:プランベーラ リサール クンボール ソー

    prambér-alisárkumbórsó
    品定めする-<(軽いものが)>書記<主格>青銅<対格>この<重性>

    「書記は、この青銅を品定めする。」

    主語は人なので動詞は軽性3人称単数。目的語の kumbór は重性名詞で、対格語尾をもたない。指示詞 só も重性単数で、名詞の後ろに置く。

    ké prambérin þíles dervó só?

    読み:ケー プランベーリン シーレス デルヴォー ソー?

    képrambér-inþíl-esdervósó?
    <〜か>品定めする-<〜して・〜く>分かる-<あなたが>挽き石<対格>この<重性>

    「この挽き石を品定めできるか。」

    prambér-in þíl- は能力表現。主語の2人称は þíles の語尾で示す。対象の dervó só は重性単数の目的語。

    éso bérun só snóil.

    読み:エーソ ベールン ソー スノイル。

    és-obérunsósnóil
    いる-<(重いものが)>道<主格>この<重性>狭い

    「この道は狭い。」

    存在・述語形容の文。指示詞 só が名詞句 bérun só を閉じ、述語形容詞 snóil がその後ろに続く。主語 bérun は重性単数で、述語形容詞も重性単数形(無接語)になる。

    éso bérun só fóndel.

    読み:エーソ ベールン ソー フォンデル。

    és-obérunsófóndel
    いる-<(重いものが)>谷の道<主格>この<重性>古い

    「この谷の道は古い。」

    氏族の谷の道を指す用法。述語形容詞 fóndel は「由緒ある古い」の意。指示詞 só が名詞句を閉じた後ろに述語形容詞が来る。

    kráso món só.

    読み:クラーソ モーン ソー。

    krás-omónsó.
    ひびが入る-<(重いものが)>石<主格>この<重性>

    「この石にひびが入った。」

    石が層に沿って割れ目が入った文。món は重性なので、動詞は重性の kráso をとる。粉々に砕けた意味ではなく、割れ目が入った意味。

    éso gandér só krásen.

    読み:エーソ ガンデール ソー クラーセン。

    és-ogandérsókrás-en.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>割れあり-<〜した・〜された>

    「この硬木には割れがある。」

    検めや会話で、材木に割れがあることを述べる文。主語 gandér と指示詞 só が重性、分詞 krásen が重性単数の述語として機能する。帳簿や荷札では品名に krásen を添えて「割れあり」と記す。

    lísim plíndo só ré éso gandér só krásen.

    読み:リーシン プリンド ソー レー エーソ ガンデール ソー クラーセン。

    lís-implíndosóréés-ogandérsókrás-en.
    書く-<私が>札<対格>この<重性><〜と(節)>いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>割れあり-<〜した・〜された>

    「私はこの荷札に、この硬木には割れがある、と書き込む。」

    帳簿や荷札に、硬木に割れがあることを書き記す場面。主文は第一人称の lísim で、目的語 plíndo só のあとに ré で内容節を置く。内容節は éso gandér só krásen で、krásen が「割れあり」の検めの語として述語になる。

    sáilo mérvo só.

    読み:サイロ メルヴォ ソー。

    sáil-omérvosó.
    喜ぶ-<(重いものが)>村の人々<主格>この<重性>

    「この村の人々は喜んでいる。」

    mérvo は村そのものではなく、村の住人をひとまとまりの集合として指す用法。動詞は文法上は重性の単数で受けるが、住人が人であることを強く意識する話者は軽性の形を使うこともある。指示詞 só は grammatical に重性名詞句を閉じる。

    houmér món só!

    読み:ホウメール モーン ソー!

    houmérmónsó
    囲む<命令法><あなたが>石<対格>この<重性>

    「この石を囲め!」

    星盤の手を指示する言い方。klámb-「挟む」が線の上で両側から押さえる手なのに対し、houmer- は輪にして取り巻く手。

    éso slóvo só un fildúroroi.

