ombár

品詞
数詞
意味
十
発音
[omˈbar]
読み
オンバル
分野
数詞・数量

意味

  1. 十

    数の十。三十から九十までの複合語の後ろの要素にもなる。

    pómbar fáronul faronéres? faronérim ombár fáronul.

    読み:ポンバル ファーロヌル ファロネーレス?ファロネーリン オンバール ファーロヌル。

    pómbarfáron-ulfaron-ér-es?faron-ér-imombárfáron-ul.
    いくつ荷-<〜たちを>荷-<〜でする>-<あなたが>荷-<〜でする>-<私が>十荷-<〜たちを>

    「「荷をいくつ担ぐんだ?」「十担ぐ。」」

    二人の発話。疑問の数詞 pómbar は、名詞ごと動詞の前に出る。高原語には「はい」にあたる語がないので、答えは動詞を自分の人称に変えて繰り返し、数を添える。崖道での、くだけたやりとり。

    luuménde ausenár ombár fáronul.

    読み:ルーメンデ アウセナール オンバール ファーロヌル。

    luum-énd-eau-sen-árombárfáron-ul.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>十荷-<〜たちを>

    「目付殿に、十の荷をお検めいただきたく存じます。」

    縁の市で、都の手代が目付に頼むときの改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形で、強勢が -énd- に移るので語根の ´ は消える。数えているのは目上の人ではなく荷なので、数詞を使ってよい。

    ké víres dáumbar? vírim, ombár dáu fréimau.

    読み:ケー ヴィーレス ダウンバル?ヴィーリン、オンバール ダウ フレーマウ。

    kévír-esdáumbar?vír-im,ombárdáufréim-au.
    <〜か>言う-<あなたが>二十言う-<私が>十二倍-<双数>

    「「二十と言ったか?」「言った。十の二倍だ。」」

    二人の発話。市で数を確かめ合うやりとり。はい・いいえにあたる語がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える(vírim)。そのあとに念押しの言い換えを添える。掛ける数が dáu なので、fréim は双数の fréimau になる。

    slúun rólanar sóndelar, ombár ombár fréimai, ombár fréimai.

    読み:スルーン ローラナル ソンデラル、オンバール オンバール フレーマイ、オンバール フレーマイ。

    slúunrólan-arsóndel-ar,ombárombárfréim-ai,ombárfréim-ai.
    千巻-<〜らの>書物-<〜らの>十十倍-<〜たちが>十倍-<〜たちが>

    「書物千巻。十の十倍、そのまた十倍。」

    荷札や帳簿の、数の念押し(freimvirá)の定型。動詞のない名詞句を並べる。千 slúun は量の名詞 rólan を複数属格でとり、rólan がさらに書物を複数属格でとるので、属格が二つ続く。念押しは「掛けられる数+掛ける数+fréim」の順で言い、fréim の数は掛ける数に合わせる(ombár の後ろなので複数)。干潟の千(sélu)との取り違えを防ぐための言い換えで、度量衡の碑の「千とは、十を十度、それを十度」と同じ考えに立つ。

    rímbim ombár fáronul.

    読み:リンビン オンバール ファーロヌル。

    rímb-imombárfáron-ul.
    数える-<私が>十担ぎ-<〜たちを>

    「十担ぎを数える。」

    帳簿や仕分けで単位を数える場面。数詞 ombár は「十」で、重性名詞 fáron の複数(主格・対格) fáronul に掛かる。動詞 rímb- は1人称単数。

  2. そろった・欠けのない

    何一つ欠けずにそろっていることを表す。十の段、十の灯のように、満ちた全体を言うときに使う。

    dúlan ombár þrénul es aldáres áurenes.

    読み:ドゥーラン オンバール スレーヌル エス アルダーレス アウレネス。

    dúl-anombárþrén-ulesaldár-esáur-en-es.
    下る-<彼らが>そろった段-<〜たちが>から座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>

    「欠けのない段は、高き座から下っていく。」

    身分の秩序を説く、改まった言い回し。ombár þrénul は「十の段」だが、数えた結果を言うのではなく、「一段も欠けない階段の全体」という意味で使っている。主語の þrénul は重性の複数主格。es+属格で「〜から」。

    ésa plána sé ombár.

    読み:エーサ プラーナ セー オンバール。

    és-aplánaséombár.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>この<軽性>そろった

    「この帳簿は、一行も欠けずにそろっている。」

    掛けを精算する前に帳簿を突き合わせて、記載に欠けがないことを確かめたあとの言い方。ombár を述語にして、「欠けがない・満ちている」という意味で使っている。数詞は格変化しないので、述語になっても語尾がつかない。紙の帳簿 plána は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé になる。plána の主格はそのままの形(a語幹の -a は類推で復元された語幹の母音)なので、ここでは切り分けずに示した。

解説

基数の「十」。十進法の位の基本になる語。三十から九十までは「一の位の数詞+ombár」の複合語で言い、強勢は前の数詞に移る(téirombar「三十」、fáirombar「四十」)。十一から十九は、ombár の後ろに一の位の数詞を続けて言う(ombár ín「十一」、ombár dáu「十二」)。二十の dáumbar だけは縮まった不規則な形になる。両手の指がすべてそろった数なので、「そろった」「欠けのない」という意味ももつ。身分の段が十と決まっているのもこの感覚から来ている。古い形 ombára は、星座名 ombára ilánai「十の灯」の中にだけ固まって残っている。綴りは〈ombara〉。

文法

数詞。不変化。後続の名詞は複数。十の位の複合語では後ろの要素になる。

語源

古高原語 *ombára から。古い脱落で語末の母音が落ちた。星座名の ombára は脱落前の形。

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