wéin-

品詞
動詞(自動詞)
意味
なる
発音
[ˈwein]
読み
ウェイン
分野
性質・状態

意味

  1. なる

    ある状態から別の状態へ移る。なったものは対格で言う(wéina hílva ílmo「雪が水になる」)。

    wéinsa ólmar ilánan.

    読み:ウェーンサ オルマル イラーナン。

    wéins-aólmarilán-an.
    なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>灯-<対格>

    「年長の方は星になった。」

    「〜になる」wéin- は、なったものを対格で言う(行き着く先の対格)。死後一年が過ぎて昇名が定まった死者について言う。

    wéina virá liratendó.

    読み:ウェーナ ヴィラー リラテンドー。

    wéin-aviráliratendó
    なる-<(軽いものが)>言葉<主格>糸の巣<対格>

    「言葉が糸の巣になる(もつれて収拾がつかなくなる)。」

    比喩用法。wéin- は結果を対格にとる。重性o語幹の単数 liratendó は主格と対格が同形。virá を受けて軽性の3人称単数語尾 -a。

    wéina virá sé leimó.

    読み:ウェーナ ヴィラー セー レイモー。

    wéin-aviráséleimó.
    なる-<(軽いものが)>言葉<主格>この<軽性>遺体<対格>

    「この言葉は抜け殻になる。」

    詩や改まった言葉での比喩用法。 wéin-「〜になる」は成り行き先を対格にとる。重性名詞 leimó は対格も主格と同じ形。中心名詞 virá は軽性なので、指示詞は sé を使う。形だけ残って中身のない言葉、特に心のない詩句や形式だけの儀礼をさす。

    wéinsa ólmar þrén ául

    読み:ウェーンサ オルマル スレーン アウル

    wéins-aólmarþrénául
    なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>段<対格>高い

    「年長者は高い段になった。」

    昇進を表す文。wéin-「なる」の完了形で、行き着く先を対格に置く。þrén は重性の単数対格で主格と同形になり、形容詞 ául も重性対格無標として一致する。

    wéinsa flíva ilánan

    読み:ウェーンサ フリーヴァ イラーナン

    wéins-aflívailán-an
    なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>昇る魂<主格>灯-<対格>

    「昇る魂が星になる。」

    弔い・詩の語法。wéin-「なる」の完了形に、行き着く先を対格で取る(wéins-a ... ilán-an)。flíva は軽性a語幹の単数主語で、格接語はつかない。ここでは「鳥」ではなく、肉体を離れて星(祖先)になると言われる魂の詩語として使う。

    wéines tás brúndo!

    読み:ウェーネス タース ブルンド!

    wéin-estásbrúndo!
    なる-<あなたが><あなた・主格>でくの坊<対格>

    「お前はでくの坊になる!」

    罵倒・脅し。wéin- は行き着く先を対格にとる。重性 brúndo の単数対格は主格と同形。tás は対比のための明示主語。

    mé wéin brúndo!

    読み:メー ウェーン ブルンド!

    méwéinbrúndo!
    <禁止・願いの打ち消し>なる<命令法><あなたが>でくの坊<対格>

    「でくの坊になるな。」

    禁止の罵倒。mé+命令法。wéin- の命令法2単は語幹 wéin のまま。補格 brúndo は対格で、「でくの坊」の意味。

  2. (死者が)星になる

    昇名を得た死者が祖先の灯に加わる、という意味の改まった言い方。wéinsa ilánan と完了で言い、死後一年が過ぎるまでは使わない。

    wéinsa élaur ilánan.

    読み:ウェーンサ エーラウル イラーナン。

    wéins-aélaurilán-an.
    なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>昇りゆく人<主格>灯-<対格>

    「昇りゆく人は星になった。」

    死後一年のあいだは élaur として扱い、昇名が定まって系譜に書き入れられたのちにだけ用いる言い方。一年の忌明けに、改まった場と炉ばたの両方で聞く。

    wéinsa andaulóura némes ilánan.