    読み:エーソ スローヴォ ソー ウン フィルドゥーロロイ。

    és-oslóvosóunfildúror-oi
    存在-<(重いものが)>一人枠<主格>この<重性>内列-<与格>

    「この一人枠は列の中にある。」

    配置列の中で一人が占める区画を指す意味。slóvo は重性単数の主格で、指示詞 só が性一致する。un fildúroroi は「列の中に」という配置域を示す。

    kráil brúndo só!

    読み:クライル ブルンド ソー!

    kráilbrúndosó!
    手に持つ<命令法><あなたが>塊<対格>この<重性>

    「この塊を持て。」

    日常の手伝いでの命令。命令法2単は語幹 kráil のまま。重性 o語幹 brúndo は単数の主格と対格が同形だが、ここでは目的語として対格。指示詞 só は重性の brúndo に一致する。

    káulo kúrmo só un aurándoi.

    読み:カウロ クルモ ソー ウン アウランドイ。

    kául-okúrmosóunauránd-oi
    満ちる-<(重いものが)>大壺<主格>この<重性>内社-<与格>

    「この大壺は社の中で満ちている。」

    祭祀で、社のうちに置かれた大壺が満ちていることを述べる言い方。動詞は自動詞「満ちる」で、重性 o 語幹の主語に一致する。

    éso kúrmo véun só un kórvoi.

    読み:エーソ クルモ ヴェウン ソー ウン コルヴォイ。

    és-okúrmovéunsóunkórv-oi
    存在-<(重いものが)>大壺<主格>空のこの<重性>内倉-<与格>

    「この空の大壺は倉の中にある。」

    倉庫での所在確認に使う日常の表現。大壺そのものを指す用法で、量としての用法ではない。形容詞は名詞句内で大壺を修飾し、指示詞が名詞句を閉じる。

    sénim gálvo só.

    読み:セーニン ガルヴォ ソー。

    sén-imgálvosó.
    見る-<私が>かけら<対格>この<重性>

    「私はこのかけらを見る。」

    日常の会話文。gálvo は重性o語幹の名詞で、単数の主格と対格は同形。指示詞 só は名詞の後ろに置かれ、格変化しない。

    tául gálvul só, ende.

    読み:タウル ガルヴル ソー、エンデ。

    táulgálv-ulsó,ende.
    取る<命令法><あなたが>かけら-<〜たちを>この<重性>どうぞ

    「これらのかけらを取ってくれ、頼む。」

    家の中で落ちた小片を片付ける場面のような命令文。gálvo の重性o語幹の複数形は gálv-ul。命令法2人称単数は語根のみの形を使い、動詞に目的語の数を標識する語尾はない。

    púna lisár plíndo só

    読み:プーナ リサール プリンド ソー

    pún-alisárplíndosó
    覗く-<(軽いものが)>書記<主格>荷札<対格>この<重性>

    「書記が、この荷札を確かめるように覗き込んでいる。」

    市や帳場で、荷札の等級や書き込みを読み違えないように確かめる場面。主語 lisár は人を指す軽性語なので動詞は -a。plíndo は重性 o 語幹の単数対格で、指示詞 só は重性の名詞句の最後に置く。

    éso prámbo só núl

    読み:エーソ プランボ ソー ヌール

    és-oprámbosónúl
    いる-<(重いものが)>値<主格>この<重性>低い

    「この値は低い。」

    prámbo「値・価値」は重性名詞で、指示詞も重性の só を取る。só が主語名詞句を閉じ、その後の núl は述語形容詞になる。重性単数の述語形容詞は無語尾。値という程度・量基準より下にあることを示し、道徳的な貶意はない。

    éso prámbo fáronos só núl

    読み:エーソ プランボ ファーロノス ソー ヌール

    és-oprámbofáron-ossónúl
    いる-<(重いものが)>値<主格>荷-<属格>この<重性>低い

    「この荷の値は低い。」

    prámbo fáronos で「荷の値」。fáronos は fáron の重性単数属格。指示詞 só が名詞句を閉じ、その後の núl は述語形容詞として主語に一致する。ここでは値という程度の低さを表す。

    léisa lisár glimó só.

