lóur

品詞
名詞
意味
瀬
発音
[ˈlour]
読み
ロール
分野
自然・天体・天候・地形

意味

  1. 瀬

    川の、ひと落ちから次の落ちまでの流れの一区切り。

    duþélim sélvanan, an fóndaros ráimaros dúlenan dáumbar téir lóurul, dúlenan fáir þrénul.

    読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス ライマロス ドゥーレナン ダウンバル テール ロールル、ドゥーレナン ファイル スレーヌル。

    du-þél-imsélvan-an,anfóndar-osráimar-osdúl-en-andáumbartéirlóur-ul,dúl-en-anfáirþrén-ul
    <〜させていただく>-名乗る-<私が>セルヴァン-<対格>上手源-<属格>ライマル-<属格>下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格>二十三瀬-<〜たちを>下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格>四段-<〜たちを>

    「ライマルの源から二十三瀬下りた、四段下りの者、セルヴァンと名乗らせていただきます。」

    改まった場での名乗り。固有名も小文字で書く。分詞 dúlenan は二度とも、名前の sélvanan(軽性・単数・対格)に一致している。lóurul と þrénul は道のりの対格。瀬と段は語が違うので、どちらが世代でどちらが身分かがすぐにわかる。

    ésa sélvan dúlen dáumbar lóurul an fóndaros ráimaros.

    読み:エーサ セルヴァン ドゥーレン ダウンバル ロールル アン フォンダロス ライマロス。

    és-asélvandúl-endáumbarlóur-ulanfóndar-osráimar-os.
    いる-<(軽いものが)>セルヴァン<主格>下る-<〜した・〜された>二十瀬-<〜たちを>上手源-<属格>ライマル-<属格>

    「セルヴァンは、ライマルの源から二十瀬下った者である。」

    ある人の世代を、第三者として述べる改まった文。序数を使わず、「分詞 dúlen+数詞+瀬の複数対格(道のりの対格)」で言う。分詞は主語 sélvan(軽性・単数・主格)に一致するので、語尾がつかない。瀬の数が多いのは誉れとされる。

    brúumo ílmo es lóuros du lóur.

    読み:ブルーモ イルモ エス ローロス ドゥ ロール。

    brúum-oílmoeslóur-osdulóur.
    落ちる-<(重いものが)>水<主格>から瀬-<属格>下手瀬<対格>

    「水は瀬から瀬へと落ちていく。」

    川の流れを言い表す文。es+属格で「〜から」、du+対格で「下手の〜へ」を表す。lóur は重性なので、対格は主格と同じ形になる。川の水が段を下るごとに落ちていくという見方は、系譜を瀬で数える考え方のもとになっている。

    éso lóur só gléin.

    読み:エーソ ロール ソー グレーン。

    és-olóursógléin.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>清い

    「この瀬は清い。」

    川辺や漁の場面のくだけた文。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。lóur「瀬」は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só を使う。述語の形容詞 gléin は、重性・単数・主格の形で語尾がつかない。

    lóiman lourvirárai lóurul dáunaun.

    読み:ロイマン ロウルヴィラーライ ロールル ダウナウン。

    lóim-anlourvirár-ailóur-uldáun-aun.
    唱える-<彼らが>系譜読み-<〜たちが>瀬-<〜たちを>二人-<双数の〜の・〜に>

    「系譜読みたちが、二人の瀬を唱え交わす。」

    婚姻の取り決めで、両家の系譜読みが、結ばれる二人の系譜を源から一瀬ずつ読み交わす儀礼を述べた文。dáun の属格は、双数の語尾 -aun を重ねて dáunaun になる。属格は名詞 lóurul の後ろに置く。

    rainíþa ólmar loimán dulóurei téir lóurul.

    読み:ライニーサ オルマル ロイマーン ドゥローレイ テール ロールル。

    rain-íþ-aólmarloim-ándulóur-eitéirlóur-ul.
    知る-<〜させる>-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>下の世代の血族-<与格>三瀬-<〜たちを>

    「年長者が曾孫に詞を教える。」

    森の村などで、古い詞を年長者から三世代下へ受け継ぐ場面。語順は動詞–主語–目的語–与格。dulóur は与格 dulóurei になるが、後ろの téir lóurul は道のりの対格のまま変わらない。

    kúula anlóur téir lóurul némes tambór.