    読み:ウェーンサ アンダウローラ ネーメス イラーナン。

    wéins-aandaulóuraném-esilán-an.
    なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>祖母<主格><私>-<属格>灯-<対格>

    「私の祖母は星になった。」

    一年の忌明けを終えた家での、くだけた言い方。一年の間は élaur と言い、「星になった」と言ってはいけない。

  3. 成る・成就する

    補語を置かずに、あるべき姿に行き着くことを言う。とくに硬木が杭として打ちこまれ、役目を果たすことを言う(wéinso gandér)。

解説

ある状態から別の状態へ移ることを言う、もっとも基本的な自動詞。「AがBになる」の B(なったもの)は、行き着く先として対格で言う。高原語では、変化も移動と同じように「どこかへ着くこと」としてとらえるからである。繋辞 és-「〜である」がそのときの状態を言うのに対し、wéin- は状態が移ることを言う。完了語幹 wéins- で言う wéinsa は「〜になった(そして今そうである)」の意味になり、日常では és- のかわりによく使われる。 例:wéina hílva ílmo.「雪が水になる」/wéinso gandér trúndo.「硬木が杭になる」/wéinsa endríña séurilan.「子どもが美しくなった」。 文化的な含みとして、死者について言う wéinsa ilánan「灯(星)になった」がある。これは、死後一年が過ぎて昇名が与えられ、系譜に書き入れられたあとにだけ使う言い方である。それまでの一年は魂がまだ昇っている途中とされ、「星になった」と言うのは早すぎて縁起が悪い。その間は élaur「昇りゆく人」と言う。 改まった言葉や詩では、変化の向きをはっきりさせるために、行き着く先の前に an(上手へ)や du(下手へ)をつけることがある。an をつければ、上へ昇る、ほめるべき変化になる(wéinsa selvá an ilánan「息は昇って灯となった」)。du をつければ、下へ沈む変化になる(wéinso tambór du múrno…「雑穀が腐ってしまう」のような嘆き)。前置詞をつけない対格は、向きを言わない言い方である。 補語を置かずに使うと、「あるべき姿に成る・成就する」の意味になる。とくに、硬木が杭として泥に打ちこまれることを wéinso gandér「硬木が成った」と言い、森の司や樵が好んで使う。és-「いる」の完了 wéir-「〜であるようになった」とは、wéir- がなった結果の今の状態に、wéin- が移り変わりの過程に重きを置く点で使い分ける。

文法

自動詞。主語に人称・数・性で一致する(3単は軽 wéina/重 wéinso〈完了〉など)。 【なったものの格】なったもの(補語)は、主格ではなく対格に置く(行き着く先の対格)。 ・名詞のとき:名詞は、自分自身の性に従って対格になる。軽性なら -an・-án(ilánan、sélvanan)、重性なら主格と同じ形(ílmo、trúndo、gandér)。数はふつう主語に合わせる(複数の主語なら複数対格:wéinsan ... ilánais)。主語と補語の性がちがってもかまわない(hílva〈軽〉→ ílmo〈重〉)。 ・形容詞・分詞のとき:主語の性・数に一致させ、格は対格にする(軽性単数なら -an:wéinsa endríña séurilan、重性なら語尾なし:wéinso gandér káil、軽性複数なら -ais)。 ・重性の名詞は対格が主格と同じ形なので、補語の格は見ただけでは分からない。主語と補語は「動詞・主語・補語」の語順で区別する。 【向きの前置詞】改まった言葉や詩では、補語の前に an(上への変化)・du(下への変化)をつけてもよい。このときも補語は対格のままである。 【相】完了語幹 wéins-(語根に二重母音があるので -s- を足す)。wéinsa は「なってしまった・もうそうである」。 【敬語】尊敬は au- と w- がくっついて aubéin-「おなりになる」、謙譲は dumbéin-「ならせていただく」(手紙の決まり文句で、「〜の役につかせていただく」の意味で使う)。 【命令】2単 wéin!(語幹のまま)。補語は相手に一致する対格で言う:wéin gléinan!「清くなれ」。おもに親が子に、師が弟子に言う。 【否定】na wéina ...「〜にならない」。

語源

古高原語の *wei-「〜に移る・〜に成る」に、現在の動きを表す古い *-n- がついた形。同じ *wei- に *-r- がついたものが、és-「いる」の補充形の完了語幹 wéir- として残っている。「なった」が「いる」の完了になっているわけで、wéin- と wéir- は、もとは一つの動詞の二つの面だったと考えられる。補語を対格で言うのは、移動の動詞が行き先を対格でとるのと同じ発想から来ている。

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