    読み:レーサ リサール グリモー ソー。

    léis-alis-árglimósó.
    書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>滲み・染み<対格>この<重性>

    「書記は、この滲み・染みを記した。」

    帳場・書物の場面。荷札・布・紙などの色移りを記録対象として言う言い方。完了相 léis- を用いて、帳簿に書き済んだ事実として述べる。glímó は重性の単数対格で形が変わらず、指示詞 só が名詞句を後から重性で閉じる。

    klonéro fáron só faronáran.

    読み:クロネーロ ファーロン ソー ファロナーラン。

    klon-ér-ofáronsófaron-ár-an.
    膝-<〜でする>-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>荷-<〜する人>-<対格>

    「荷が運び人の膝を抜く(運び人をよろめかせる)。」

    市や道での日常で使える他動詞用法。主語「荷」が重性なので動詞は3人称単数・重性の語尾 -o をとる。目的語「運び人」は軽性子音語幹名詞の対格 -an をとる。

    þrílo gromó só un aurándoi.

    読み:スリーロ グロモー ソー ウン アウランドイ。

    þríl-ogromósóunauránd-oi.
    震える-<(重いものが)>体<主格>この<重性>内に社-<与格>

    「この体は、社の中で震えている。」

    儀礼・書面的な描写。主語は gromó só「この体」で、重性名詞句。un は「〜の中」で、与格と組むと場所を表す。aurándo の与格は aurándoi。全身の震えを内発的事象として述べている。

    éso krunþrén só húmel.

    読み:エーソ クルンスレーン ソー フーメル。

    és-okrunþrénsóhúmel
    いる-<(重いものが)>物の置かれる段<主格>この<重性>湿った

    「この棚は湿っている。」

    家の中で物や食品の状態を見るときの文。存在・繋辞の és- を動詞として立て、主語の後に述語の形容詞を置く。重性名詞・単数主格では述語形容詞 húmel に語尾がつかない。指示詞 só は重性名詞に添えられる。

    éso snelíño kumbóros só kórvoi.

    読み:エーソ スネリーニョ クンボーロス ソー コルヴォイ。

    és-osnelíñokumbór-ossókórv-oi.
    いる-<(重いものが)>蓋<主格>青銅-<属格>この<重性>倉-<与格>

    「この青銅の蓋が倉にある。」

    存在・在庫を記す場面のような文。青銅製の蓋を指すため、指示詞は重性の só、存在動詞も重性の éso になる。名詞句は「蓋+材料の属格+指示詞」の語順。

    kráil snelíño só, ende.

    読み:クライル スネリーニョ ソー、エンデ。

    kráilsnelíñosó,ende.
    手に持つ<命令法><あなたが>蓋<対格>この<重性>どうぞ

    「この蓋を持ってくれ、頼む。」

    炉ばたや縁のくだけた依頼の文。命令法は語幹のむき出しの形 kráil に ende を添える。snelíño は重性o語幹なので、指示詞は só を使う。

    mé snál snelíño só!

    読み:メー スナール スネリーニョ ソー!

    mésnálsnelíñosó!
    <禁止・願いの打ち消し>閉じる<命令法><あなたが>蓋<対格>この<重性>

    「この蓋を閉めるな!」

    炉ばたで、木蓋をすぐ閉めないよう命じるくだけた禁止文。禁止は mé +命令法。snelíño は重性o語幹なので、指示詞は só を使う。

    kráilim dulsúm kumbóros só

    読み:クライリン ドゥルスーン クンボーロス ソー

    kráil-imdulsúmkumbór-ossó
    手に持つ-<私が>錆<対格>青銅-<属格>この<重性>

    「この青銅の錆を手に取る。」

    目的語の dulsúm は重性単数で対格無標識。指示詞 só は中心名詞 dulsúm に一致し、名詞句の末尾に置く。属格 kumbóros は材料・由来を示す。

    houmkrúelo mérvo só.