    読み:クーラ アンロール テール ロールル ネーメス タンボール。

    kúul-aanlóurtéirlóur-ulném-estambór.
    煮る-<(軽いものが)>上の世代の血族<主格>三瀬-<〜たちを><私>-<属格>雑穀<対格>

    「私の曾祖母(曾祖父)が雑穀を煮ている。」

    「三瀬上」で曾祖父母を言う。三以上の数詞の後ろなので、瀬は複数の lóurul になる。どれだけ隔たっているかを表す道のりの対格の句が名詞のすぐ後ろに来て、そのあとに属格が続く。男女は区別しない。

    lóima lourvirár virán anlóures téir lóurul.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ヴィラーン アンローレス テール ロールル。

    lóim-alourvirárvir-ánanlóur-estéirlóur-ul.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>言葉-<対格>上の世代の血族-<属格>三瀬-<〜たちを>

    「系譜読みが、曾祖父(曾祖母)の言葉を唱える。」

    祖先祀りの場面の文。anlóur は属格の anlóures になるが、後ろの téir lóurul は道のりの対格のまま変わらない。

    lúin tóra dulóur téir lóurul némes, sáilim.

    読み:ルーイン トーラ ドゥロール テール ロールル ネーメス、サイリン。

    lúintór-adulóurtéirlóur-ulném-es,sáil-im.
    とき来る-<(軽いものが)>下の世代の血族<主格>三瀬-<〜たちを><私>-<属格>喜ぶ-<私が>

    「曾孫が来ると、私はうれしい。」

    「三瀬下」で曾孫を言う。三の後ろなので、瀬は複数の lóurul になる。lúin の節は主節の前に置く。主節の主語は動詞の語尾 -im でわかるので、代名詞は言わない。

    lúin ráumsan faronárai téir lóurul, hélan.

    読み:ルーイン ラウンサン ファロナーライ テール ロールル、ヘーラン。

    lúinráums-anfaron-ár-aitéirlóur-ul,hél-an.
    とき旅をする<〜し終えた>-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>三瀬-<〜たちを>座る-<彼らが>

    「瀬を三つたどり終えると、運び人たちは腰を下ろす。」

    ráum- の語根は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して ráums- にする。téir lóurul は、どれだけの道のりをたどったかを表す道のりの対格で、téir「三」の後ろの重性名詞は複数 -ul になる。川沿いの道を、瀬をひとつずつ数えながら進む言い方。

    duþélim sélvanan, an fóndaros móros ráimaros dúlenan téir lóurul.

    読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス モーロス ライマロス ドゥーレナン テール ロールル。

    du-þél-imsélvan-an,anfóndar-osmór-osráimar-osdúl-en-antéirlóur-ul.
    <〜させていただく>-名乗る-<私が>セルヴァン-<対格>上手源-<属格>偉大な-<重性・属格>ライマル-<属格>下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格>三瀬-<〜たちを>

    「偉大なるライマルの源から三瀬下りた、セルヴァンと名乗らせていただきます。」

    改まった場での名乗り。名詞句の中は「名詞–形容詞–属格」の順に並び、形容詞は重性の fóndar に合わせて属格 -os になる。mór を家や氏族に使うと、その勢いが大きいことを誇る言い方になる。目上の人自身を mór と言うことはしない。

    lóima lourvirár lóurul an fóndaros ráimaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ロールル アン フォンダロス ライマロス。

    lóim-alourvirárlóur-ulanfóndar-osráimar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>瀬-<〜たちを>上手源-<属格>ライマル-<属格>

    「系譜読みが、ライマルの源から一瀬ずつ系譜を唱える。」

    婚姻の取り決めの場面。lóurul は重性の複数対格で、唱える世代の連なりを目的語にしている。系譜は十拍の韻律に乗せて唱える。

    éso lóur só þáil, an þráinos tóro.

    読み:エーソ ロール ソー サイル、アン スライノス トーロ。

    és-olóursóþáil,anþráin-ostór-o.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>澄んだ上手峰-<属格>来る-<(重いものが)>

    「この瀬は澄んでいる。峰の方から流れてくる水だ。」

    水の澄み方を言う用法。瀬 lóur は重性なので、繋辞は éiso、形容詞は重性の主格(語尾なし)。重性の指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示す。後半は an+属格で「上手から」を表し、主語は前半と同じ瀬。北の高みから来る水ほど清いとされる。

    dúla lourlisá an fóndaros ráimaros dáumbar téir lóurul.

    読み:ドゥーラ ロウルリサー アン フォンダロス ライマロス ダウンバル テール ロールル。

    dúl-alourlisáanfóndar-osráimar-osdáumbartéirlóur-ul.
    下る-<(軽いものが)>系譜の巻<主格>上手源-<属格>ライマル-<属格>二十三瀬-<〜たちを>

    「系譜の巻は、ライマルの源から二十三瀬を下っていく。」

    系譜の巻に書かれた流れが、源から一瀬ずつ下っていくことを言う文。系譜読みが唱えはじめるときの言い方でもある。an+属格で「上手から」。lóurul は道のりの対格で、自動詞 dul- もこの格をとれる。巻は紙なので軽性で、動詞は -a をとる。

    fílim lóur.