    読み:ホウンクルーエロ メルヴォ ソー。

    houmkrúel-omérvosó
    ざわめく-<(重いものが)>村<主格>この<重性>

    「この村がざわめいている。」

    単数の集団名詞 mérvo「村」を主語に取る用法。炉ばたや広場に集まった人々を、村という一つの単位として受ける。重性o語幹の単数主格 mérvo に対して、動詞は重性単数語尾 -o で一致する。指示詞 só は重性名詞句の後に置く。

    houmkrúelo houmbrúndo só.

    読み:ホウンクルーエロ ホウンブルンド ソー。

    houmkrúel-ohoumbrúndosó
    ざわめく-<(重いものが)>寄り合い<主格>この<重性>

    「この寄り合いがざわめいている。」

    houmbrúndo「寄り合い」は炉ばたに集まった場そのもの、または集まりの総称として使える。これも単数の集団名詞として重性o語幹に扱い、動詞は -o で一致する。見知らぬ者や予期せぬ話が出たとき、集まりの内で声の層が低く揺れる様子を表す。

    éso puló só múel

    読み:エーソ プロー ソー ムーエル

    és-opulósómúel
    いる-<(重いものが)>拍<主格>この<重性>遅い

    「この拍は遅い。」

    歌・詩・誦唱の韻律を論じる場での言い方。puló は一拍を指す。この sense では、拍が単に「のろい」だけでなく、一拍が重く沈むことを述べる。指示詞 só は重性の形。形容詞は主格単数では無語尾。

    éso ílmo só trém

    読み:エーソ イルモ ソー トレーン

    és-oílmosótrém
    いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>平ら

    「この水は平らだ。」

    湖や池の水面が静まって起伏がないことを言う、日常向けの文。ílmo は重性の水を表し、指示詞 só を伴う。この文では不可名詞的な水そのものを主語にしているため、動詞は重性単数、trém も無標。

    kráso kloníño sáves só.

    読み:クラーソ クロニーニョ サーヴェス ソー。

    krás-okloníñosáv-essó.
    割れる-<(重いものが)>小さな継ぎ目<主格>匙-<属格>この<重性>

    「匙のこの小さな継ぎ目が割れた。」

    日常の道具について。器の曲がった継ぎ部を kloníño で呼ぶ拡張。sáves は sáva の属格で、語根に強勢を保つ。指示詞 só は中心名詞 kloníño(重性)に一致し、名詞句の末尾に置かれる。

    krún fáron só krúmoi, ende.

    読み:クルーン ファーロン ソー クルーモイ、エンデ。

    krúnfáronsókrúm-oi,ende.
    支える<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>腰-<与格>どうぞ

    「この荷を腰で支えてください。」

    荷の受け渡しや運び作業での手順指示。対象 fáron só に次いで、荷を支える位置としての腰を krúm-oi の与格に取る。与格接辞は -oi。裸語幹の命令に ende を添えて、依頼の形にしている。

    éso sámon só un kórvoi.

    読み:エーソ サーモン ソー ウン コルヴォイ。

    és-osámonsóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>生皮<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「倉の中に、この生皮がある。」

    未加工の生皮を倉に仕込んでおく場の所在を言う日常文。身体や未加工の材料としての sámon は重性で扱う。

    léim sámon só un kórvo!

    読み:レーン サーモン ソー ウン コルヴォ!

    léimsámonsóunkórvo!
    置く<命令法><あなたが>生皮<対格>この<重性>内に倉<対格>

    「この生皮を倉の中へ置け。」

    作業場面での命令。重性の直接目的語 sámon は主格形と同一形のまま、目的語として用いる。

解説

重性の名詞につく指示詞「この」。強勢をもち、格では変化しない。gandér só「この硬木」のように名詞の後ろに置き、関係節がなければ名詞句の終わりの目印になる。関係節の te の前にもそのまま置ける。軽性の名詞には sé を使う。

文法

指示詞(重性)。強勢をもち、格変化しない。関係節 te の前にも置ける。

語源

古高原語 *só から。重性の指示詞として古くからある語。

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