    読み:フィーリン ロール。

    fíl-imlóur.
    引く-<私が>瀬<対格>

    「私は瀬を引く。」

    都の書体で文を書き始めるときの作法を言う決まった言い方。lóur は重性なので、対格も主格と同じ形。

    un lóuroi, púlo þreílo nóumo.

    読み:ウン ローロイ、プーロ スレイロ ノーモ。

    unlóur-oi,púl-oþreílonóumo.
    内に瀬-<与格>軽く叩く-<(重いものが)>濺ぎ<主格>顔<対格>

    「瀬の中では、濺ぎが顔を叩く。」

    意味2の用法。早瀬のそばで身体にかかる範囲の水飛沫を表す。púl- は他動詞で、主語 þreílo に合わせて3人称単数・重性の語尾 -o をとる。

    éso lóur só nalóun.

    読み:エーソ ロール ソー ナローン。

    és-olóursóna-lóun.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性><〜ない>-長い

    「この瀬は短い。」

    瀬は川が一段落ちてから次の落ちまでのひと続き。距離・行程が長くなく近接している意味3。重性名詞 lóur に合わせ éso・só。重性単数主格では nalóun のまま。

    dúlo louvrúndo lóurul análoros.

    読み:ドゥーロ ロウヴルンド ロールル アナーロロス。

    dúl-olouvrúndolóur-ulanálor-os.
    下る-<(重いものが)>長川<主格>瀬-<〜たちを>上手の国-<属格>

    「長川は、上手の国の瀬を流れ下る。」

    宮廷詩で王国の流れを詠む表現。lóur は「川瀬」と「世代」を兼ね、lóurul は重性名詞の複数対格で、流れ下る道のり・世代を表す。louvrúndo を王国そのものの流れとして詠む。

    dulráinim dóulin téir lóurul sórel

    読み:ドゥルライニン ドーリン テール ロールル ソーレル

    dulráin-imdóulintéirlóur-ulsórel
    話に流される<〜し終えた>-<私が>もう三瀬-<〜たちを>今日

    「今日はもう三瀬も話に流されてしまった。」

    肯定の「もう」dóulin と組むため、完了相の語幹 dulráin- を用いる。主語は動詞語尾だけで示す。相の副詞 dóulin が動詞の直後に立ち、流れに取り残された感を添える。時語 sórel は文末に置く。

  2. 世代

    系譜で源から下った世代の一つ。親族の呼び名の上下も瀬で言う。

    lóima lourvirár lóurul némores an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ロールル ネーモレス アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárlóur-ulnémor-esanfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>瀬-<〜たちを><我々>-<属格>上手源-<属格>

    「系譜読みは、源からの我らの世代を唱える。」

    婚姻や祖先祀りの場で、家の系譜読みが系譜を唱えるようすを言う文。an+属格は「上手から」の意味になり、an fóndaros で「源から」。世代を言うときは、このように源を起点にする。系譜読みは年長の女性で、軽性なので動詞は -a をとる。

    dúlim dáumbar téir lóurul an fóndaros ráimaros.

    読み:ドゥーリン ダウンバル テール ロールル アン フォンダロス ライマロス。

    dúl-imdáumbartéirlóur-ulanfóndar-osráimar-os.
    下る-<私が>二十三世代-<〜たちを>上手源-<属格>ライマル-<属格>

    「私はライマルの源から二十三瀬下った者だ。」

    自分の世代を言う、ふつうの話し方の文。改まった名乗りでは謙譲の動詞と分詞 dúlenan を使うが、ここでは直説法の動詞 dúlim を使う。lóurul は道のりの対格で、「何世代下ったか」を表す。身分の段 þrén と語が違うので、世代の話だとすぐにわかる。

解説

川が滝や早瀬で一段落ちてから、次に落ちるまでのひと続きの流れ。系譜を川にたとえるので、世代を数える語にもなる。始祖は「下りぬ者」、子は「一瀬下り」と数える。身分の「段」とははっきり区別され、親族の呼び名も瀬で作る。瀬の数の多さは家の古さの誉れである。

文法

重性・子音語幹。主格・対格 lóur、属 lóuros、複主対 lóurul、複属 lóurur。道のりの対格で dúlen dáumbar téir lóurul「二十三瀬下りた」。

語源

古高原語 *lóur から

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